最果ての世界

最果ての世界

植物天使の小話/四


 大地に抱かれる、私の仲間たち。光に育まれ、雨に潤され、風に誘われる。
 ヒトの手を借りることなく、自然の恩恵で。

 きっと、すごく、それは大変なことなんだろうと私は思う。でも、それが、
自然の形なんだろうな。
 私は、天使の話を聞きながら、まるでそれを目にしているように感じた。
 言葉として受けてめているはずなのに、不思議な気持ちになる。

 天使は、他にも色々なことを話してくれた。
 空の色彩、大地の恩恵、風の芳香、そんな自然の話も。そして、私の仲間
の話も。そして、天使が叶えた願いの話も。

 そして、最後に教えてくれた。
 天使には、いくつかの種類があるのだと。この天使のように、植物の願い
を叶えるもの。そして、他に人間の願いを叶えるものと動物の願いを叶える
ものがいるのだと。どの天使も掟があり、それを守っている。
 でも、植物の願いを叶える天使には他の天使と違うことがあると言った。
 他の天使と違い、少なくはあるが感情というものが存在する。



私は、不思議に思う。
 感情、それは嬉しかったり悲しかったりするもの。煩わしくはないのだろうか。
天使に聞いても、不可思議な笑顔を浮かべるだけ。悲しくもあり、嬉しくもある、そんな笑顔。
 願いを叶える天使、その感情にはどんな理由があるんだろう。 

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