専門家の見解です



バンブー南天(五五)男性。司会者。

鉾立 うるか(?)女性。メーカー担当者。





●楽屋
   スプレーで固められるオールバック。
   バンブー南天の渋声モノローグ。
南天(M)「私は何でも売る男」
   喉に吹きつけられるイソジン。
   念入りすぎる『外郎売』。
南天(M)「嘘だとお思いなら何でも持って
 来るがいい。古美術店の片隅で埃を被った
 由緒の怪しい掛軸だろうが、近所の主婦が
 市民講座で作った微妙な手芸品だろうが、
 私の魔法で瞬く間に売り切ってみせる」
   室内を行ったり来たり。
   身ぶり手ぶり付きでイメトレ。
南天(M)「だが条件が一つ。品の良し悪し
 は問わない。私自身が商品の本質を完全に
 理解できるかどうか、それだけだ。だから
 私は可能な限り、事前に商品に触れる」
   スタジオと南天自宅のカットバック。
   補正肌着を着て居並ぶ中年女性たち。
   補正肌着に下っ腹を押し込む南天。
   多機能化粧品を塗り込む高齢女性。
   多機能化粧品を洗い落とす南天。
   マッサージ機に揉まれる元子役。
   マッサージ機で居眠る南天。
   あらゆるサプリを連続服用する南天。
   レンジ用調理器具で鯖を焼く南天。
   大量の座布団を圧縮袋に詰める南天。
南天(M)「よく知りもしない商品を無責任
 に売りつけるなんて一度もやらなかった。
 この日までは・・・」
   鏡の前、蝶ネクタイを締めるアップ。

●スタジオ
   カメラの前でフリーズした南天。
   不自然なまでに誇張された笑顔。
南天「本日ご紹介するのは・・・」
   南天とカメラの間のフロア。
   ランニングにステテコ姿のオッサン。
   肘をついて寝転びながら腹を掻く。
   タイトル『バンブーテレショップ』。

●廊下(回想)
   衣装に着替えた南天、早足。
   遅れぬよう並走するプロデューサ―。
南天「ぶっつけ本番だ? どうかしてるよ。
 私、やらないからね」
P「まあまあそうおっしゃらず。お昼の枠を
 丸ごと買い取って頂いたんです。ある程度
 のご要望にはお応えしないと」
南天「リハも台本も無しなんでしょ。いくら
 生じゃないって言ってもさ、それじゃ商品
 の魅力なんて一ピコも伝わんないよ」
P「それがですね、よっぽど自信のある商品
 らしくて。できるだけ強烈なリアクション
 が欲しいって社長さんが。ほら、ライブ感
 ってやつ?」
南天「だからって、完全ノープランってのは
 さすがになあ・・・」
P「そこの所は心配無用、メーカーの人間が
 一緒に出るそうです」
南天「大丈夫なの、その人」
P「開発担当者らしいです。専門家ですよ」

●スタジオ
   南天の両手、無意味に宙を踊る。
南天「ご紹介するのはこの・・・」
   南天の視線、横たわるオッサンに。
   救いを求めるように隣へ目をやる。
   白衣を着た知的美女、鉾立うるか。
   華やかな笑顔で両手を広げて。
鉾立「万能家電ブラウニーSです!」
   オッサン、耳をほじった指を吹く。
南天「家電・・・ですか。何と言うか、実に
 個性的なデザインですね・・・」
鉾立「そうなんですよ。見てください、この
 スタイリッシュなフォルム、極限までムダ
 を省いた超軽量設計なんです」
   オッサン、はみ出た腹をポンと叩く。
南天「一見そのようには・・・いえ、きっと
 革新的な技術が使われているんですね!」
   カメラの背後をさまよう南天の視線。
   ウンウン頷くプロデューサー。
   カンペ(機能?)を出すAD。
南天「ところで『万能』ということなんです
 けれども、どの辺りが万能なんでしょう。
 一体何ができるのか、鉾立さん教えて!」
   渋声でお茶目に振る南天。
鉾立「百聞は一見に何とやら」
   指をパチンと鳴らす鉾立。
   小道具スタッフが台を運んでくる。
   台の上、雑多な瓶と白いブラウス。
   鉾立、ブラウスを手に取って掲げる。
鉾立「うわあ、ステキなお召し物。フリルが
 いいアクセントになってますねー」
南天「あっ、私の・・・」
   ADカンペ(いつもの流れで!)。
南天「・・・このセットが出てくるという事
 は、おなじみ粗相タイムかな?」
   カメラの後ろの観覧席。
   鈴なりのオバチャンがどっと笑う。
南天「(今日はガヤまでライブかよ)鉾立さん
 そのまま持っていてくださいよ」
   両手に調味料の瓶を持つ南天。
南天「奥さんの誕生日、たまには手料理でも
 振舞おうかと思い立ったものの、人間慣れ
 ないことをすると碌な結果になりません。
 おーっと、言わんっこっちゃない・・・」
   醤油とソースをブラウスにかける。
南天「焦って拭こうとすればするほど」
   わざとらしく汚れを拭き広げる南天。
   ガヤの悲鳴と笑い。
南天「えーい、毒を食らわば皿まで」
   さらにケチャップ、タバスコまで。
南天「さあどうしよう、これちゃんと落ちる
 のかな・・・って襟元に昨夜の過ちが!」
   襟元に口紅を塗りたくる南天。
南天「こうなってしまっては誕生日どころの
 話じゃない。奥さんに見られる前に何とか
 しなきゃ。いつもだったら酸素クリーナー
 の出番ですが・・・」
   チラリと鉾立の方を窺う。
鉾立「ハイ、本日はブラウニーSが代わりに
 お助けします!」
   汚れたブラウスをオッサンに被せる。
   鉾立、オッサンの薄い頭をピシャリ。
   面倒くさそうに胡坐をかくオッサン。
   ブラウスを両手で持って暫し眺める。
   不意にクシャクシャに丸めて。
南天「それシルク!」
鉾立「大丈夫、どんなデリケートな衣類でも
 安心です」
   丸めたブラウスで体を拭くオッサン。
   特に脇の下と首回りは丹念に。
   南天の笑顔が悲壮感に染まっていく。
鉾立「このブラウニーSは素材の特性を瞬時
 に解析し、分泌した洗浄成分を繊維の奥の
 奥まで浸透させることによって・・・」
   字幕『専門家の見解です』。
   ブラウスをバッと広げるオッサン。
   染み一つ皺一つない完璧な仕上がり。
鉾立「ご覧ください、下ろしたての輝き!」
   南天、服を受け取り矯めつ眇めつ。
南天「・・・まるでイリュージョンでも見て
 いるかのようです。洗い方は、その、イン
 パクト抜群でしたが・・・」
鉾立「ご満足頂けたようで何より。でもまだ
 これはほんの一例でしかありません」
南天「と言いますと?」
鉾立「万能、ですからね」
   鉾立、また指をパチン!
   セットが入れ替わる。
   カーペットの上にティーテーブル。
南天「またまた見覚えのあるカーペットだ」
   ガヤ、笑い。
   猫砂の箱を持ち上げる南天。
鉾立「思いきって、どうぞ」
南天「アッ、こんな所にチェシャ猫が!」
   見えない猫につまずくふり。
   箱からカーペットに大量の砂。
鉾立「アラ大変」
   慌ててコーヒー瓶を取り落とす鉾立。
   散らばるインスタントコーヒー。
南天「あわてんぼうだなあ鉾立さんは」
   瓶を拾おうとした肘がテーブルに。
   ビー玉が入った硝子皿が落下。
   カーペットの上、大小のゴミが散乱。
南天「結構な惨状ですけども、果たしてこの
 カーペットを元通りにできるのか」
鉾立「お任せあれ!」
   鉾立、オッサンの頭をピシャリ。
   オッサン、ため息ついて四つん這い。
   口をカーペットにつけて大きく開く。
   次の瞬間、舞い上がるゴミ。
   瞬時にオッサンの口に吸われていく。
鉾立「150%アップした(当社従来品比)
 驚きの吸引力で重さの異なるゴミも一気に
 吸い取ります。なのにこの静音設計。何と
 小川のせせらぎと同程度の40デシベルで
 赤ちゃんのお昼寝も妨げません(当社実験
 結果)」
南天「これはすごいな・・・塵ひとつ残って
 ませんよ。まるでノヅチかヤカンヅルだ」
鉾立「バンブーさん、ちょっとブラウニーの
 お尻を嗅いでもらえますか」
南天「えっ」
   さすがに躊躇する南天。
鉾立「私を信じてください。何でもご自分で
 試してみるのがバンブーさんのポリシー、
 ですよね?」
南天「・・・そう言われるとバンブー南天、
 退くわけにはいかないな!」
   オッサンの尻に鼻を近づける南天。
   ガヤのドン引き悲鳴。
南天「・・・爽やか。森の中にいるみたい」
鉾立「そうなんです。特殊フィルターの力で
 排気に含まれている不快な臭気や有害物質
 を99.99%カット、代わりにマイナス
 イオンを放出し、空気中の浮遊ウィルスや
 カビまで除去する優れものなんです!」
   字幕『専門家の見解です』。
南天「洗濯機と掃除機の一台二役、これだけ
 でも前代未聞ですが・・・まだまだ万能と
 呼ぶには物足りないなあ」
鉾立「そうおっしゃると思ってました」
   鉾立、ゲスト席の三人に視線。
   元野球選手、元子役、ベテラン歌手。
鉾立「そうですね・・・原牧さん、こちらへ
 お願いできますか」
   元野球選手が席を立って歩み寄る。
原牧「ナニナニ? こわいんだけど」
鉾立「今、体のどこかにコリが辛い部分とか
 ないですか。肩とか首とか腰とか」
原牧「そりゃこの年になったらね。あちこち
 ガタが来て痛くないところ数える方が早い
 けどさ。まあ前の仕事柄、肩には特に来て
 ますよ」
   軽く投げ真似して顔をしかめる原牧。
鉾立「そのお悩みも今日までです!」
   オッサンの頭をピシャリ。
   傍らの椅子に腰かけるオッサン。
鉾立「ぜひ、ブラウニーのマッサージ機能を
 体感なさってください!」
原牧「この上に座んの?」
   オッサンの腿を見下ろしてゲンナリ。
鉾立「高級サロンのソファに匹敵する極上の
 座り心地をお約束します」
   恐る恐る尻を下ろす原牧。
   腿の上に座った途端、溶ける表情。
原牧「ああ~~これはラグジュアリィ~」
   オッサンの両手が原牧の肩を掴む。
原牧「えっ、ちょっ、なに?」
鉾立「ブラウニーに身を委ねて」
   原牧の関節を乱暴に曲げるオッサン。
   グロテスクに捩れる原牧の肩回り。
南天「鉾立さん、これマズイんじゃ・・・」
   鉾立と原牧を交互に見る南天。
原牧「・・・イヤ、意外と楽ですよコレ」
   痛々しい見た目によらず平穏な表情。
鉾立「被施術者の人体構造を精密にスキャン
 しているので余分な負担はかかりません」
   オッサン、原牧をポーンと放り出す。
   よろけながらほどけていく原牧。
   固唾をのんで見守る南天。
   原牧、両腕を軽々と回して恍惚。
原牧「あ~こりゃいいわ。乗っかってた重石
 が取れたみたいだ。今だったらストレート
 150キロ出せそう」
   字幕『個人の感想です』。
   ゲスト席の残り二人が立ち上がる。
ベテラン歌手「私にもやって。最近首が回ん
 ないのよ!」
元子役「僕は腰が。ほら、どうしても体重が
 アレなんで」
鉾立「どうぞどうぞ、ぜひともお試しを」
   グニャグニャに曲げられる二人。
   呆然と見つめている南天。
   *****
   ゲスト席でとろけている三人。
   オッサン、再び肘をついて横寝。
   我に返る南天。
南天「そう、電気。これだけ多機能だとさぞ
 電力を消費するんじゃないですか?」
   イジワル顔で鉾立を見やる。
鉾立「いい質問です。実はブラウニー、電動
 ではありません。毎回使用後に・・・」
   ブラウニーの傍にカップを置く鉾立。
鉾立「このようにミルクを一杯置いてあげて
 ください。これだけ。正真正銘、消費電力
 はゼロ。SDGsの観点からも、いま一番
 注目されている商品なんです」
   字幕『専門家の見解です』。
南天「電気と牛乳、どっちが高いか・・・」
   遮るように指を鳴らす鉾立。
   すかさず運ばれてくるモニター。
鉾立「ブラウニーの便利機能はこれだけでは
 ありません。ここで利用者様の声をお聞き
 ください」
   映し出される庭園風景。

●モニター映像
   松に登って枝を食いまくるオッサン。
   頼もしそうに見上げる植木屋。
植木屋「どんな高い枝でも自由自在に切って
 くれるんだから大したもんだよ。デザイン
 だって口で言うだけでOKだしさ。何より
 切った後ゴミ始末しなくていいんだから。
 もう植木屋なんか廃業だよガハハ」
   字幕『個人の感想です』。
  *****
   自動車の車内風景。
   後部座席に酔ったサラリーマン。
   鼻をほじりながら運転するオッサン。
リーマン「今までは飲んだら代行頼んでたん
 ですけどね、結構小遣いに響いて響いて。
 ブラウニーならカーナビ要らずだし、安心
 してマイカー任せられますよ。それに専属
 運転手がいるのって何かよくないですか。
 リッチマンって感じで」
   字幕『個人の感想です』。
   *****
   保育園風景。
   ぐっすりと眠る園児たち。
   音痴な子守唄を歌うオッサン。
   日誌をつけている保育士のお姉さん。
保育士「正直、お昼寝の時間は地獄でした。
 寝かせつけてもどうしても寝てくれない子
 がいて。でもブラウニーが来てからは何も
 かもが変わったんです。寝つきがよくなる
 だけじゃなく、素敵な夢まで見せてくれる
 らしくて。ぐずる子なんてもういません。
 みんなお昼寝を楽しみにしてます」
   字幕『個人の感想です』。

●スタジオ
   切り替わるカメラ。
   なぜか硬い表情の南天。
鉾立「どうですか、数々の喜びの声」
南天「これは・・・言葉にならないですね。
 もはや家電の枠を超えている。ですが」
   南天、カメラ目線。
南天「私はこの商品をテレビの前のお客様に
 お勧めすべきなのかどうなのか・・・実は
 まだ迷っております」
   笑顔のまま首を傾げる鉾立。
鉾立「どうして?」
南天「私には理解できないからです。どんな
 原理でこのオッサ・・・ブラウニーが稼働
 しているのか。それと」
鉾立「それと?」
南天「ブラウニーの機能に、可能と不可能の
 境界線はあるのか」
鉾立「人間にできることはほぼ全て代行可能
 です」
南天「それは・・・危険なのでは?」
鉾立「・・・バンブーさん、コンピューター
 は使われますか」
南天「タブレット、あとスマートフォンも。
 それが何か?」
鉾立「使う時、わざわざ原理とか考えます?
 どのように演算しているのか、とか」
南天「そこまでは」
鉾立「それに、コンピューターだって無限の
 可能性を秘めていますよ。でも、いちいち
 危険性を考えながら使わないでしょ」
   言葉に詰まる南天。
鉾立「重要なのは利便性です。わずかな負担
 で劇的にQOLを高めてくれる。人手不足
 の解消にもなる。人の嫌がる仕事を肩代り
 してくれる。これほど待ち望まれた商品が
 他にあったでしょうか」
   指を鳴らす鉾立。
鉾立「もう一つ実例をご覧に入れましょう。
 バンブーさんにもご納得頂けるように」
   モニターに介護施設の映像。
   ベッドに掛けてこちらを見る老女。
南天「母ちゃん!」
鉾立「どうぞ、中継を繋いでますので」
母「タカシ、元気にしとるか」
南天「そっちこそ。面会行けんで悪いのう。
 ちいと瘦せたんとちがうか」
母「どこに目つけとるんじゃ。体の内も外も
 絶好調でえ。飯も美味いけ、三食きっちり
 食っとるわ。足の調子もようなって、散歩
 の距離も伸びた。これもみんなブラウニー
 さんのおかげじゃ」
   横に振られるカメラ。
   ベッドサイドの椅子にオッサン。
南天「あっ・・・」
母「リハビリの手伝いもしよるし、話し相手
 にもなってくれよる。おかげさんで生きる
 張り合いができた。実の息子よりよっぽど
 息子らしいわ」
   オッサン、剥いたリンゴを差し出す。
   嬉しそうに受け取る母。
南天「・・・そうか、良かったのう」
母「じゃけえ、なんぼブラウニーさんが面倒
 みてくれよるちゅうても、ワレがちいとも
 顔見せんカバチにゃならんぞ」
南天「わかっとる、わかっとるよ。近いうち
 行くけえ、それまで達者でな」
鉾立「お母さま、ありがとうございました」
   手を振る母とオッサン。
   中継が終わる。
   俯いていた南天、顔を上げる。
   心なしか潤んでいる瞳。
南天「・・・私は知らないうちにブラウニー
 のお世話になっていたんですね」
鉾立「はい。でも気づかれなかったのも無理
 ありません。人間の社会をさりげない形で
 サポートするのが弊社の理想ですから」
   鉾立、包み込むような微笑み。
   涙と照明で霞む南天の視界。
   ふと、カメラの背後が目に入る。
   カメラマンやカメアシ、音声、AD。
   フロアスタッフが全てオッサンに。
   それだけではない。
   三人のゲストや観覧席のガヤも。
   南天と鉾立以外、全員オッサン。
   慌てて目を拭う南天。
   クリアになった視界、異状は無い。
   気を取り直す南天。
南天「今こそバンブー南天は胸を張って皆様
 にお勧めします。万能家電ブラウニーS、
 明日からの生活をより豊かにするために。
 さあお値段は?」
鉾立「メーカー希望小売価格税込六万八千円
 のところ、スターターキャンペーンとして
 一万千八百円、税込一万千八百円でお届け
 します!」
南天「送料・分割手数料は当番組負担!」
鉾立「この機会に、夢のブラウニーライフを
 ご満喫ください!」
南天「今から三十分間、オペレーターの人数
 を倍に増やしてお待ちしております!」
   憑かれたような南天の笑顔。
   その傍らに佇む鉾立の微笑。
   鉾立が瞬きした瞬間。
   その瞳が一瞬だけ横向きの三日月に。

●コールセンター
   鳴りやまない大量の電話。
   ワイルダー映画の如く並ぶ机の列。
   テキパキ答えるオペレーターの足元。
オペ「はい、性能については実証済みです。
 人間と比べて遜色ないどころか遥かに高い
 スペックを発揮できるとお約束します」

●雑景
   街頭でティッシュを配るオッサン。
   工場で部品を取り付けるオッサン。
   オフィスに宅配便を届けるオッサン。
   オフィスで資料作成するオッサン。
   スタジオで写真を撮るオッサン。
   スタジオで写真を撮られるオッサン。
   コートでスパイクするオッサン。
   舞台でパ・ドゥ・シャするオッサン。
   オペ室でメスを握るオッサン。
   ジャンボ機の操縦桿を握るオッサン。
   国会質問するオッサン。
   国会答弁するオッサン。

●コールセンター
   足元から上昇するカメラ。
オペ「お申込み誠にありがとうございます。
 それではご住所から・・・」
   ヘッドセットを付けたオッサン。
   電話対応しているのは全てオッサン。
   見渡す限りのランニングとステテコ。
   オッサンの鈴の鳴るような声声声。
オペ「アクセサリの追加購入はご不要です。
 スターターキットであらゆるニーズに対応
 できますので・・・」
オペ「誇大広告ではございません。いえいえ
 そんなこと。お客様だってきっと見分けが
 つきませんよ。なぜって・・・」
オペ「そのうち、ブラウニー抜きでは社会が
 回らなくなるかもしれませんねウフフ」
   タイトル『専門家の見解です』。





                   了

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