総理の再訪朝



● 北朝鮮再訪問へ

 小泉純一郎です。

 私は、今週の土曜日、22日に北朝鮮を再度訪問し、国防委員長の金正日
(キム・ジョンイル)氏と会談することにいたしました。

 一昨年の9月17日に平壌を訪問した際、金正日氏との間で、核の問題と
ミサイルの問題、そして拉致の問題を包括的に解決して、日本と北朝鮮との
間の国交正常化を早期に実現させることとした「日朝平壌宣言」を発表しま
した。

 そして、一カ月後の10月15日には、蓮池さん夫妻、地村さん夫妻、曽
我さんの5人の拉致被害者の帰国が実現しました。

 昨年にはいってからは、中国の主催により、日本、アメリカ、韓国、ロシ
ア、そして北朝鮮の六カ国が集まって、北朝鮮の核開発問題などを協議する、
いわゆる六者協議が何回か開かれています。日本と北朝鮮との間では、拉致
問題や核の問題などを協議する日朝協議が何度か開かれました。

 私が北朝鮮を訪問してからすでに1年8カ月、この間、日本と北朝鮮との
交渉はなかなか前進しませんでした。

 北朝鮮には、まだ拉致被害者の家族の方々が残されています。北朝鮮は、
「日本に帰国した拉致被害者が北朝鮮に家族を迎えに来るべきだ。」と言っ
てきましたが、私は、「そんなことはしない。」と伝えてきました。

 一日も早く家族が再会したいというご家族の気持ちを考えると、拉致被害
者の家族の方々の早期の帰国になんとか道筋をつけなければならない。同時
に、拉致されたまま安否のわからない方や、拉致された疑いのある行方不明
の方もおられます。こういう問題を総合的に解決しなければなりません。

 私が再度訪朝しない限り、事態を前進させることはできないということで
あれば、私が訪朝して直接金正日氏ともう一度話し合おうと考え、訪朝を決
断しました。

 私は、拉致問題とあわせて、核の問題、ミサイルの問題を包括的に解決し
ていこうという「日朝平壌宣言」が日本と北朝鮮が国交正常化に向けた交渉
を進めていく上での基本となる文書である、と考えています。今回の首脳会
談の際には、こういう私の考えについても、北朝鮮側に伝えて、これをもう
一度確認したいと思っています。

 報道では、いろいろな予想や希望が報じられていますが、これから北朝鮮
を訪問するのですから、訪朝前に確定的なことは申し上げることはできませ
ん。

 北朝鮮との交渉を前進させ、諸懸案の解決に向けて道筋をつけていくため
に、最大限の努力をしていきたいと思います。

小泉総理の再訪朝について(談話)
民主党 拉致問題対策本部長
鳩山 由紀夫


 本日、政府は小泉総理が22日、北朝鮮を再訪問する旨発表した。2002年9月 の総理の訪朝以来、私たち日本国民は、帰国を果たされた拉致被害者5名のご家族の 早期帰国とともに、死亡或いは不明とされた10名、そして100名を越すと言われ ている拉致の疑惑の強い失踪者の全容解明と全面解決を強く求めてきた。その後、北 朝鮮が挑発的言動をエスカレートさせる中、1年8ヶ月もの膠着状態が続き、被害者 及びそのご家族の方々のご心労は、ただならぬものであったと察する。このことに思 いを致す時、8名のご家族の無条件帰国は当然であり、この実現を歓迎したい。他 方、22日の小泉政権の再訪朝が、実質的かつ具体的な成果をあげない場合の責任は 極めて重い。とくに、本来ならば北朝鮮側が拉致被害者全員とともに来日するのが筋 である。

 民主党は、拉致対策本部を中心に対外的には米国や韓国など国際社会の理解と支持 を得るために積極的な働きかけを行うとともに、国内的には、改正外為法を成立さ せ、特定船舶等入港禁止特別措置法案を提出するなど、時に超党派の議連や与党とも 連携しながら、拉致事件の全面解決を最優先に掲げて取り組んできた。小泉総理は、 前回、自身の政治的成果を急ぐあまり、交渉が詰めきれていない段階で拙速な訪朝を 行ったが、今回、拉致問題を政局の道具にした判断であってはならないことを厳しく 申し添える。また、基本的人権の回復を含む拉致事件の全面解決を見なければ、先般 の列車爆発事故のような人道支援を除き、北朝鮮に対して経済援助を行わない、との 毅然たる立場で交渉に臨むことを求める。



[大臣のほんねとーく]

● 国際競争に勝ち抜くための国家戦略を作成しました
  (経済産業大臣 中川昭一)

 昨日の経済財政諮問会議において、「新産業創造戦略」を発表いたしまし
た。

 最近、経済全体としてはようやく上向きとなってきたといわれています。
でも、私の地元の北海道もそうですが、必ずしも地域経済や中小企業にまで
活気が十分行き届いているとはいえません。今回まとめた「新産業創造戦略」
は、地域経済や中小企業までを含め、日本が世界の中で勝ち抜いていくため
の戦略レポートです。

 資源の乏しい日本が生きていくには、人材を育てていくことが何より大切
です。企業の人材投資を促進したり、現場の第一線で活躍する尊い人材を育
む顕彰制度を充実させたり、また、体験学習などを通じ子供達にものづくり
の面白さを伝えていくなど、色々取り組んでいきたいと考えています。

 技術力も重要な鍵です。ナノテク、バイオ、ITなどの先端技術はもちろ
ん重要です。同時に、日本には眠れる優れた伝統技術がたくさんあり、これ
を有効利用していくこともとても大切です。江戸時代のからくり人形の技術
が最新鋭の自動車部品工場の搬送装置に応用されています。20年、30年
と世界ナンバーワンに立ち続けられる産業を育てるためには、日本の伝統技
術を先端技術とうまく接ぎ木することが大切です。

 また、こうして生み出された成果を官民一体となって、きちんと保護する
ことが必要です。知的財産の保護は国際戦略に欠かせません。

 外国と同じことをしているだけでは国際競争を勝ち抜くことはできません。
他には真似できないことが日本のブランドにつながります。感性や職業観な
どを大切にし、知恵と工夫を蓄積していく。それが、我が国産業が世界のト
ップを走るための「秘伝のたれ」となるのです。

 今回は、「新産業創造戦略」に込めた、私の思いを述べさせていただきま
した。この戦略は、90年代の米国の驚異的な国際競争力回復をもたらした
「ヤングレポート」に劣らないものと自負しております。経済産業省のホー
ムページからもご覧いただけますので、是非多くの方にご覧いただきたいと
思います。


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