~ 燻製職人の独り言 ~

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黒パン俘虜記2



捕虜生活から開放され日本に帰る輸送船の中でのシーン。
「カレーライスと梅干でございます」といった。「「ウォー」というどよめきが沸き上がった。拍手がおこりおしゃべりが一斉に始まり転げ回りながら「カレーライスだカレーライスだ」と叫ぶものもでてきた。
みんなが切ないほど2年間語り続け思い続けた日本の食物がやっと目の前にでてくるのだ。
中略・・皿の飯は簡単に消えてしまった。今までの食事とは違う満足感があった。残った
米粒をつまみ 、黄色いこびりつきまで指ですくってなめた。
ひとつ残してあった梅干を口にふくむ。その酸い味を長い時間かけてゆっくり味わう。
ついに種だけになりその固いひだのすみずみまでしゃぶりつくして全く味がなくなる頃
カチン、カチンと割る音が周囲から同時にきこえだした。

 この人達にとってこのカレーは一生涯で一番おいしい食べ物だったにちがいない。


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