風の吹くまま 気の向くまま

風の吹くまま 気の向くまま

小説単品

『遺跡の声』堀晃

『幸福な食卓』瀬尾まいこ

『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』村上春樹

『ノーフォールト』岡井崇

『夢を与える』綿矢りさ


『博士の愛した数式』 小川洋子 新潮社

 数学は、問題が解けるのがけっこうおもしろくて、得意ではなかったけれど、好きだった覚えがあります。
 でも、大学受験終了とともに、数学とは縁がなくなっていた私です。

 この本は、数学が好きでなくても、そのロマンに引きこまれて読んでしまう本かなあ。
 「数」というものが、まるで生きているように語られているのがすてきでした。新しい「目」をいただきました。

 第1回本屋大賞受賞作品。
 事故のために、記憶が80分しか保たれない数学者の「博士」と、彼のところに家政婦として行った「私」と、息子の「ルートくん」との日常の心のふれあいを描いています。

 表紙の題名の活字の微妙な色合いの変化が、博士の記憶のはかなさを表しているような気がしてなりません。装丁を担当された方はそんなことも考えられたのでしょうか。

 ほのぼのと、そしてほろりとさせられるお話でした。

 それにしても、「冷凍トイレ」には大笑いでした・・・ふふふっ(2004.7.12)


『黄泉がえり』 梶尾真治

 映画化されて評判になりましたが、実はこの本は読みかけて1年以上積ん読になっていたものです。その時は育休中で、かなり頭が回らなかったようです。
 改めて読んでみると、やはり頭が読書モードに切り替わるようになったので、読める読める。
 3日くらい前に読み終わったのですが、いろいろあって今日書きます。

 これはどう見たってSFなのに、「ホラー」と銘打ってあるのはどうしてなんでしょう。死者がよみがえるから、ホラーというのはちょっと・・・。SFにすると売れないんでしょうかね。
 それはさておき。

 「泣ける」との評判通り、泣けました。
 もう、出てくる人たちみんな、いい人なんです。憎まれ役は一人もいない。
 そして、それぞれの人がみんな大切に思う誰かのために、何らかの幸をもたらす。
 「彼」もまた、そういう人間たちの姿を感じて・・・最終局面へ。

 「好きだから、守る」
 人の、あたたかなつながりがほっとする、そして泣けてしまう、SFでした。
 一人だけ、例外がいたのが「ちょっとな~」でした。(2004.12.5)




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