風の吹くまま 気の向くまま

風の吹くまま 気の向くまま

篠田秀幸

『神々の殺人』篠田秀幸


『法隆寺の殺人』

『悪夢街の殺人』

『蝶たちの迷宮』

 私は『虚無への供物』(中井英夫)も『匣の中の失楽』(竹本健治)も読んだのですが、『虚無・・・』はわけがわからなかったし『匣の・・・』はもうどんな話だったかも覚えていないのですが、この系統のミステリのわりには、わかりやすかったなと思いました。
 さらに言うと、この作者の弥生原公彦シリーズよりも、おもしろかったような気もしました。

 密室殺人、家庭内暴力、学生運動、さらに心の問題へと物語は広がっていく。また構造が幾重にも重なっていて、何が虚構で何が現実かわからなくなってきます。
 でもこの話の場合、「本当の自分探し」がミステリなのかなと思いました。
 ちょっと考えさせられました。(2004.3.7)


『龍神池の殺人』

 名探偵弥生原公彦と、そのおつきの小説家築島龍一のシリーズ。
 長野県戸隠村、松谷みよ子さんの『龍の子太郎』ばりの物語が伝説として伝わっている龍神池と、そのほとりに建つ精神病院が殺人の舞台となります。(当然のことながら、本当の戸隠村にはそういう池はありません)

 龍人の預言通りに人が殺されていく・・・しかも預言された3人だけでなく、大勢の人が死んでいくので、人が死にすぎ・・・と思いつつ読んでいました。
 また、洞窟がありその奥には底の知れない亀裂や穴があり、そこへ落ちて行方しれずになる人がいる設定は、またかい、と思いつつ苦笑してました。
 殺人の動機やトリックやアリバイなどは、緻密に計算していて謎解きはおもしろく読めました。

 毎回「読者への挑戦状」がついているんですけど、いつも素通りする私です。
 これがついている作品で、挑戦状を受けて立つ人はどれくらいいるのかな?

 このシリーズは実際に起きた事件についての言及が必ずあるんですが、この話では、あの「宮崎勤事件」が取り上げられていました。宮崎勤の精神鑑定についての考え方は、ちょっと興味深かったです。

 この話の随所に、まだ読んでいない作品の事件「阪神サイコキラー殺人事件」というのがでてくるので、ちょっとひかれるものがあって、やっぱり買ってしまいそうな雰囲気です・・・題名は『悪夢街の殺人』。
 う~ん、はめられてるなあ。(2004.7.17)


『卑弥呼の殺人』

 題名にある通り、「卑弥呼」ということで、「邪馬台国がどこにあったか?」という歴史の謎に挑戦しているミステリです。
 しかも現実の殺人事件も起きます。でもあとで、「なに~?」だったので、こちらについてはあまり書かないことにします(^^;)

 邪馬台国の場所を考えていく過程は、なかなかおもしろく読みました。
 歴史ミステリーも好きなのだ。

 読んでいるうちに、『古事記』や『日本書紀』の名前は知っていても、ほとんど読んだことがない、ということに気がついて、改めて驚きました。
 『古事記』は「日本の神話」として子ども向けの本になっているものがあったり、小学校の担任の先生がよく語ってくれたりしていたので、おおかたのところは知っていますが、『日本書紀』はまったく読んだことがない。(だいたい歴史の教科書だって名前を挙げるだけで、古文の教科書にも出てこないよね・・・)

 当時の大和朝廷の恣意がたっぷり入っている(と言われる)歴史書なので、いろいろと問題はある書物ではありますが、こういう古代史の謎解きには欠かせないものなので、やはり一度は読んでおかなくてはいけませんね(いやいけなくはないけど)。
 実際読んでみたいです。

 いつ読めるかはわかりませんが・・・(^^;)

 教科書に出ていない歴史・学校で教えない歴史が大好きな、社会科免許を持つ教員なのでした。(2005.3.28)

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