宇宙は本の箱

     宇宙は本の箱

山に眠る日


押入れでただ眠るだけになったかつての山の道具たち。

昔は、子供がはれて大人になったら、
荷物もたせて秋の下の廊下を行くのが夢だったが、
今は座布団に坐ったまま飛ぶのが夢になった。
それでも夏山の想い出は、子供の成長の想い出に満たされていて、
アルバムには幸せな時が刻まれ、それは色褪せる事がない。


風が吹く。


♪いつかある日 山で死んだら 

   古い山の友よ 伝えてくれ


ウエンストンが日本を去る日、徳本峠から見た月の夜の穂高。

その穂高に灰になって眠る幸せな夢が、まだ最後に残っている。



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