私が初めてこの作品を購入した頃(今からウン十年前になりますが)、当時はぼんやりとしてインパクトに欠けるスリーヴと相俟ってか、 Stones のキャリア史上最も印象の薄いアルバム、みたいな感じで評価は散々だったように記憶しています。同時代のライヴァル、Beatles や Bob Dylan、Kinks 等の影響、もしくは対抗意識があからさま過ぎて、その辺りも敬遠される理由なのかもしれません。
でも、じっくり聴いてみるとこれが結構クルんです。冒頭の "Yesterday's Paper" は、60 年代はいざ知らず、現代においては噴飯モノ(?)の「昨日の女なんて要らないよ」なんて言う歌詞は置いとくとしても、Stones の楽曲の中でも指折りの美メロだし、決して上手くはないバック・コーラスもすごくポップ。その上、ザイロフォンだのハープシコードだのが入り混じってアレンジも派手。続く "My Obssesion" では、左チャンネルのピアノと右チャンネルのドラム、下の方でのたうってるベースがそれぞれ勝手気ままに鳴っていて、これまた不思議な空間を生み出しています。一転してメローな "Back Street Girl" ではアコーディオンが、"All Sold Out" ではリコーダー、Stones らしさ(?)の欠片もない "Cool,Calm & Collected" に至ってはカズーまで動員しています。"Plese Go Home" での左チャンネルでひたすらズンドコ鳴ってるドラムも相当可笑しいし、"Who's Been Sleeping Here?" における Mick Jagger の唱法は、そこまでしなくても良いだろ、って言う程にモロ Dylan。こんなやり過ぎ感が、実は本作の肝、だったりして。
このアルバム、総じてアレンジが変。やはり来るべき "Their Satanic Majesties Request" の為の習作だったのでしょうか。次作のように徹底すればそれなりに評価されたのかもしれませんが、本作での未整理で拙い、まるで闇鍋のように混沌とした Stones はなかなか理解されませんでした。オープニング・ナンバーが "Yesterday's Papers" で、エンディングを飾るのが "Something Happened To Me Yesterday" と題された、この "Yesterday" 繋がりも混沌に更なる罠を仕掛ける為に意図されたものなのでしょうか。
余談ですが、スリーヴの Brian Jones はちょっと、いや、かなりショボ過ぎです。よくもこんなので OK 出したなぁ。バンド内での Brian の発言力の低下がこんなところにも、と思わず涙する私でした。
【Track Listings】 01. Yesterday's Papers 02. My Obsession 03. Back Street Girl
05. She Smiled Sweetly 06. Cool,Calm & Collected 07. All Sold Out 08. Please Go Home 09. Who's Been Sleeping Here? 10. Complicated 11. Miss Amanda Jones 12. Something Happened To Me Yesterday