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2008年01月14日
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カテゴリ: 書籍
■夕刻のコペルニクス(1)

■夕刻のコペルニクス(2)

書棚を整理していたら出てきた本『夕刻のコペルニクス』、この本は私の同級生の飲み友達「浜ちゃん」に5年くらい前に借りたもの。いまだ返していない理由がある。

本の著者は鈴木邦男さんという、当時代表をやめたかやめてないかくらいのときだったが一水会という右翼団体の人が書いた。私はそのころ、今井一さんというジャーナリストと一緒に、住民投票を普及させるための運動をやっていて全国各地で住民投票がなされている自治体を旅していた。

それであるときに、討論会をやることになってパネリストとしてきていただくことになった。左側から二名、右側から二名、著名な人を呼ぶことになっていて、そのときに右側代表として鈴木さんがいた。彼は私の近所、中野区の昔ながらの築40年は経つだろう風呂なしアパートに住んで慎ましい活動家だった。

それでこの浜ちゃんは鈴木さんの政治思想にゾッコンだった。だから私にその飲み屋でいろいろと聞いてくる。それで幾度か二人で政治談議をした。そんないきさつで『夕刻のコペルニクス』をぜひ読んでくれということで貸してくれた。

だが私は正直なところ、あまり新しい発見のない政治思想というのは興味がない。斬新的な右翼だと人は言うけれども、申し訳ないが、その新しさを私にとっては感じられなかった。だから読んでいないのだけれども、せっかくだから読んでみようと思った矢先、浜ちゃんは自殺したのだった。

私はもともと、政治や宗教の世界で、右に偏ったり左に偏ったり、唯物論や唯心論に偏ることは、心身ともに支障をきたすだろうと経験上感じている。これは私の身体武術論にもつながるが、どこかの一点に力を集中させるとそこはうっ血し、停滞を招く。だから力は分散させるのが最も適当であり、これを怠ると自らの行動を阻害する力が働く気がしている。だから浜ちゃんもそうなのではないかと思っていたら、やはり物事を深刻に考え過ぎるきらいがあって、精神的に追い込まれ、自殺を図ったのではないかと思う。

政治の無関心はよくないが、政治に飛び込む場合、かなり危険なものがあるので注意を要する。私は左右に偏ることについて、右に行くのならば、左にもかたよらせる必要をつねに感じてきた一つの根拠でもある。そのさい、恐喝や総会屋という営利目的のために右翼団体を名乗っているほうが、まだ人々に危害を加えている度合いが低く感じる。思想・宗教・哲学など精神性で人々を魔の世界に呼び込んでしまう方がはるかに危険であり、こういうものは法的には合法であるから、己の精神ひいては自殺などというものにおよびやすいとても怖いものなのだ。

それで、こういう思想を発した鈴木氏は「今世紀はナショナリズムの時代になるだろう」と言っている。

21世紀は間違いなく、「ナショナリズムの時代」になる。日本だって、国家の誇り、国の自立…と皆が急に言い出した。もう左翼も新左翼もない。皆が右傾化している。一億二千万の国民全てが実は「潜在右翼」なのだ。では一体、右翼とは何か。それを分かりやすく、面白く書いたのが本書である。


これは一つには正しいが、意味が少し違うように思う。



近代以前のナショナリズムとは現代でいうところのローカリズムであって、青森から鹿児島までを一つの国として、昔の人たちは認識していない。だから同じ日本語の文法を使いつつも、各方言に頼るのであれば通じないものもあるだろう。現代では、テレビ・報道などの共有化によって、徐々に世代が交代し、標準語化されつつあり、「何を言っているのかさっぱりわからない」地域は激減したと思う。

つまり今世紀はこのローカリズムこそが、日本本来のナショナリズムであったと認識する時代になるのではないかと考える。

江戸時代を境にすると、ナショナリズムとは、開いた系において民族優位思想が侵略を招き、閉じた系において平和を築くと考えられる。したがって自然主義経済という閉じた系における地域ごとのナショナリズムは賛美されるべきだが、ネーションという舶来の概念に取り囲まれた現代に通常使われるナショナリズムは危険この上ないだろう。ところが、日本の民族主義者たちは、大和民族の本質ではない「舶来のネーション」思想に取りつかれてしまっているのだ。それもこれも「国際社会で強調しなればならない」という、いつのまにか埋められた「近代西洋こそ正義」から成り立っている。国連主義とは、この「近代西洋こそ正義」に他ならない。部族ごとに生活していて中央政府を持たぬようでは、「文明にあらず」とされてしまうのである。

この論理は、国家権力にとって非常に都合のよい理屈だ。国民から自動的に徴税できるようにするためには、自給自足経済をやられたら困る。楽して食うためには、貨幣経済を発展させ、自然の恵みを物質化させ人工的にし、人々を機械的に労働させねばならない。プラス利子機能をもつ貨幣こそは、国家にとっても大企業にとっても、あるいはそれを支配する人間がいても、すべからく有利なのである。

したがって、減価する通貨を使用する自然主義経済は、こうした近代西洋を日本の本来に取り戻す要素を持っている。百回近く私が耳にしている「そんなことをしたら外貨や宝石を皆が買い求めるだろう」との質問に対しては、なぜそのような問いを持つのか。そのように考えてしまう原点をもう一度考えてみよと言う。そうでないと、このお金なるものが人間を支配している根拠をつかめないからだ。

国政では最近、道路の問題で紛糾した。必要であるのならば道路を作るのをよしとする地方の知事、もはや日本には道路は不要であるという都市の知事、いずれもが存在する。

東国原英夫宮崎県知事は、新幹線を通したい、道路を通したい・・・と思うだろう。しかし、それが宮崎産のものが売れなくなってしまう大きな要因となることまで考えていない。彼は資本主義者であるからだ。地方のことを考えるのであれば、この「プラス利子機能」「ストックのできるお金」という価値をすべて捨ててしまわねばならない。

■リアルアクションヒーローズ/ そのまんま宮崎

ある老人から話を伺った。小さい頃、奈良県に行ってそこの老いた親戚は、刺身を食べることがほとんどないと言っていた。刺身を出されると、おいしいおいしいと言ってたくさん食べたら、翌日から2日間下痢になった。食いなれないものを食べたからである。奈良県に海はない。だから奈良漬という保存食がある。

■胡瓜奈良漬 固形量400g


その地形・気候からすると漬物を食べるしかなく、海産物などほとんど食べない。私の小さいころだって、この奈良県のあたりでは納豆は売っていなかった。食文化が違っていた。

[茨城]亀印水戸納豆せんべい


ところが道路が大阪、京都まで引かれたらどうだろう。高速道路が通ったらどうだろう。寿司屋なんて長野県にも山梨県にもある。貨幣の往来も進む。便利になる。そうなると、そこでの産物よりも、東京の資本こそが大きくなる。こんな当然のことを認めておいて、宮崎県の再生も何もないのである。

私は東京出身者として、年々地方がどんどん東京みたくなっていくことについて、ある種面白くなさを感じる。国道を走ればどこも同じような風景、ジャスコ、マクドナルド、ケンタッキー、吉野家、紳士服の青山、アオキ、西松屋、シダックス、セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート・・・・だらけだ。



これまでの経済・軍事による左右対立が全く意味なきものであることについていつ気づくのであろうか。こんなことに没頭する人間は一部の政治マニアだけであって、国民生活とはなんらかかわりのないことであり、国民が求めていることに焦点を合わせるのが政治家の勤めであろう。

だが、新イデオロギーなき時代には、浜ちゃんをまだまだ生み出してしまうのかもしれない。





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最終更新日  2008年01月14日 22時25分59秒
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