平成25年11月1日(金)
道は上り込みになりました。途中で県道を離れました。辺りは、杉林に雑木の混じるボウボウ山(手入れのないうち捨てられた感じの状態)でした。目的地は「オーディオ道場」
随分前、友人Kが阿蘇の山懐にオーディオ道場なるものがある、と話したのを覚えていました。気になっていました。最近、音楽を聴くことに萎えていた自分です。も一度仕切り直ししないと、名曲喫茶は夢になりかねません。ここいらで喝を入れなければ。ということでやってきました。
一言で言うと、異空間でした。傷み始めた簡易舗装の、更に急勾配を登ったところにありました。武道場のような建物がありました。小さな体育館のようでもありました。看板にオーディオ道場とありました。
着くなり、ご主人に声をかけられました。
「よく来た。えっ、大分から?会社はキャノン?」
「いえ、違います」
「まあいいや、どうぞどうぞ。色々ありますから聴いていって下さい。それにしてもよくここが判りましたね。半数の人が迷うんですよ。そして、最後の坂に引いちゃうんです。それを乗り越えて来たんだから、私たちはもう兄弟です。運命的出合いが始まりました。同胞です。さあどうぞどうぞ」
初対面の私たちに、よくもまあ、という感じでした。人なつっこいというか、この親近感に、ほとんどの人は引くかもしれません。60半ばの年齢でしょうか。とりあえずということで、勧められたソファーに腰を下ろしました。と、謎めいた感じの女性が、艶めかしい笑顔で「何になさいますか」とこれまた艶っぽい声。コーヒーとケーキのセットを注文しました。ご主人のお嬢さんでした。このスイーツ、絶品でした。パリの名店からの取り寄せだそうな。
さて、いよいよオーディオです。先ずはJBL。硬い音でした。
続いて同じくハーツフィールド。ご主人自慢のものでした。これも硬め。
古いタンノイを聴かせてもらいました。ストラディバリが艶めかしい。これはいい音でした。
ヴァイタボックス。これも柔らかい。いい感じでした。
最後はJBLの4355。椅子が本体に近すぎて、どうもいけませんでした。
持参したCDはパオロ・ベスキのバッハ無伴奏チェロとEUROPEAN JAZZ TRIOの「EUROPA」でした。マーラーを持ってこなかったのが悔やまれました。
3時間あまり。オーディオ談義はもとより、音楽、美術などについてご主人の世界観を拝聴しました。何故この場にとか、生いたちと職業、お嬢さんのことなども伺いましたが、それは多分に個人的です。興味深い話でしたが、ブログに書きすぎはよろしくない。
いい時を過ごしました。
今日の一句
山中に道場ありて響きよし
バッハ聴く林間暗し真空管(字余り)
パリ産のケーキ楽しむ外輪山
数多とて如何に名機と言われても
今日の写真は、帰りの根子岳とススキです。異空間から現実に戻るとき、この景色が似合います。
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