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以下は実話です。それは先月のこと。ゴルフに関する仕事で私は晩秋の宮崎にいました。世界を代表する某プロゴルファーにインタビューし、それを記事にするという仕事でした。ビッグな相手なので失礼があってはいけないと思い、早めにインタビュー会場に出向き、事前にカメラマンと下見に入ったのです。そこはゴルフコースのクラブハウス二階にある、美しいメンバーラウンジ。マホガニー調の家具がずらりと並び、中央に鎮座する本格的な暖炉が高級感を盛り上げ、棚にディスプレイされた壷や食器の調度品も見るからに高価そうで、豪華な雰囲気を盛り上げています。うん、ここならバッチリだろう… 私は満足げに頷くと、約三十分後に始まるインタビューに向けて、質問内容を頭の中で整理し始めました。しかしふと周りに目をやった時、ラウンジの隅にある大きなソファーで眠りこけている、一人の男を発見したのです。年の頃は50前後か? 白髪頭と頬のこけた細面の横顔、そして折れ曲がりそうなほど急な角度で首が曲がっている寝顔からは、おそらくその男がかなり疲れていることが見受けられました。もっともその横顔は、ふかふかの大きなソファーに顔が半分ほど埋まっていたので、私もその男性の顔をしっかりと確認したたわけではありません。それでもその男性の顔をチラリと見た瞬間に思ったのです。あれ、俺この人知ってるぞ… でも誰だったっけ???しかしそんなことより私が気になったことは、「せっかく高級感溢れる場所を確保したのに、こんなオッサンが居たら、雰囲気ぶち壊しじゃないか…」というイライラ感でした。「…んもう、早く起きてどこか他の場所に行ってくれないかな」という願いも全く叶わず、インタビュー開始まで後10分という緊迫した事態になってきました。私は思い切って、その男性に声をかけました。「あのー、すみませんが… 寝るなら他へ行ってくれませんか?」 しかしどうやら深いノンレム睡眠に陥っているようで、微動だにしません。ええい、こうなったらもう強引に叩き起こそうと思い、男性の肩に手をかけようとした瞬間、後ろから声が聞こえました。「お父さん、どうしたの、そんなところで寝て!」という男性の声。そうか、息子が迎えに来たのか、と思って私は振り返りました。そこに居たのは… まだ成人も迎えていない若者なのに、日本のゴルフ界を支える男、石川遼選手でした。え? ということは…「ああ… よく寝たな。ふー」目の前で声をかけても起きなかったのに、可愛い息子の声を聞いた途端に立ち上がった、その男性は… そう、遼君パパだったのです。そこから遡ること数時間前。その日の朝、某ゴルフ雑誌の記者が話していたことを思い出しました。「日本のゴルフ界で、現在一番影響力を持っている人は誰か分かりますか?それは石川遼選手のお父さんですよ。取材とかで遼君の協力を得る場合は、まずお父さんの了承を取ることが全ての第一歩ですから。メディアは誰もあの人に逆らえません」なるほど。だから寝ているところを見ても、誰も起こさなかったのか…何より、一年間の過酷な戦いが続き、おそらく息子以上に父親も疲れていたのでしょう。日本のゴルフ界を今年も盛り上げてくれた父と子。今はしばしの休日で英気を養っていることと思います。どうぞゆっくりとお休み下さい。そして石川遼選手には、一日も早く世界の舞台で戦って欲しいですね!
2010.12.19
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冷たい秋雨に濡れたニューヨークで、昼間から麦酒を片手にテレビを点けると、英国ニューポートで開催中のライダーカップを中継していた。この欧米対抗戦は奇数年に開催されていたが、この街を襲ったテロによりその年が中止となり、以降は偶数年になったことを思い出す。 ホテルの窓外に臨むグラウンドゼロへ視線を落とし、米国人気質とゴルフ米国代表戦との相関性に焦点を当て、長い歴史を持つこの試合を新たな視点で考察してみよう。 米国籍を持つプロゴルファーが、デビュー時にメディアから「目標は?」と質問されると、最も多い返答は「ライダーカップのメンバーに選ばれること」。勝っても一ドルさえ貰えず、名誉と威信の為だけに戦うこのマッチへの出場に、彼らは誇り高き勲章を投影しているように映る。 昔は英国対米国だったことを、ゴルフ史に詳しい御仁はご存知だろう。ところが79年から、英国軍は欧州連合に変更された。ここが最初の興味深いポイント。 それは欧州側の希望を米国が快諾したのか、もしくは米国側の提案なのか、当時の経緯は存じないが、いかにも米国人気質を彷彿(ほうふつ)させる話だと直感した。つまり彼らは、自分達が多少不利に陥ることになっても、同等な立場で戦うことを望み、その上で勝つことに至上の喜びを見出すのだ。 SF映画の傑作『ブレードランナー』でハリソン・フォード演じる主人公が、人造人間と戦うものの相手が強すぎて全く歯が立たず、もう殺されると覚悟すると、その人造人間は遊び相手を失った子供のように、淋しそうな仕草をする場面がある。 その演出はこの話を象徴している。そう、米国軍は常に激しく競った上で勝利を得たいのだ。僅差で負けるかもしれない条件を敢えて設定し、そして勝たねばならない宿命を自らに課した。もしくはそう仕向けた。何ともストイックな奴等だ。 また過去のライダーカップで幾度も目にしたが、日頃は冷静な米国選手が子供のようにはしゃぎ回る光景が記憶に刻まれている。九十年代の同大会で、あの物静かなデビッド・デュバルが見せたガッツポーズ十連発とか、ジャスティン・レナードがバーディーを決めた際に、いつもの伊達男ぶりを忘れてグリーン上を走り回ったり… とにかく選手が普段のPGAツアーでは見られない大騒ぎを披露する。これが二つめのポイント。そしてそのジャスティン・レナードの浮かれように、「グリーンが傷つく。ゴルファーにあるまじき行為」と冷静に非難した欧州連合の態度が、実は最も面白そうな三つめのポイントである。 野球の早慶戦のように、両チームがバランスよく対峙(たいじ)しておらず、勝負への背景と目標が両者で微妙に異なるように感じられる。欧州連合も勿論、国籍こそ違うが、戦意の高さやチームワークは抜群である。 しかし彼らが真剣に戦う一番の理由は、まずアスリートとしての戦闘本能であり、次にまるで「自分達が盛り上がる為に作られた大会」と、勝手に位置付けている米国軍にひと泡ふかせてやろうという、内に秘めたる闘志だと見受けられる。彼らに共通の星条旗は無いのだから。 政治も経済も世界のリーダーとなったUSA。彼らが唯一手に入れられず、欧州に対して抱く最大のコンプレックスは、『歴史』が浅いこと。こればかりは時間が蓄積しない限り、幾らお金を積んでも買えないのだ。だから米国人達は歴史を築く行事に、本能的に必死に取り組むのであろう。 『国の威信』という、ハンバーガーよりもコカコーラよりも大好きなキーワードを自ら眼前にぶら下げ、必死になって戦う米国軍。いや我々こそが真の世界最強ゴルファー軍団、とクールに胸を張る欧州連合。いずれにしても観戦するには最高に楽しいゲームのひとつである。 さて日本人も『国の威信』は大好物。サッカーのワールドカップや野球のWBCを見ると、代表戦に対する情熱が相当激しいことは疑いようが無い。 ゴルフはどうだ? 例えば日韓戦も、選手達は本気で取り組んでいることが伺えるが、ライダーカップに比べると、やはりまだビッグイベントにはほど遠い。 日の丸を胸にティーオフする選手達と、それを応援する国民達。そんな新たな視点のマッチに注目が集まれば、オリンピック種目に加わったこともあり、ゴルフ界の底辺も拡大され、更に優秀なゴルファーを誕生させる礎(いしずえ)となるであろう。 そんな日の到来が決して遠くないことを私は密かに期待している。
2010.10.19
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「そりゃあ花嫁に決っているだろう。新婚時代は誰でも自分の嫁が世界で一番可愛く見えるもんだよ。しかも花嫁ということは、結婚式の時だろう。さすがのゴルフ狂もその時だけは別だな」とおっしゃる、そこのお兄様。いやいや、世の中は広い。スコットランドのモンテローズ侯爵の話を聞けば、果たしてゴルフと花嫁、本当にどちらが大事なのか分らなくなってきますよ。軍人であり、詩人であり、そして何より熱狂的なゴルファーであった、モンテローズ侯爵。ゴルフ史に残る伝説的な出来事は、自分の結婚式を翌日に控えた、親族だけの祝賀パーティから始まりました。以下は1629年のスコットランドで実際にあった出来事に、筆者が想像で二割だけ加筆したセミ・ノンフィクション(?)物語です。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「ポール、おめでとう~」近寄ってきた叔父のジョンは、すでにかなりの量のワインを飲み、完全にデキあがっていた。「いやあ、この前までよちよち歩きをしていたお前がもう結婚とはな… 本当に嬉しいよ」祝いの盃を勧められた若き新郎のポール・モンテローズ侯爵は、「おじさん、有り難う。ところでゴルフの調子はどう?」と答えた。二人は共に大のゴルフ好きだった。「いやあ、最近はあまり行ってないな… でも今年の春からドライバーの調子が良くてね。知ってるだろ、アビーロード・カントリークラブの8番、距離の長いパー4だ。昨日はあそこで、セカンドが残り100ヤードだったよ、フフフ…」とジョンが言うと、“どこが最近は行ってないだ!”とポールは腹の中で叫びながらも、「へえ、あそこで残り100ってことは、ドライバーが300ヤード以上も飛んでいることになるよ。そんなバカな、この17世紀に… タイガー・ウッズの登場にはまだ300年ほど早いよ」とポールは叔父の発言を全く信用しなかった。「ウン? すると何かい、お前は俺がウソをついているとでも言うのか?」目が据わって反論してくるジョンに、「いやウソとは言わないけど、感違いじゃない?」とポールは軽く流したつもりだったが、「冗談じゃない!!」とジョンは興奮して立ち上がり、右手のワイングラスから中味をこぼしながら叫んだ。「よし、お前とは前から一度、本気の勝負をしようと思っていたんだ。明日やろう。俺には絶対に勝てないことを、お前の眼に焼き付けてやる!」と言うジョンに、「バカなことを言わないでよ。明日は僕の結婚式ですよ」とポールはあきれて答えた。「あ、そうだったな… まあ確かに親戚も集まっているから、最初から居ないのはまずいな。えーと… 乾杯の後に俺の弟、つまりお前の親父の挨拶がある。それが終わったら“ちょっと腹が痛くなった、部屋で少し横になる”と言って会場を抜け出せ。同じタイミングで俺も出る。その30分後、アビーロード・カントリークラブの1番ティーグラウンドに集合だ。分ったな。来なければ、お前は永遠に敗者ゴルファーとしてらく印を押されるぞ」その捨てゼリフが、ポールのゴルファー魂に火を点けてしまった。翌日、祝宴の真っ最中に突然の腹痛を訴えた花婿を心配する花嫁に、ポールは「大丈夫だ、すぐ戻る」と微笑み、トイレに行くふりをして外に出ると、馬にまたがりゴルフコースへ一直線。そして既に到着していたジョンが待つ1番ホールに着くと、何と礼服のままでティーアップしたという。そして二人の熱戦は日没まで続き、全くのイーブンで決着がつかなかった。「叔父さん、こうなったら明日もつきあってもらうよ」ゴルファーとしての闘争本能がメラメラと燃えているポールが言うと、「おー、もちろんだ。明日こそ叩きのめしてやる」と若者に体力では劣るが、技術で対等の結果を出しているジョンも眼がギラついている。二人は召使に運ばせた料理を存分に食べ、ワインをたっぷり飲むと、コース近くの山小屋で夜明けまでの仮眠を取った。そして翌日は夜明けから日没まで一日中の大勝負。しかしまたも引き分けに終わる。その日は二人とも自分の城から召使いを20名ほど呼び、1番ホールの横に仮説テントを建てさせ、睡眠や休憩に使えるようにした。次にグルメのジョンは、自分の料理人5名をそのテントに待機させ、二人が食事したい時にいつでも暖かい料理が出せるようにした。そしてジョンとポールの二人は合計3日間、夜明けと共にゴルフを始め、腹が減ると料理人に食事を作らせ、日没まで“ゴルフだけ”をしたのだ。そしてその頃、新郎の家では一人ぼっちの哀れな新婦が、シーツの端を噛みながら涙で枕を濡らしていたのであった。結婚して3日が経過。しかし、披露宴の最中に姿を消した夫はいまだ戻らず… ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・少し補足しますが、モンテローズ侯爵はスコットランドの歴史に残る勇敢な武将であり、自然を描写する表現力に優れた詩人でもありました。しかし常に革新的な態度と言動を発した彼は、それを煙たく思った当時の国王に、まだ38歳という若さで処刑されてしまいます。しかしながら、結婚式の途中から3日間も放置されたその妻も、モンテローズ侯爵に勝るとも劣らない悲劇のヒロインでしょう。ご夫婦揃って誠にご愁傷さまでした。さて、貴方はゴルフと花嫁、どちらが大事ですか?参考文献:『ゴルフの達人』(夏坂健)より追記:この『晴孔雨筆』はゴルフネタのブログですが、他に様々なテーマで書き綴るブログ『うたかたの言葉たち』↓も公開しています。ぜひ一度覗いてみて下さい。http://ameblo.jp/hideppsugi/もし気に入って頂ければ、読者登録などして頂ければ嬉しく思います。
2010.09.07
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貴方は、『ゴルフ史上最も美しいスコア』を知っていますか? それは1926年、全英オープン予選の初日に誕生しました。 当時のゴルフジャーナリスト達は、そのあまりに美しいスコアを目にし、 まるで初めてハリウッド女優を見た田舎の少年のように、 羨望と賞賛に満ちた表情で、開けた口を閉じることができなかったのです。 そのスコアを出したプレイヤーは… やっぱりこの人。 ことゴルフに関して、『美しい』とか『伝説的な』とかいうフレーズになると、 必ず登場しますね。そう、球聖ボビー・ジョーンズ。 弁護士になるほど頭が良くて、モデルのように粋な伊達男で、 ゴルフが信じられないほど上手くて、おまけに俳優顔負けの美男子。 しかも同性からは嫉妬どころか、その厚い人望で全ての男性から好かれ、 女性からの絶大な人気は言うまでもありません。 全て揃いすぎですよ、ボビーちゃん! これだけ揃うと、きっとどこかヒドイ欠点があったに違いない。 例えばすご~く足が臭いとか… (筆者のひがみ) さてそのボビー・ジョーンズが出した、『ゴルフ史上で最も美しいスコア』。 何がどう、美しかったのでしょうか? まずトータルスコアは66。これは確かに素晴らしいスコアですが、 トッププレイヤーならさほど珍しくないかも… しかし、驚くなかれ。その内容が凄かったのです。 66の内訳は、アウト33、イン33、全ショット数33、全パッティング数33。 パー5は全ホール2オンで、スコアは全てイーグルかバーディの3か4。 パー4のホールも全てバーディかパーで3か4、逆にパー3のホールは バーディが取れずに全てパーの3か、もしかしたらボギーの4があったかも (ホールごとのスコアが不明の為に分らず)… とにかく最終のスコアカードには、各ホール、トータルスコア、トータルパット数、 全て3と4しか数字がなかったのです。 当時のゴルフメディアは、『ゴルフ史上最も均整美のとれた芸術的なスコアである』 と絶賛したのでした。いやはや… 凄いと思いません? 今から80年以上も前の話ですよ。 まずパー4はまだ理解できます。一生懸命プレーして全てパーかバーディ。 これは上級者なら、まあ有り得ますね。 次にパー5。これが凄い。チタンフェースもユーティリティクラブもない時代に、 4ホールとも2オンして、イーグルかバーディしかないンですから。 さて問題は、一つもバーディが取れなかったパー3。 もしかしてスコアカード上を3と4だけで揃えるために、わざと外した? まさかね。そんなチープな小技はボビーには考えられません。 でも結果的に『ナイスミス』で、見事に美しいスコアが誕生したのです。 スコアだけにこだわり過ぎると嫌われますが、こんな絵になるきれいな スコア造りなら楽しめそうです。 一般アマでも可能性があるパターンは… 全て4と5かな? パー5は頑張って必ずパーかバーディ。パー4はボギーまでオーケー、 でもバーディはダメよ。逆にパー3はボギーかダボでよろしく。 ハーフで4を五個取って、5を四個取ったら計40。 後半のハーフも40で、トータル80。ウ~ン、ビューティフォ~~! 長いゴルフ人生、たまには絵画を描くように、美しいスコア作成などに トライしてみてはいかがですか?
2010.07.26
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『ゴルフの恨みは百年消えぬ』 これはスコットランドに伝わる格言です。この世に『恨み』は数多くあれど、ゴルフの恨みが最もタチが悪く、何ともしぶといことに百年も消えないそうな。仲の良かった友人同士が、プレー中の他愛ないひと言から大喧嘩に発展し、絶交状態に陥ったゴルファーを私も知っています。多くのゴルファー達は、同伴者のプレーを評価することが大好きです。決して悪意は無いのでしょうが、パットがショートしたら「打ってない」、オーバーすると「それは強い」、短いパーパットを外すと「あーもったい無い」… 大きなお世話ですよね!! 誰が解説を頼んだ! わざわざそんなこと言われなくても、自分が一番分っているよ!!!フー… 失礼しました。思わず興奮して血圧が上ってしまいました。私はいつもそのような発言を無視していますが、腹の中では『イチイチうるさいヤツだな』と思っています。ですからひと言多いとよく言われる御仁は、ご注意あそばせ。悪気はなくとも、慰めたつもりでも、相手はそのひと言を何年も根に持っているかもしれませんよ。さて、私はその『ゴルフの恨みは百年消えぬ』の続編に、『ゴルフの恥も百年消えぬ』を付け加えたいと思います。ゴルフの世界で一度恥をかくと、百年(?)近くも繰り返してネタにされるので、重ねてご注意を。その恥とは、ひどいスコアだったとかOBを何発も打ったとか、そういう類いではありません。それらは何も恥ではありません。今回お話する恥とは、ゴルファーとして、そして人間として許されないことです。以下は実話です。ある業界では、年に一度開催される大きなコンペがあり、各社の社長はその日に向けて特訓し、自慢の腕を競い合うのです。そしてA社のA社長はゴルフが上手いことで有名でした。業界全体が注目する中で、ぶざまな大叩きはその強烈なプライドが絶対に許しません。そしてコンペ当日。Aさんはいつものようにショット・パッティング共に素晴らしく、前半を終えた昼食時では、儀式のように参加者がAさんのスコアを尋ねに集まってきます。「おっ!さすがAさん、また今年もべスグロ優勝だな」と皆から誉められ、本人も注目されているという優越感でご満悦です。後半に入って、あるパー3ホールに来ました。かなりの打ち上げでピンの先端は見えますが、グリーンは見えません。Aさんの打ったボールはピン目指して一直線。「これはナイスオンだ」と同伴者たちも賞賛の声。全員が打ち終わってグリーンに向かうと、Aさんは唖然としました。一つもボールが乗っていないのです。「おかしい。ピンに絡んだと思ったのに…」Aさんはそう呟くと、グリーン周りで同伴者たちと一緒にボールを探し始めました。しかしどこにも無く、ルール上で認められている時間を過ぎても、「絶対にあるはずだ」と、まだAさんは探しました。同伴者たちが『ロストボールだからあきらめたほうが…』と冷やかな目を見せ始めた時、「なんだ、こんなところにあった」とAさんが声を上げました。そこはグリーン奥のラフで、「いやあ、芝に埋もれて分らなかったよ」とAさんは笑いながら、ウエッジで見事にOKの距離に寄せました。「うまい!」と声を上げた一人が、グリーンに上がってピンを抜こうとすると、「あれ?」と叫んでカップの中を覗きこみました。何とそこにはボールが一個入っていました。そして拾い上げたそのボールには、Aさんのマークが記されていたのです。Aさんと同伴者全員はすぐに状況を理解しました。Aさんのティーショットは見事なホールインワンだったのです。だから当然グリーン上に無かった。するとAさんがアプローチしたのは… 『卵を産む』と言いますが、ロストボールやOBだった時に、周りに気付かれないようにそっとポケットからボールを落とし、「ここに有ったよ!」とごまかす不届きなゴルファーがいるのです。そしてAさんも魔がさしたのか常習者なのか、ラフで卵を産み落とし、それがバレたのでした。せっかく生涯の記念になるホールインワンだったのに、自分のプライドを維持することに目が眩み、一転してこれまでの名声を全て失う大恥をかいたのです。その話は、あっという間に業界内に知れわたりました。それ以来Aさんをゴルフに誘う人は激減し、彼は信用に値しないと仕事にも悪影響を与え、それだけが原因とは思えませんが、数年後に転職して家族と地方へ引っ越していきました。ゴルフの恥は怖いですね。その出来事からもう数十年も経っているのに、いまだに私がブログのネタにしているぐらいですから。ゴルフの罪に時効は無いのでしょうか…ゴルフの恨み、恥、それらはスコアに固執しすぎるために生れる、ゴルファーの煩悩であり、人間が本来持つ弱さなのでしょう。ゴルフとは、自分の人間性に対峙して自分の器の大きさを計測され、それを他人の前で告知されるという、背筋も凍るような恐ろしいゲームなのかもしれませんね。
2010.06.23
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欧州ゴルファーの間では、このような言葉が昔から言い伝えられているそうです。どういう意味なのでしょう?ゴルフの達人いわく、パッティングが上手くなるためには、三つの能力が備わっていなければならないとのことです。それは観察力と想像力と決断力。まずグリーンの芝目や傾斜を正しく読み(観察力)、こんなラインで入るかな…とボールが転がっていく様子や速度をビジュアルでイメージし(想像力)、一度決めたら迷わず真っすぐにヘッドを出す(決断力)。そしてその三つは、相手を惹きつけるための会話力にも必要不可欠なものである、と補足しています。まずその場の空気と相手を『観察』し、どのような話をすれば興味を持つだろうと『想像』し、そしてネタを切り出すタイミング『決断』も大事ですね。それらが全て施された人の話は、とても満ち足りた時間を演出してくれます。だからそういう人との食事は楽しいだろうという、ゴルファーならではの分析です。ちなみに私は、ご馳走してくれるならどなたとでも食事をしたいですが…
2010.05.29
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世界中から熱い注目を浴び、著しい右肩上がりの成長を続ける中国市場。ご多分に洩れず、ゴルフ産業にも多大な影響を与えているようです。当初は、その強大な生産力の供給による『工場地』と言う扱いでしたが、新富裕層の登場により、飛躍的にゴルファー人口が伸びているそうです。欧米や日本、韓国の事例を見るまでもなく、富裕者層がゴルフを溺愛するまでに時間がさほどかからないことは、疑いようがありません。何しろ人口が13億を超えた国なのです。国民のたった1%でも、日本のゴルファー人口を抜いてしまうのです。あっという間に中国にもゴルフブームが訪れ、世界のゴルフ産業に衝撃を与える日も近いことでしょう。さて現在の米国女子プロゴルフでは、韓国人選手が強い存在感を見せ、我々日本人に少し寂しい想いをさせていますが、ほんの数年後には中国人選手達がゴルフ界を席巻しているかもしれませんね。想像してみて下さい。上海雑技団の、あの驚くべきバランスと体のしなり。あの身体能力を持つ選手に、「この棒でこの球を、同じリズムで何百回と打ちなさい。腕力は要らないよ。真っすぐに飛べば良いから」と言ったとします。おそらく彼らは、鼻歌混じりで永遠に打ち続けることでしょう。それでは…『仮想』20年後の中国ゴルフ事情。ある日曜日、テレビをつけると…「ニイハオ~。ここパンダ・カントリークラブでは、中国オープンの最終日を迎えています。何と20万人のギャラリーが押し寄せており、人との接触や混雑を気にしない国民性からか、フェアウエイの中にまでファンが入り、選手達は思いっきり触られまくっています。おっと15番ホールでは、プロデビューしたてのタイガー・ウッズ二世が、またギャラリーにウエッジを盗まれました。今週2本目です。えーと… 現在の首位は、上海雑技団出身で、逆立ちしてショットする杏仁・ドーフ選手ですね。もう普通には打てないそうですよ。なおキャディは、横でパターを使って皿を廻し、ギャラリーからお金を取っているようです」… 冗談はさておき、中国色満載のゴルフ場があれば本当に楽しそう!昼食は、チャイナドレスのウエイトレスが運んでくれる、ワンタンスープとチャーハン。茶店には、小腹を満たしてくれる餃子や飲茶もあります!また竹がふんだんに使われたコースでは、週末の早朝は地元の住民に解放され、『タケノコ狩り』で子供たちやお母さんも大喜びです。おや? クラブハウス奥の個室では、『中国式19番ホール』として、何とみんなゴルフウエアを着たままで、麻雀が始まっているようですね。4人が緑のじゅうたんを囲み、白くて硬いもの(麻雀パイ)を転がす。大のオトナ達が、真剣になって時間を忘れている… ゴルフと麻雀の意外な共通点。そんな楽しい『チャイニーズゴルフ』の登場を、私は本気で待っています。それではまた。再見(ザイチェ~ン)!
2010.03.23
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全く同じと思っている日米のゴルフに、意外と異なる点が多いことをご存知ですか?プロの試合や国際競技のことではなく、我々のようなアマチュアゴルファーが週末に楽しむ一般ゴルフでのことです。以下は私がアメリカで経験した実話です。「あれ? 私がオナーのハズだが…」 と言わんばかりに、日本からゴルフ旅行に来たNさんは、堂々と先にティーアップを始めるロバートを、少し悲しい目で呆然と見ていました。 確かにNさんは前のホールでただ一人バーディを取り、 ロバートはダボだったので、当然の疑問です。日本では常識の『打順の決まり』ですが、アメリカ人達はあまり打順にこだわらないことに、私も以前は驚かされたものです。 誤解を生まないように補足しますが、アメリカ人ゴルファー達も『前のホールで一番スコアーの良かった人間から打つ』という打順の決まりを、もちろん知っています。 でも遅延プレー対策の一つとして、既に準備が出来ている人や、やる気満々の人から打ち始めるという暗黙の了解が存在し、『レディーゴルフ(Ready Golf)』と呼ばれて完全に市民権を得ているのです。 順番にこだわる人も中にはいますが、友人同志やパブリックコースでのプレーでは、 ちゃんと決りどおりに打つほうが少数派と言えるでしょう。「なるほど、そうですか…」と、私の説明を聞いたNさんはようやく納得しました。 どうやらさっきから何ホールも、ロバートにオナーを奪われていたようです。 『確かに日本はプライベートなラウンドでも、打順はきちんと守るよな…』 と私が思っていると、突然Nさんが真剣な表情になり、 「じゃあラスベガスはどうやって計算するの?」と詰問してきました。 「ラスベガスっていうぐらいだから、アメリカが本場なんでしょう?」 と一見筋が通っているようで、全く根拠のない意見をぶつけてきたのです。 「私も長年アメリカ人とゴルフをしてきましたが、その人が個人的に日本人ゴルファーと付き合いが無い限り、ラスベガスというベットを知っている人はまずいないでしょうね」と説明しました。 何より誠に失礼ながら、一般的なアメリカ人ゴルファーがあれほどの複雑な計算を、毎ホールできるとは言い難い、もしくは好まないでしょう。 「じゃあ、アメリカ人同志はニギラナイのですか?」とNさんが聞いてきました。 「いえ、アメリカ人も好きですよ。最も好まれているのはスキンゲームでしょうか。 ただ、おしなべてレートは低く、勝っても負けても小額でしょう」と答えました。さて日米ゴルファー、どちらが『ギャンブル好き』でしょうか? 個人的な意見としては日の丸に軍配を上げますが、その真実は定かでは有りません。 ただ過激なギャンブル・ゴルファーに出会えるのは間違いなく日本だと思います。 そのようなゴルファーならぬギャンブラーは、ゴルフクラブなど持たずに、それこそ最初からラスベガスに行ったほうが良いのでは?そのほうがお金も貯まるかもしれませんよ!(チクリ)
2010.02.25
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私は自己流ゴルファーです。誰かにゴルフをしっかり習ったという経験がありません。 どうして教わらなかったかというと、過去に嫌な想い出があるからです。トラウマですね。今日はそのお話をしましょう。それは… 今から25年ほど前だったと思います。ゴルフを始めて日が浅かった私は、家の近くの打ちっ放し練習場に足繁く通っていました。 皆さんもご経験があるでしょう? ゴルフが面白くて、楽しくて、仕方ない時期。その日も指の皮が剥がれて血が出るまで打ち、それが単に力の入りすぎである事を知らず、 「やっぱり上達するためには血も流さないと…」と1人で納得しながら指にバンドエイドをぐるぐる巻きにしていると、ふと壁に貼られた手書きのポスターが眼に入ったのです。 そこには『当ゴルフ場認定レッスンプロ○○氏から直接レッスンを受けられますよ! 30分200円。フロントまでご連絡下さい』と書いてありました。その安すぎる料金が既に怪しいのですが、 やはり1度くらいはプロに見てもらおうと、私は何の疑問も持たずに早速申し込んだのです。 10分ほどして現れた初老のレッスンプロは、掃除のおじさんかと思ったほど影が薄く、 おそらく3年は笑っていないだろうと推測されるほど、ひどく無愛想でした。 「たぶん有名なプロだから無口なんだ。うーん、まさに職人の雰囲気だ…」と思い、こちらから精一杯の笑顔で話しかけようとしたら、「打ってみろ」とただ一言。 そして言われるままに打ち出したのですが、10分ぐらい経っても何も言ってくれません。 少し疲れてきたのでふと振り返ると、そのレッスンプロは、隣の打席で練習するミニスカート姿の若い女性ゴルファーを、ジーッと舐め回すように見ていたのでした。「あのー、どうですか?」と私は尋ねました。「え、あ… そうだな、こうバシッと打ってビシッと決めるんだ」と掃き捨てるように言ったのです。「はあ???」と頭の中が混乱する私に、「とにかく、ビシッと打つんだ!」と擬音語ばかりが続き、何のことやらまったく意味不明でした。でも、「きっと… 自分がまだ初心者だから言葉の意味がわからないんだ」と自分に言い聞かせて続けて打っていると、「違う!もっとバシッとだ!」と言い続け、「あー、何度言ってもわからない奴だな」と、突然怒り出したのです。 そして犯罪者を扱う刑事よりも横柄な態度で、「あー、もうだめだ。せっかく教えても全然理解できんようなら、ゴルフはやめたほうがいい」 と言って、まだ15分程しか経っていないのに、呆然と立ちつくす私を横目に欠伸をしながら消えていったのです。 その日、私は人生の活路は自分で切り開かねばならないことを学びました。皆さんもあまり何でも周りの人の言うことを聞かずに、自分を信じて突き進んで下さい。そして、安すぎるゴルフレッスンだけは絶対に受けたらだめですよ。数十年もトラウマを引きずることになりますから。
2010.01.26
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様々な職業の人間が出入りするハリウッド業界に、『フーチャリストFuturist』という、文字通り『未来』のことを推測して、映画制作に役立てる人たちがいます。とてつもない未来、例えば西暦5000年とかになると、もう何でもありなので、物語の設定に矛盾も何も無くなります。でも例えば40~50年先といった近未来となると、辻褄が合っていないと観客は一気に白けてしまうのです。そんな時がフーチャリストの出番。監督の意向を聞いて、街のセットから服装、家電製品や食品など、全て空想で造り上げるのです。もちろん科学的根拠に基づいていることが条件です。例えばSF映画『マイノリティーレポート』や『I, ROBOT』は、今から数十年後のアメリカという設定なので、リアリティを作るのが非常に難しい題材です。しかし加速度的に進化すると思われる通信機器や自動車、逆に今とあまり変らないであろう衣服や食品など、見事な近未来都市を創作していました。そこで今回は未来のゴルフコースがどうなっているか、素人フーチャリストの私が推測して、短い物語を作ってみましょう。では… 『未来のゴルフコースを訪れるツアー』の出発です!2059年。東京にて。… 2059年10月のある日。ここは東京近郊の○○市。栃木県のゴルフ場を目指して、リョウとユウタはそれぞれ愛車を走らせていた。相変わらず高速道路は渋滞で、都内から栃木まで10分もかかってしまうが、昔はこの距離に2時間近くもかかったらしいことを、二人はどうしても実感できない。数年前に首都圏に建築された『新高速道路』は道路の下に電磁波が流れており、そこに最新型電気自動車で乗り入れると、ほぼ音速と同じスピードでどこでも運んでくれる。しかし朝の音速道路は乗り場に皆が集中するので、その待ち時間に10分も取られるのだった。二人は互いに車の運転席画面に映る相手の顔を見ながら、耳に付けられたイヤリング式超小型携帯電話で、今日の勝負について語っていた。「今日はプレー後のビールをかけようぜ」とリョウが言った。懐古デザインが大流行だけあって、二人とも80年ほど前に流行ったと言われる、胸に刺繍が入りわざと昔風に縫われたポロシャツを着ている(ご参考:プロのフーチャリストも、ファッションは未来になっても意外と今と変わらない、または繰り返されると言う。例えばジーンズなど、今のデザインも50年前とあまり変っていない)。「いいね、たっぷり飲ませてもらうよ」とユウタは笑って答える。ゴルフコースに着くと、スタイル抜群のロボットキャディが、微笑みながらカートにクラブを積んでくれた。二人は携帯式の腕時計型パソコンで、車の中からチェックインを済ませていたので、そのままカートに乗り込み1番ホールへと向う。「このコースは久し振りだなァ。さあて1番ホールは…」とユウタがカートに備え付けられたボタンを押すと、美しい3D画像が前面の空間に飛び出し、ホール紹介、攻略のヒント、コースデザイナーからのコメントなどが流された。それを横目に見ながら、流行りものに目が無いユウタが新型の八角形ドライバーをバッグから抜き出すと、「あー、それ買ったんだ!」とリョウが目ざとく近寄ってきた。「うん。ショップのオヤジが円すい型ドライバーはもう古いってさ。これからは八角形の時代だって。しかもこのクラブは、打ったその場で飛距離、スイングプレーンの角度、筋肉とシャフトのしなりバランス、全てソールに数値が出るから、問題点がすぐに分かるんだ」とユウタは嬉しそうに説明している。リョウは「へー、すごいな。僕はまだ今でも三角形タイプだよ」と言いながら、10年も前のクラブを恥ずかしそうに取り出した。しかし最新クラブで打ったユウタのボールを、50ヤード以上もオーバードライブした旧式クラブのリョウは、その飛距離に唖然とするユウタにニヤリと笑いかけ、「やっぱり道具じゃないね」と言った。「確かに」とユウタも笑っている。やっぱり道具じゃないね… 今も昔も多くのゴルファーが言ってきたそのセリフ。芝と砂と池の匂い。木々を揺らして自然のたくましさを誇示する山風と、かすかに塩の香を運んでくれる海風。それらは50年前も、おそらく100年前も変っておらず、100年後も変らないことだろう。そして人間関係を豊かにしてくれる、友人や家族と一緒にプレーする時間。これも永遠に変ることの無い、かけがえの無いひと時であり続けることだろう。ゴルフって、いつの時代も本当に楽しいですね!
2009.12.19
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筆者は昨年までの十二年間、米国カリフォルニア州に居住し、かの地でゴルフを楽しんでおりました。その頃「日本のゴルフ場にはあるのに、アメリカでは見たことのないアイテムが沢山あるなぁ~。売りに行ったら儲かるかしら?」と考えていたことをよく思い出します。『おそらく米国人から見たらユニークに見えるであろう』ランク付けをしてみましたので、下記に発表致します!前頭筆頭: 四人乗りカート米国のカートは大抵二人乗りなので、最初は驚きました。しかも四人乗りだと、ゴルフ場と言うより遊園地の幼児向け乗り物みたいで、それが地面のセンサーどおりに自動運転するので、例えるならばディズニーランドの『イッツ・ア・スモールワールド』みたいな雰囲気。しかもちょこんと行儀良く座っているのが、50代・60代のオヤジたちなので、とても滑稽で微笑ましい光景なンです。小結: 打順決め・棒1番ホールのティーグランドに刺さっているシルバーのポール。そこに入る4本の棒には1本から4本の溝が彫られています。これで打順を決めて下さいというわけですね。何という親切心。そして何というおせっかい。初めて見た時、同組の男性がジャラジャラと鳴らしながら4本の棒を持って迫ってきたので、「なんだ、この人は占い師だったのか。しかも1番ホールでいきなり占ってくれるなんて…素敵」と感動したことを記憶しています。関脇: ティンカップ日本はほとんどのゴルフ場が、ティン(スズ製)カップを使っているので、パットが入ると『カコーン』といい音がしますよね。米国はプラスティック製なので、『ペコ』とちょっと拍子抜け。まあ、入ればどんな音でも嬉しいけど。でも米国で最初にプレーした時、「何じゃ、この音は!」と思ったのは私だけではないでしょう。以前、ケビン・コスナー主演で『ティンカップ』というゴルフ映画が有りましたが、米国では大きな試合の時には、カップがティンカップ製に変ることからタイトルが付いたと聞いています。大関: シューズ掃除エアーブラシ日本のゴルフ場ならどこにでもある、シューッとエアーが出るあの機械。あれって米国には何故無いのだろう?と思います。米国の赤土系コースだと、シューズは真っ黒。どうせまめに掃除しないから、そのまま次回までトランクの中。そして更にドス黒くなっていく… あのシューッの機械があればプレイヤーは助かるし、何よりクラブハウスも汚れないので効果的なんですが…横綱: 風呂やっぱりゴルフの最後は風呂で締めないとね! 米国のコースに風呂はまず無いので、風呂好きの日本人はちょっと不完全燃焼。もっとも米国に長く居ると、広くて深い風呂はゴルフに限らず恋しいものです。湯船で足を思いっきり伸ばして、湯気がボワーッと広がっていて、風呂桶のコーンっていう音が響いて… という温泉のような雰囲気は誰でも大好きです。因みに日本では『今日はゴルフだ』と偽って浮気する殿方が多いらしいですよ。理由は『風呂に入って帰っても怪しまれないから』だそうですが… 奥さま、ご注意を!
2009.11.07
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「バンカーショットを終えたら、レーキを使って跡を直していくように」と、ゴルフを始めた当初は誰もが教えられる。そして諸先輩から「レーキはバンカーの外側の縁に置いておくように。バンカーの中に置くと、ボールが入ってきた時にそれに引っ掛かって止まり、本来のライが変ってしまうから」とも言われて納得した。しかしアメリカのゴルフ場を訪れた際、どこもレーキがバンカーの中に置いてあり、これだとバンカーショットの状況が変ってしまうじゃないか…と思い、毎回ご丁寧に外に出しておいた。しかしアメリカ人の友人がそれを見て、「違うよ。レーキはバンカーの中に置くんだ」と指摘したので、「でも、それだと本来あるべき状況が変ってしまうじゃないか」と反論すると、彼は自信満々に「NO。レーキが外にあると、本来バンカーに入るはずのボールが、レーキに当たって入らなかったり、ボールの進行方向が変ったりしてしまう」と言われた。なるほど、それも正しいな…と納得し、いったい正解はどっちだ!と頭が混乱したのだった。ゴルフルールの総本山であるイングランドのR&Aに詳しい友人に尋ねると、「昔からのルールによると、レーキは外に置くのが正しい。但し、ヨーロッパやアメリカでは90%以上の確率で、みんな中に置いている。また最新のR&Aのルールでは、『各クラブの方針に従う』となっている」と教えてくれた。そして「イングランドのゴルファーは、コースの美観を何よりも気にする。ティーマークも可能な限り控えめにするし、レーキのようなゴルフの『付属品』が目に入ることを嫌がるので、バンカーの中に置く。アメリカのゴルフはイングランドから入って来たから、それを受け継いでいるんだ」と言った。またまた、なるほど。そして最後にこう付け加えた。「まあ中でも外でもいいんだけど、大事なことはすぐにレーキが見つかること。だから僕は、まずレーキは中に置いて、取っ手の部分をバンカーのふちにかけておくんだ。するとボールが当たる確立も低いし、すぐに見つかる。美観も損ねない」… 再びなるほど。それが一番上品な置き方かもしれない。いずれにしても一番大事なことは、きれいに跡を直していくこと。もしくはスーパーショットの連発で絶対バンカーに入れないこと、かな?…
2009.09.11
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先日アメリカのゴルフトーナメントをテレビで見ていた際、以前アメリカに住んでいた時の出来事を思い出した。当時よく一緒にプレーしたスティーブは、かなりのゴルフ通オヤジ。人気プロゴルファーのスイング分析から新発売クラブの評価、全米オープンの歴代開催コースや過去の優勝者までスラスラと語り、ゴルフ雑誌の編集者も顔負けの雑学博士ぶりをいつも披露してくれた。 その日はスティーブの友人ティムも誘ってのラウンドとなったが、いつも大繁盛のとあるパブリックコース、プレイヤーを詰め込みすぎなのか、ホールごとに各駅停車の大渋滞となっていた。日頃は気長なスティーブとティムも、さすがにちょっとウンザリした様子でカートの周りに集まり、何気無く私のバッグに並ぶクラブを眺めている。 「スティーブ、このスプーンってどういう意味だ?」 日本から持ってきた、私の3番ウッドのソールを見ながらティムが尋ねた。 「さあ、新発売クラブのブランド名じゃないの?」スティーブが大きな欠伸をしながら答えた。 私は何をつまらないジョークを言ってるんだと思ったが、ふと気になって「…まさか、本当に知らないわけじゃないよな?」とスティーブに聞いてみると、2人とも決して冗談を言っている様子ではなく、キョトンとして私の顔を見ている。ゴルフのことなら何でも非常に詳しいスティーブが、日本なら初心者でも知っている“スプーン”という呼称を知らないのだ。私は驚きながらも「4番ウッドがバフィー、5番がクリーク…」と子供に教えるように説明し、「でも意外だな。日本人ゴルファーなら誰でも知っているよ」と言った私に、「ふーん。まあ、日本のゴルフはヨーロッパから入って来ているからな」とまた意味不明なコメントを発した。しかし後日、そのコメントが正しい意味を持っていることを、私は知らされることになる。数日後、こちらもゴルフ通のロバートのオフィスに仕事の打ち合わせで訪れた私は、ふと先日のことを思い出して聞いてみた。「ねえ、ゴルフクラブでスプーンって知ってる?」ロバートは眉間に皺を寄せて、ウーンと声にならない音を発しながら、「聞いたことはあるが…」と答えた。ロバートも知らなかったことに、私はまた驚かされた。「え?3番ウッドのこと?なるほどね」と彼は頷きながら、オフィスの書棚からゴルフの歴史満載という雰囲気の分厚い本を取り出し、記憶を呼び戻す仕草をしながら文献を探し始めた。 「えーと…ほら、ここに出ているよ。昔のイングランドでは、このように全てのクラブに名前が付けられていたんだ」と見せてくれた。そこにはドライバーに始まり各アイアンに至るまで、全てのクラブの呼称が紹介されていた。そしてロバートは私にこう聞いたのだ。 「でも日本人は、ウッドは名前で呼ぶのに、どうしてアイアンは番号で呼ぶの?」私はカウンターパンチをくらったボクサーのように、想定外の質問に思わず息を呑んで全身が硬直した。 確かに日本人ゴルファーで、全くの初心者でもなければ“スプーン”を知らない人は滅多に居ないと思うが、アイアンをそれぞれ名前で呼ぶ人にも出会ったことがない。どうして日本人はウッドを名称で呼ぶようになり、アイアンは呼ばなかったのだろうか。英語で全部覚えるのは大変で、ウッド数本が限界だったのかもしれないが、事実は誰にもわからない。 日本のゴルフが英国から伝えられたことを再認識した出来事だった。若い方々はご存知ないだろうが、20年ほど前の日本ではゴルフボールに大小の2種類があり、ラージはアメリカ式、スモールはヨーロッパ(イングランド)式と 一見勘違いするほど微妙にサイズが異なり、多くの人が混乱していた時代があったことが懐かしい。 最後にロバートは、「私はロサンゼルスで30年近くゴルフをしているが、3番ウッドをスプーンと呼ぶゴルファーには出会ったことがない」と笑った。少なくともゴルフでは、日米で文化の違いは皆無と思っていた私はこの意外な新発見に興奮し、まるで好奇心を刺激された小学生のように、またはゴルフの歴史を探る研究者のような気分になり、妙なうれしさで胸の鼓動が早くなったのだった。ご参考: 各クラブの呼称 1番ウッド:ドライバー 2番ウッド:ブラッシー 3番ウッド:スプーン 4番ウッド:バッフィ 5番ウッド:クリーク 1番アイアン:ドライビングアイアン 2番アイアン:ミッドアイアン 3番アイアン:ミッドマッシー 4番アイアン:マッシーアイアン 5番アイアン:マッシー 6番アイアン:スペードマッシー 7番アイアン:マッシーニブリック 8番アイアン:ピッチングニブリック 9番アイアン:ニブリック 語源: ドライバー:長距離を運転するドライバーを意味します。 ブラッシー:金属の真鍮の板という意味です。昔のウッド・パーシモンの場合、ソールにドライバーは軽いアルミ板を使い、ブラッシーからは重くする為に加工のしやすい真鍮の板を用いました。 スプーン:これは文字どおり、さじの形に似ているからです。 バッフィ:バフィングスプーンという棒で地を叩く道具から来ています。 クリーク:擬音語の“CREAK”(キーキーと鳴る)から来たという説があります。 マッシー:昔のスコットランドで使われた大きなおの、あるいは短い鉄製のハンマー から来ています。 スペード:土を掘り起こす農機具やすきの意味です。そこから名付けられました。 ニブリック:人間の鼻、特にわし鼻の意味だそうです。
2009.08.09
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このたび、ゴルフ・ファンタジー小説『地球外動体視力ゴルファー』(作者名:杉山英隆)を、文芸社より出版しましたのでご案内させて頂きます。全280ページのハードカバー・単行本で、税抜き価格1,333円です。公称は7月15日発刊ですが、7月初頭より随時全国の書店で販売され、また大手ネット書店でも取り扱っていますので、またご一読頂ける機会があれば幸いです。カバーの帯文には、人気・実力ともにナンバーワン、今季絶好調のプロゴルファー横峯さくらさんから、当書をお勧めするコメントを顔写真付きで頂いています!では簡単なあらすじを下記に…ハンディ33の米国駐在サラリーマンゴルファーが、宇宙からの不思議な力を得て天才ゴルファーに変身、各地で旋風を巻き起こす。その舞台は憧れの女性への叶わぬ恋心と共に、風光明媚なロサンゼルス、哀愁漂うポートランド、そして世界最高峰のトーナメントへと移っていく。また京都で体験した、美しい舞妓との不思議な夜の謎は? 驚愕の飛距離と戦慄の切れ味を見せるショットは、今日も世界中を感嘆の声で包むのだった。どうですか? 面白そうでしょ?ぜひ読後の感想など、お聞かせ頂ければとても嬉しく思います。
2009.07.02
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初夏が過ぎて入梅の時期を迎えると、もう何年も前の六月に訪れた、アイルランドの“リンクス”ゴルフコースを想い出してしまう。ダブリンを中心とする北アイルランドは、80年代に勃発した政治や宗教の衝突が生んだ紛争を連想するが、真夏でも涼風がそよぐ南アイルランドには、違う国に来たかのような牧歌的でのどかな光景が広がっている。ひと言で言うならば、南アイルランドは『丘の国』である。威厳を示す鋭角的な山岳や、鬱蒼(うっそう)とした深く怪しい森林などはまず存在しない。穏やかで優しい表情の緑の丘がどこまでも続き、点在する農家や羊の群れに、この地の無骨だが暖かい国民性がうまく溶け込んでいる。緯度が50度から60度前後だから、北海道よりもずっと北に位置し、季節にもよるが太陽は真上に上らず、日の出から蟹のように横に動いていく。もっとも快晴という日は少なく、雲も低く、時おり雨が降ってきたかと思うと、まるでスプリンクラーみたいに地面を濡らしただけでさっと上ってしまう。その短い雨は打ち水をした軒先のように、緑と草花を生き生きとさせ、空には絵本の挿絵のような虹が頻繁に顔を出す。そんな童話の世界へと迷い込んでしまう景色を目にすると、今でも妖精が住むと言われる神秘性も、決して観光目的の宣伝文句ではない、真実性を感じさせてくれるのだ。古今東西において、イングランドがその発祥の地だと言われるものが沢山ある。ウイスキー、ギネスビール、ゴルフ、等々。でも本当はアイルランドが最初なのに(という人が欧州には多い。真偽は不明)、口の旨いイングランド人があたかも自分達が最初に作ったように世界中にふれ回り、お人好しのアイルランド人は「まあ、いいか」と笑っている… そんなアイルランド人を嘲笑するような、アイリッシュ・ジョークが欧州人は大好きだ。私が接したこの国の国民性は、そんなジョークなどさほど気にしておらず、文字通り一笑に付してしまうほど奥が深く、何より息が止まるほどの美しい景観がその崇高さを象徴していたのだった。そして本題のゴルフは… 本当に息の根を止められかけたほど厳しいものであった。まず初日はアイルランド屈指の名門、『バリバニオン・ゴルフコース』へと向った。かつてトム・ワトソンが、全英オープンに出る前に必ず練習に立ち寄ったことで有名になったコースだ。1番のティーグランドに立ってみると、何とコースの右側には広大な墓地が毅然と広がり、ティーグランドをやや見下ろす角度でゴルファーを威圧している。アイルランドは年中どんよりした空が多いので、ホラー映画のオープニングのような雰囲気の中、ケルト人魂を彷彿(ほうふつ)させる十字架と円形が重なったデザインの墓石が数十、いや数百と、海外から来たひ弱な異邦人を睨みつけていた。ティーショットをスライスしてOBを打てば、間違いなくその墓を直撃、国境や海峡を越えて孫の代まで祟られそうな気配であった。しかし私を本当に苦しめたのは墓ではなく、噂どおりの『タフなラフ』だった。ボールが落下した位置を肉眼で確認できたのに、その場所に行ってみると見つからない。そして見つかっても、場所によってはヒザまであるラフからは、ウエッジで出すのが精一杯。誰もが最初に考えるのは、残りの距離や狙う方向よりも、「空振りしないだろうか?」という恐怖心である。スタートする前はあれほど広大に感じたコースが、ホールを重ねる度に、狭く長いトンネルのように見えてくる。フェアウエイ・キープの重要さを、身をもって教えられる。そして風。地元出身のキャディは「今日はこれでも穏やかだよ」と笑っていたが、大西洋から吹き込む骨太で荒々しい海風は、カリフォルニアの温室育ちゴルファーの弱々しいボールを、容赦なくハザードへと招き入れた。ティーアップする度に、土の違いを感じる。カリフォルニアとも日本とも違う土。そう、軟らかいのだ。まるで粘土に差し込むように、ティーがズブッと地中に入る。こういう地質だと、アイアンショットの際に土がバラバラにならず、きれいな楕円形のターフが取れる。よくワラジのようなターフと云うが、拾ってディポットに戻す度に、青ノリをふりかけた少し小さめのお好み焼きを私は連想していた。緑の芝と茶色い土の部分がそっくりで、まるでレストランの店頭に並ぶ蝋細工のようだ。マイホームタウン・大阪への郷愁が胸中を駆け巡り、子供の頃によく通った、近所のお好み焼き屋が脳裏に浮かぶ。『前略 お好み焼屋の大将、お元気ですか?僕は今、ヨーロッパの最果ての地で真のリンクスと戦っています』と、ターフを拾い上げながら、私は大阪に繋がる東の空を見上げていた。強烈なラフ、荒々しい海風、感じたことのない土… 激しいゴルフ・カルチャーショックを受けながらも、何とか18ホールを終えた私は、ぐったりとしながらも、不思議と爽やかな気分だった。妖精が住むと言われるアイルランド。多くの妖精ゴルファー達(本当に居るなら是非会いたい!)が、ちょっと厳しい態度で、でもやっぱりアイルランドらしく暖かく迎えてくれたのかもしれない。明日はまた別のリンクスへの挑戦が続く。気持ちが高揚しているのか、ホテルのバーで、アイルランド名物のギネスビールの縦長グラスを空にしても、眠気は全く訪れて来なかった。2日目は、アーノルド・パーマーの設計による『トラリー・ゴルフコース』を訪れた。前日のバリバニオンが、伝統と重厚さを感じさせる男性的なコースとすれば、このトラリーは少し明るい女性的な印象を与えてくれた。しかしそれは決して“易しいコース”という意味ではない。相変わらずヒザまである深いラフ、そして昨日以上に力強い海風は健在で、女性的と感じたのは視覚的な要素によるものだろう。人間の腰ほどの高さの白い穂先を持つ草原が、風になびいて常に美しく揺れており、横には石を積み上げただけの、牧場のサイロのような可愛らしい建物が点在していた。海へ目を向けると、見事に『青い海、茶色の崖、緑の芝生』の3層で区切られた、力強い『色』のコントラストに圧倒される。断崖絶壁とゴルフコースが、意外と綺麗にマッチする色のコンビネーションであることを発見した。白昼夢へと誘(いざな)う恍惚の絶景である。そして昨日のバリバニオンもこのトラリーも共通している点は、ラフの荒々しさとは対照的に、見事に整備されているグリーン・コンディションである。バブル時期の日本のゴルフコースで、豪華なクラブハウスを構えながら、ゴルフで最も重要な場所の一つである、グリーンの手入れを怠っているコースをよく目にした。グリーンはその維持に高い技術と経験が必要で、短期で簡単に状態を改善できる場所ではないのだ。反してハウス等の付帯施設は質素な快適さを維持しながら、グリーン状態が素晴らしいゴルフコースに出会うと、そのオーナーや経営者の『ゴルフ好き』が見えてきて、思わず嬉しい気持ちになってしまう。そしてこの日も、ゴルフの本当の面白さを無言で伝授してくれるグリーンに立ち、その完璧なコンディションを見た時に、私は思わず一人で微笑んだ。しかしスリーパットをして、すぐに鬼のような形相に変わったのだった。プレーしながら常に吹いてくる強い海風。昨日18ホール、そして今日の前半9ホールを終え、その頃まではその風が嫌で仕方なかった。風も計算に入れ、自分で完璧だと思ったティーショットが、その計算以上の風で一気にフェアウエイからラフへとボールを吹き飛ばすのだ。それが毎ホール続くのである。さすがに戦意も喪失しかけていた。ところが不思議なもので、27ホールも終えると、ずっと吹いている風にもさすがに慣れてくる。そして最後の9ホールは、自分なりにかなりの好プレーができた。人間は、いやゴルファーは、不思議な感性を持っている。さっきまであれほど嫌だった風が、自分の狙ったとおりの風の道にうまく乗せられると、まるで自分の仲間のように思えてくるのだ。そのくすぐったいような達成感は、まるでいつもは冷たい態度の美女が、珍しく自分の眼を見て微笑んでくれたような妄想を生んだ。二泊三日のアイルランド・ゴルフ紀行を終え、私はロンドンへ移動する片田舎の空港で、すっかり好物になったギネスビールで喉を潤していた。確かにタフなリンクスは心身ともに私を疲弊させたが、同時に清々しさも感じていた。それは単なる、異国での旅情が生んだ観光気分によるものだろうか? いや、そうは想わない。リンクスは確かに厳しいが、同時にあれほど自然の力を暖かく感じさせてくれる場所は他に無いと思う。空も海も、風も土も… 今回のゴルフ場で接した全てが、自分を大きく包んでくれたような気持ちだった。イングランドがゴルフの父なら、アイルランドはゴルフの母か… ではアメリカは? もちろん、ゴルフのプロデューサー。儲けたり、流行らせたりすることが上手い!最も忘れられない光景は、二日目のトラリーでのプレーを終えた直後。その日の午後もどんよりとして、確か小雨が降っていた。疲れ果ててクラブハウスに戻ってきた私の横を、おそらく友人同士と思われる地元の初老ゴルファーが、笑いながら暗くなり始めた空と強風の中をスタートしていった。晴天微風を常とするカリフォルニアのゴルファーと、苛酷な天候と厳しいラフの下で楽しさを確立しているアイルランドのゴルファーの間に、比較論を起すことに興味は無い。しかしもし貴方が、ゴルフが自然と闘うスポーツであることに同意し、その正しい姿を持つゴルフを一度体験したければ、迷わず南アイルランドへの旅をお勧めしたい。妖精と、ギネスビールと、自然界に一歩近づける真のリンクスゴルフが、そしていつもにこやかなアイルランドの人々が、旅の初日から常連客のように暖かく迎えてくれることだろう。
2009.06.01
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貴方はゴルフの神様に会いたいですか? ここぞという大事なバーディパットをビシッと決めてくれたり、「しまった!」と思ったOB一直線のミスショットを木にカツーンと当てて、フェアウエイに戻してくれたりします。そんな神様に会いたいと思いませんか? 私は新手の宗教家でもなければ、夢見る童話作家でもありません。でもゴルフの神様は存在します。正確に言うと、我々にその姿は見えませんが、その日のラウンド中の最も重要な場面で、貴方の背後にそっと現れて助けてくれるのです。では出会う方法を以下に。 まずスタート前に、グリーンフォークを必ずポケットに入れます。次に、いつも頭の中にある定番マニュアル、例えば左肩を回すとか頭を動かさないとか… 今日はすべて忘れてください。そして覚えておくことは一つだけ。 1番から18番まで、グリーンに上がったらまず自分のショットでできたボール跡を、芝を殺さないようにきれいに直して(盛り上げずに横から寄せる感じ)、そして時間のある限り他の人が残していった箇所も直します。でも注意点が二つ。一つ目は人がパットしている時は微動さえしないこと、 もう一つは自分の打順が来たら遅れずにパッティングすること。同伴者への迷惑や遅延行為には絶対に繋がらないようにしてください。 それだけ? はい、それだけです。 そんな簡単な… いえ、意外と全ホールで忘れずに実施するのは難しいですよ。そしてそれを続けていると、どこかで必ずバーディパットが入ったり、幸運としか言えないようなショットが出たりしますから。その時「あ!今、ゴルフの神様が来ている」と1人でニヤニヤすることでしょう。 ぜひ騙されたと思って1度やってみて下さい。 私は何度もその恩恵に与りました。 そしてゴルフの神様の力を借りた後も、その日だけは必ず最後の18番ホールのグリーンまで続けて下さい。そうしないと帰りに交通事故に遭います… それは冗談。でも恩恵に与った人は、その感謝の気持ちで最後まで続けるものなのです。すると最終ホールにまた幸運が来るかもしれませんよ。おまけですね。 そんな非科学的な、と思っておられることでしょう。でも科学的に立証するなら、1日のラウンド中の全ホールで同じ事を行う、これはいかに精神状態が安定しているかを証明しており、それがナイスパットやグッドショットを生み出すのです。 でもそんな理論的なことより、理屈抜きで本当にいるの! よく考えてください。ゴルフコースとは、偶然にも同じ場所に来た数百人もの他人が、同じ組以外は顔も合せずに一日遊ぶ場所なのです。特にグリーンはコンディションによって、楽しみが倍増したり半減したりします。他の数百人も楽しめるように整備していく気配りゴルファーには、ゴルフの神様が必ずご褒美をくれるのです。そう思いませんか?ぜひお試しください。
2009.05.01
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晴孔雨筆(せいこううひつ)とは?晴れた日はクラブを担いでゴルフコースを目指す。ゴルフは漢字で孔球(こうきゅう)と書く。『孔』は『穴』を意味し、『鼻孔』などの言葉がその用例を示す。遠くの穴に球を入れる打数を競うのは表の顔。その実像は、いかに地位や資産を持とうが幼児のように喜怒哀楽を露呈させられ、時に不運に嘆き、時に低能に塞ぎ、時に達成に歓喜する心のゲーム。いかに欺瞞のない、紳士淑女であるかを試される時間でもある。雨の日はクラブを筆に持ち替える。円いグリーンから四角い机に居を変えて、芝面ならぬ白面の紙に文章を躍らせる。雨は疲れた芝の大切な栄養剤。次回もプレーを楽しませて頂く為に、水分をたっぷり吸って英気を養ってもらおう。そぼ降る雨を窓外に眺めながら、ゴルフを通して垣間見た人間の不安定ながら憎めない心の動き、それを雄大な視野で包み込む自然界の懐の深さを、徒然なるままに表現してみたい。晴孔雨筆。何とも至福なり、我が日常かな。…てなことを綴ってまいります。どうぞご贔屓に。けじめのはじめはまじめに締めました。次回からの方向性は全く不明ですが…とにかくご期待下さい!
2009.04.01
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