デビュー作における "Wuthering Heights" や "The Man With The Child In His Eyes" に匹敵するほどのキャッチーな曲もなく、次作 "Never For Ever" のように細部までアーティスティックに練りこまれているワケでもなく、彼女の作品の中では比較的印象が薄い部類に入るのかもしれません。
が、しかし、Kate Bush に駄作なし。聴き込めば(聴き込まないと解からない私)他にひけをとらない良作であることがわかります。妖精たちが草花の陰で密やかに内緒話しているようなサビが印象的な "In Search Of Peter Pan"。続く "Wow" と "Don't Push Your Foot On The Heartbrake" は共に不安げなイントロと抑制されたメロディーに始まり、サビで感情を吐露すると言う似通った趣向の楽曲。一転して、ピアノをバックに静かに歌われる "Oh England My Lionheart" は、そのタイトル通りイングランドへの愛を歌ったものでしょうか。
こうやって聴いていくと、バックの演奏は随分控え目な感じ。その分じっくりと Kate Bush のヴォーカルを堪能出来る作品ではないかと思います。勿論、例の(?)ハイ・トーン・ヴォイスですから、生理的に受け付けないと言う方は当然おられるでしょうけれど。
このように決して凡庸な作品ではありません。しかし当の Kate Bush 自身は本作の出来に随分ご不満だったようで、以降セルフ・プロデュースを常とするようになります。そしてついにはレコーディング・スタジオの全てを自らの統制化に置かなくては気がすまない様になり、その天才性故、完全主義故でしょうか、あの狂気の "The Dreaming" へと突き進むことになるのですが、それはまた後々のお話です。
【Track Listings】 01. Symphony In Blue 02. In Search Of Peter Pan 03. Wow
05. Oh England My Lionheart 06. Full House 07. In The Warm Room 08. Kashka From Baghdad 09. Coffee Homeground 10. Hammer Horror