何気にenjoy生活♪

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私~転落~

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こんな私はあなたにはどんな風に写るでしょうか?
能天気な『私』の波乱万丈な人生。
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新しい家は広く庭もあり、のびのびできた。

転校先の学校にもすぐに慣れ友達もたくさん家に遊びに来るようになった。

ピアノを買ってもらい、休みの日にはバイエルを弾き母が耳を傾けるといった

穏やかな日がいつまでも続くものだと思っていた。

なのに。。。人生、そんなに計画的には行かないものだ。

       ***

ある日、家の軒下に一匹の黒猫が死んでいるのを見つけたのが始まりだった。

「黒猫だなんて何か不吉だわねぇ・・・。」

母はそんな事を言いながら、しぶしぶ死んだ猫を引きづり出して葬った。

それから何日かした昼。父の下駄を履いて友達と遊んでいた私が少し段になった所を、ぽんっと飛び降りた時。

ぱきっ!

父の下駄が二つに割れてしまった。

また何日かした朝には、父の枕元に置いてあった灰皿がきれいに二つに割れていたり・・・。

私が小学校6年の時、父の経営する会社が不渡りを出し、莫大な借金を背負わされ倒産してしまったのだ。

家の中は急に慌しくなり、家財道具は人手に渡り私の大好きだったピアノまでもが

誰かの手に渡ってしまった。

子供ながらにこの事態を大変な事だと察知した私は出来るだけ平静を装い

いつもの私でいようと常に気を張り詰め両親の顔色を伺っていた。

裸電球が一つ付いただけのオンボロアパートに家族4人が身を寄せていたある夜

背中越しに両親の小さな話し声が聞こえてきた。

「玲子は最近まったく笑わへんようになったな。」

「そうやね・・・。」


私は感情を押し殺すあまりに涙と一緒に笑顔まで失っていたのだ。

(笑えるはずないやん・・・。)私は心の中で呟き、布団をかぶり初めてその夜そっと泣いた。


<<つづく>>


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