宇宙は本の箱

     宇宙は本の箱

雨に咲く花


通信文にサンタさんとの会話がある。
一人一人の悩みにその場しのぎ的に対処していたんじゃ根っこやれない。来るべき未来に間に合わない、って言っていたのに、振り返ってみればほとんど何もしなかったに等しいね。
皆にはそういう切実感がなかったんだけど、私一人が言ってるまに、危惧していた世の中になってしまった。
男と女の仲じゃないけれど、♪なれるようにしかなれないわ~。


「僕のいるところではね、イスラム教徒が多いからなんやけど仏陀は否定されてるんや」
「そうなの?でも、男前のもてるサンタさんの仏陀論なら耳貸す人間もいるでしょーに」
「何も出ないよ」
「折角褒めたのにそれは残念!」
「でも僕、日本におった時は全然もてんかったけど、あっちに行ったらほんともてた。すっかり自信もってもうた。フランスではゲイにもやたら声かけられて、よっぽど試そうか思うたけどそこまでの勇気はでえへんかったな~」

何気ない話をした頃のサンタさんの手紙が残る。
僕もここまで来るのにはいろんな人にも巡り会いました。でも、僕はまだおばちゃん以上の人間に巡り会いません。
私ごときくらいの者にしか・・・巡り会いませんか~。
悲しい人生だ、って私は言ったんだった。


通信を読むと、遠路はるばる何回か来た的場さんのことなんぞも思い出した。
薬から開放され立ち直りつつあった60過ぎの人。異常とも思える才媛。故の不幸。
あの日は受話器をながく持っていられるような日ではなくて・・・
精神病患者というのは実に難しい。一度でも断ると、拒否されたと思い込むのだ。


自分を愛しみながら生きるということは、今、この時を大切に生きるということだ。
今、この時を大切に生きるということは、今、この時を決して忘れず生きていくという事だ。



言葉が矢鱈むなしく霞むひがある。


天国のサンタさん、
お元気ですか?
的場さん、歩けますか?
私は麦わら帽子を被っていますよ。
強風にあおられた花壇に雨が吹き付けます。





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