◇Free sky◇


『何?』
『あなたはなぜ空を…?』
『…空に向かって手をのばしたけど、掴めるものは何も無くむなしく空を切っただけだった。俺は信じてる、いつか春がやってくると』
『…春はもう、やってくるよ…』
『…そうだね』
『あなたは…なぜ会った日からいつも涙を流しているの…?』
『止まらないんだ。ずっと。俺はただ空を見ているだけで涙を流すことしかできない』
『…そんなことない!あなたは美しい言葉を持っている!私それで頑張って歩いていこうと…。だから今ここに立っていられることを!』
『莢は偉いね…自分の力で立っている』
『あなたも…あなたも自分の力でっ…』
『…そんなに簡単なことじゃないんだ。俺は…いいんだ』
『明日は?明日もそう思うの?』
『えっ…』
『明日はどうなるか分からないじゃない…。
明日になったら自分の力で立とうって思えるかもしれない!
あさってになっても何年後も…。
そう日が来るまで…逃げないでよ…』
『…空ってね毎日同じかもしれないけど、毎日違うんだ…。
時には笑ってる空、さびしい空…。
人間と同じだね…。
変わりゆく空の果てには何が待ってるんだろうね…。
変わりゆく空は刹那に輝いている。
風はいいものを運んできてくれたね…』
『何…が?』
『‘君‘という存在を…』
『私…私なんか勉強なんか毎日してて親に怒られてばっかりでっ…』
『そんなに完璧にならなくていいんだよ…。大丈夫。
俺はいつでも‘君‘のこと見ている。君は?君は目を閉じて何を思う…?』

生まれたばかりの恋は音もなく動き出しているのが今分かった------。

『…素直になれないの。私は…一人ぼっち…』
『一人が平気だなんて…そんな人いると思う?』
『…。』
『人は人を必要として生きていく。
そうしないと…辛くて苦しいだろう。
もう振り向かないで?もう立ち止まらないで?
君は強い子だから大丈夫…動き出さないけど君の道は開かれている』
『…勇気がなかったんだ。ただ‘意味‘を知りたかった…』
『ただひたすら前だけを見ていないよ…。もう後戻りできない…』
『…うん…うんあなたは不思議ね…』
『よく言われますー』

たとえどんなに伝う涙が冷たいことを知ったとしても…
全てが無になってくれる夢の中で…
いつでも愛しいあなたを想っている…



あなたに会うまでの道程は長くて暗かった。
でもようやく…明かりが…。
でもそれは間違えだってるのを気付かぬままに…。

『いつもの場所』に行ったら彼は『いつもの感じ』ではなかった。

『莢…?』
『あっうん…』
『俺…なんか疲れたかも』
『どうして…?』
『…もう疲れた』
『私といるのが?』
『…』
『どう…して?私何かした…?私はあなたのことが好きなだけで…』

ハッ。
今何て言ったの…?

言うはずじゃなかった。
私なんかが人を好きになったって…。
無断に決まってるじゃない。
私が人を好きになる資格なんてあるのだろうか…。
でもいつか、後悔しない、思い出になる前に全てが終わりたくなかった--------。


『俺と莢は絶対に結ばれないんだ』


『結ばれない…?』
『だから俺は何も答えられない。俺は…ホントは…!いや何でもない』
『…そっそっか。私何言ってるんだろうね。ごめんなさい困らせて…』
『…ごめん今日は一人にして?』


苦しい。
胸が契れそう…。
私は…私は…何でこんなにも…。
同じ空見つめてるのに今日はいつもと違う。
今日の空は碧色だ。

『ねぇあの子柏原さん宅の莢ちゃんじゃない…?』
『そうねぇ。でも誰としゃべってたのかしらねぇ』
『さぁ…一言じゃない?』

えっ…今あの人何て言ったの?


【誰としゃべってるのかしらね】

…どう…いうこと?
彼の姿は他の人に見えてないってこと?
ハハ…そんなことあるわけないじゃない!バッカみい。


『莢、お前最近一人でずっと座ってしゃべってるって近所の人から聞いたぞ。恥をかかせるまねするんじゃない!』

何で…何で…。

彼はこの世に存在する人間なの…?
皆の目がおかしいだけなの?
彼は…【生きているの】…?
分からない…わからないよ。

『俺と莢は絶対に結ばれないから』

どうして?
こんな私を受けめてくれたあなたが愛しくてたまらない…。
思いは募るばかり。
また私は一人ぼっち…?

『大丈夫それまで俺がずっと一緒だ』

約束したじゃない…。
いつのまにか私たちはこんなに遠くへ…。。
心を隠し息を潜めたいた。
そしてあの場所で私とあなたは出逢った。
初めて交し合った言葉を今でも憶えている?
今だって私にとって大事な宝物なのに。
逃げ出したい…『逃げ出さないで』
あなたが言ってくれたからここまで来れた。
逃げ出さなかった…。
私とあなたはまるであの離れている二つの星のように見える。

今日の星は輝いてない。

あの人も今この星を見ているだろうか---。

変わりゆく空が紫に変わる頃に私たちの心はバラバラになって気がした-------

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