アルプスを覆う、真っ白な雪・・・



あれは高校2年の3月、父親と二人きりの生活が3年目を迎えた時でした。

「雪が見たい、沢山の雪の中で立ち尽くしてみたい・・・」

そんな気取った?(尾崎ばり?)思いを抱いて、突然一人旅に出たんです。春休みを利用しての旅行はある意味自身の中にある『何か』から卒業したくて思い立ったような気がします。

『野沢温泉』・・・暖冬と3月という時期からか、その年の雪は例年にないほど積雪が少なかったよう。約1日かけて静岡から出てきた17歳の息子は、野沢菜がメイン?の夕食を食べながら民宿のおじいさんと

「雪?雪を見にわざわざここまで・・・?」
「はい」
「はぁ~ かわっとるねぇ 雪がいいなんてねぇ」
「は、はぁ・・・」
「明日はスキーでもするのかい?」
「・・・いえ、明日は午前中街の中を散策した後、越後湯沢に行きます」
「ここはスキーのメッカだけんど、その若さでしないんかね?」
「・・・ええ」
「はぁ~ ますますかわっとるわぁ」
「・・・・」

目を丸くしながら聞いていたおじいさんもしばらくして「じゃゆっくり」と言い残して出て行きました。静岡からやってきた息子はいたく変わった子供に映ったんだと思います。(^^;

夕食後、民宿近くの湯治場を3つほどハシゴして『野沢温泉』独特のイオウ臭い湯につかりながら信州の冬?を満喫したのでした。

翌日は早起きして街のあちこちを歩いて廻りました。確かに民宿のおじいさんが言うように、板とストックを担いでゲレンデへと向かうスキー客(特に学生)が多く、早朝から散策を決め込んでいるのは自分くらいでした。(^^;

そんな変わった行動の中でも発見はあるもので、温泉の湧き出る共同の洗い場では近所のおばあさん達が土に埋めてあった大根や葱をせっせと洗ってました。
聞いてみたらここの温泉で洗った野菜は甘味が出て美味しいとか・・・ 確かにその後食べた『温泉たまご』がいたく美味しかった(甘味もあったような)気がします。(^-^)

『野沢温泉』・・・

雪見に出掛けた一人旅は、雪を見ることなくそこに住む人達の生活ぶりを見て、触れて『人の温かさ』を感じたのでした・・・

その日の午後は飯山線に乗って『雪国』は駒子の故郷、越後湯沢へ・・・


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