喜びと悲しみのはざまで

喜びと悲しみのはざまで

妊娠



私自身が30歳という年齢でもありましたし、果たして夫も私もすぐ子どもができる身体なのかわからず、子どもについてはいろいろ考えていました。
本当は数年、二人だけの時間を過ごしたいという思いはありましたが、もし不妊治療をしなければならなかったら、年齢的にそうゆっくりはしていられないし・・・。

でも、どうしても、担任している生徒たちは送り出してあげたかった・・・。
一年生から担任してきた子たちでしたので・・・。

だから、計算をしました。
いつ以降の懐妊だったら、卒業式まででられるか・・・。
3月の時点で9ヶ月未満であればいいわけで、そうなるといつ以降に懐妊となっていいのか・・・。

8月でした。
8月以降だったら妊娠が判明しても3月までいられる・・・。

でも、そう簡単に思うようにはいかないだろうとは思ってました。
ただ、それまでに、妊娠はできないとだけは思っていて、夫もよく理解してくれていました。

その夏は夫とタイへ旅行へ行きました。
これからいっぱい旅行へ行こうねと言って、結婚して新婚旅行以外では初めての旅行だったのに、それが最後の旅行になってしまいました。

そして、9月初旬、私の妊娠がわかりました。
8月、今日からはいつできても大丈夫、そう言っていた日にできた子でした。
凄い・・・って思いました。

でも、それも今となってはこの運命が決まっていたからだったんだと思えてきます。
この、4ヶ月後、夫の病気が発覚することになります。
私たちには、結果的に時間がなかったのです。

この運命を生き抜くために神様は、私たち夫婦に楓を授けてくださったと思うのです。

だから、このタイミングで妊娠するしかなかったのです。

自分の中に息づいた命・・・。
嬉しかった。

でも、楓もこの時からきっと、大きな使命を与えられていたんだね。

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