一絨毛膜一羊膜の双子(♀&♀)と妹達の成長~

一絨毛膜一羊膜の双子(♀&♀)と妹達の成長~

出産の日


いつもと変わらない朝でした。
いつもと通り、トイレに行って、ヨーグルトを食べようと食堂の冷蔵庫に行ってヨーグルトを持ってきて・・・
いつも通り、ノンストレステストの測定機をつけてもらって・・・

しばらくすると、看護婦さんがパタパタと来て、機械の画面を見たり動きがありました。
二人が動き回って計測途中でいなくなってしまうことが良くありましたので、今回もそれだろうと思っていました。
しかし、いつも笑顔の看護婦さんの顔が真顔・・・
気になって画面に目をやると・・・
いつも以上に波のある波計。
Sちゃんの心拍低下。そのままいつもみたいに上昇しない・・・
上昇したと思っても、また下がる。下がっているその時間が長い・・・
Lちゃんの波形は上昇したまま小波をうっていました。
「まずい・・・いつもと違う・・・」そう思いました。

そんな時、担当のO先生が急いで部屋に入って来ました。たまたまこの日、当直だったのです。
酸素の指示が出たのと同時にこう言われました。
「もう待てない周期にきてしまった・・・」
「今日出産ですか?」
先生は、黙ってうなづきました。
この瞬間、初めて涙が出そうになりました。
妊娠してから、私は一度も泣いていません。泣かないって決めていましたから・・・それしか私にはできませんでしたから・・・

「家族への連絡は病院からしようか?」
と聞かれましたが、
「自分でします」
と返答しました。自分でしなければ・・と思ったからです。
もうイッパイイッパイでした。
最初に自宅の夫に電話しました。・・・が、出ない・・・
携帯に電話しても出ない・・・
「何ででないの?寝てるの?」
このときの感情が怒りだったのか不安だったのか・・・
次に実家に電話しました。
・・・が、これまた出ない・・・
なんで?朝なのに・・・もう悲しくて・・・
少しして、看護婦さんから
「大丈夫?連絡ついた?」
と聞かれたけれど・・・
やっぱり、夫もつかまらない・・・

それからまた実家に電話してみました。
やっと母親が出ました。(後で聞いたら、庭にいて気づかなかったらしい)
もう、言葉が出なくて・・・
「今から病院にきて」
この言葉が精一杯でした。状況を悟った母が一言。
「お産になるの?」
「うん」
これ以上は答えられませんでした。

それからの事は、何が何だか良く覚えていません。
ノンストレステストの機械がつきっぱなしだったのか、いつ外したのか・・・
「落ち着いて・・・冷静に・・・」
とひたすら思っていました。とりあえず落ち着こうと・・・

担当のO先生から主任のY先生に報告が行っていること、手術室の手配をしていることはその光景として覚えている感じです。
あとは、手術の処置や麻酔の説明を聞いて(と言っても、何が何だか・・・)書類にサインをしていました。

母が病室に来たときから、もう冷静さは全くありませんでした。
夫から電話がきました。
(これも後で知ったのですが、当日夫は出張があり、お風呂に入っていたようです)
病院にきてすぐ、夫と連絡が取れていないことを知った母が留守電に今日出産になることを入れてくれたようです。
(留守電に入れることさえ、気づかなかったんです。私・・・)
電話を代わってもらったものの、言葉が出ない・・・
再度母に代わってもらい、状況の説明をしてもらいました。
その後、また電話を代わった時に、夫から
「がんばって・・・」
と一言だけ言ってもらいました。

いよいよ手術室へ移動。
部屋を出て、エレベーターへ・・・
涙が止まらなくなっていました。くやしいとか、悲しいとか、不安とか・・・そんな感情ではありませんでした。
母から
「何泣いているの!今からお母さんになるんでしょう!頑張って!」
この一言でハッとしました。
そうだ!私は親になるんだ!

とは言うものの、エレベーターが上がっているのか下りているのかさえ全く分かりませんでした。そんな状態で手術室に入りました。手術室の前までは、母が付き添ってくれました。

手術室で最初に声をかけてくれたのは、女医のF先生。入院当日のバタバタの時に当直で、かなりお世話になりました。
「頑張ろうね」
この言葉で、大分落ち着いたように思います。
やっと、私も頑張れるところにきました。
「今から二人の位置の確認をしますね」
これが、超音波モニターで会う最後だね・・・

麻酔は、緊急でしたが下半身麻酔になりました。
気づかないうちに手術は始まっていました。

いよいよ誕生の時・・・
思いっきりお腹を押し上げられる感じがしました。
少しして・・・
「フエッ・・・」
声が聞こえました。
「生まれた!」
もう涙で一杯でした。
無事??
すぐまた押される感じ・・・
少しして
「フエ~ン・・・」
さっきより長めの声・・・
生きてる・・・二人とも・・・生きて産まれた・・・

女の人が(手術着のため誰が誰かわからない)顔の横に赤ちゃんを連れてきてくれ
「お姉ちゃんのほう」
と教えてくれました。
そして、私の顔に赤ちゃんを触れさせてくれました。
暖かい・・・生きてる・・・
とても小さいけれど、手足をバタバタ動かしていました。

妹のほうは、処置があるからと言われ、会えませんでした。
もしかしたら、私の意識が遠くなっていたので(実は出血量が多くて、輸血寸前だったらしい)会えなかったのかもしれません。

Sちゃん (お姉ちゃんです)

7月3日午前9時7分誕生   
身長 31.6cm       
体重  816g        
胸囲 20.0cm    
頭囲 24.8cm      


Lちゃん (妹ちゃんです)

7月3日午前9時9分誕生
身長 35.0cm
体重 1049g
胸囲 22.8cm
頭囲 25.2cm


よくここまで頑張って大きくなったね・・・
産まれてきてくれてありがとう・・・










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