Heikの狂暴温泉芸者

Heikの狂暴温泉芸者

復元ポイント





あちらこちらと 探し探し 探しあぐねて

それを重ね重ね 重ね集めて

机の引出しを すべて開けて調べた

箪笥の中味を すべて引っ張り出した

家具を すべて どかしてもみた

だが 見つからぬ 探し出せぬ 復元ポイント

冬の冷たい雨降る日に ポツポツと

ぼくはたった独りで・・・




あの きらびやかな夏の日

浜辺でふたり ふざけあった

あの スナップ写真

何の混じり気も無い 天然果実の

君の微笑み ビーナスの面持ち



時は 何の関わりも無く 流れ流れて・・・



生業のどぶさらいで 体だけでなく

心までをも 穢れてしまうような

ぼくの毎日

あの写真には 君の優しげで 艶やかな表情が

刻み込まれて いたはずなのに・・・




君と真心からつながっていた頃には

何とも思っていなかった

あの一葉のスナップ写真こそが

今のぼくにとっては

何よりもかけがえのない 復元ポイント




人生をリセットして あの頃へと戻りたい

野原でふたり 並んで寝ころび 仰向いて

冴え冴えとした青空を眺め

その青空へと 吸い込まれていった

ふたりの青春

飛行機雲が 空を切り裂き

真実を暴くのにも 気づかずに

屈託無く 大声で笑いあい

時の過ぎ去るのさえも忘れた

あの時間 ダイヤモンドのような

眩光への リセット




そして ぼくは 大脳の

迷宮世界をボツボツと彷徨い旅歩き

必死になって 切迫した

胸の鼓動を抱えながら

冬の冷たい雨に叩かれ たった独りで

探し続けるのが 復元ポイント




そのありかを ぼくは 忘却し

君は 破り去り

世界中の 誰もが

気にさえも 留めるわけもなく

未だに 何処にも 何にも

見つかりやしない

それが ぼくの 復元ポイント






二OO四年十二月四日




※この詩の御題は、ココナツさんからの戴きものです。
ご好意に甘えて、タイトルを戴き、作詩しました。
出来が悪いのは、自分のせいです。

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