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すべて伽哉のうち迷い道日記

2008エリザベート！

　「エリザベート」というと、宝塚のみならず、ミュージカルファンにとっても
　特別に思い入れのある作品ではないでしょうか。

　そういうわたしも、この作品が大好きで　
　初めて知ったのが、日本初演ともなった、雪組版「エリザベート」を
　ビデオで見て、すごい作品だな～と思い
　以降、舞台では宝塚の月、雪組(昨年）版を観たりもしました。

　　　つい最近では、2008年11月に、帝劇で東宝版のエリザベートを観て
　　　山口佑一郎のトートも、なかなか魅力的だなと目からウロコの新体験！

　　　男役の演ずる、黄泉の帝王＝死神のトートだと　

　　　この世のものならぬ妖しさと美しさが前面に出てきて
　　　観客は、現実感から最も離れたところで、
　　　その妖しさなり美しさを、感覚的に思う存分堪能するというわけだけど
　　　これが、生身？の男性の演ずるトートだと
　　　エリザベートに恋をするというあたりが、非常にストレートに伝わり
　　　むしろ、観る側からすると感情移入しやすい、
　　　人間味を感じるトート像なんだなと感じました。

　　　もちろん、その歌唱力もすばらしく
　　　わたし自身も山口トートを好きになりそうだなと
　　　宝塚版では、なかなかわき上がってこない感想も出てきたりして
　　　さすがに日本を代表するミュージカルスターだなと改めて感じたり
　　　黒天使たち→トートダンサーズの踊りも非常にダイナミックで
　　　たぶん本来の作品が持っているであろう、荒々しさというか
　　　ロック的なエネルギーがストレートに伝わり

　　　　　　　　　　　　　またこの舞台で、元雪組トップだった朝海ひかるの演じたエリザベートも

　　運命に翻弄される弱弱しい女性ではなく
　　　　　　　　　　　　　　あえて逆境の運命の中でもプライドを失わず
　　　　　　　　　　　　　　　自分を誇り高く持って、孤高であっても毅然と運命に立ち向かおうとした
　　　　　　　　　　　　　　　強いエリザベート像を観せてくれて、これまた、よかったです。

　　さて、この「エリザベート」については、前にも日記に書いたことがあり、
　　以下はその時の記述を直したものです。

　(ところで)このエリザベートというのは、
　元々王家の一族だったけど、従兄弟のオーストリア皇帝に見初められ、
　ハプスブルグ家に嫁いだ女性。

　170センチを超す長身、
　今ならスーパーモデル並みのボディサイズで、ウエストは驚異の50センチ！
　腰まで届くつややかな髪、ヨーロッパ随一の美貌を謳われた后妃！

　16歳でハプスブルグ家に嫁ぎ、
　晩年はテロリストの手にかかり暗殺されるという悲劇的な最期
　『エリザベート』とは、
　そんな彼女の劇的な生涯を描いた、ミュージカルの大作なのです。

　　日本初演は、宝塚
　　これが、当時の雪組トップスター、一路真輝のサヨナラ公演となり　

　わたしは、「エリザベート」をはじめて見たのが、この雪組版。
　残念ながら、ビデオなのですが、その素晴らしさは十分に伝わる圧倒的な力作。

　なんといっても、その卓抜した芝居構造、脚本の巧みさと、
　楽曲のすばらしさに尽きるこの作品。
　本邦初演となる雪組版の当時の主要キャストのほとんどが、
　後にトップとなる実力者ぞろいで、見ごたえ十分です。

　作者はミヒャエル・クンツェ
　日本でも大ヒットしたミュージカル『モーツァルト!』や、
　日本発のミュージカルとして話題を呼んだ『マリー・アントワネット』の
　脚本担当としても有名な、世界的なヒット・メーカー。

　その魅力は、やはりミュージカルといっても、ヨーロッパの作品ということもあり
　どちらかというと、ロック・オペラ的な荘厳さ。
　テーマも、生や死、など、人の運命を象徴する、普遍的なものながら、
　エリザベートに関わる数多くの出演者が、彼女のエピソードを語るがごとくに物語を織りなし、それがクライマックスに向けて高められていく！
　といった、複眼的な、幾層にも絡み合った芝居構造のしたたかさと巧みさ、素晴らしさといったところでしょうか。

　やはりアメリカのミュージカルとは、またちがう趣きがあります。

（←原曲版）　　　　　

　エリザベートは、王家の一員ながら、どちらかというとアウトドア的な自由な気質の女性。
　そんな彼女が、16歳の早まった結婚をしたときから、
　結婚、出産、姑との確執、子供への対応と
　そんな人生の折々の節目の選択に、結果的にすべて誤った道を選んでしまうのです。

　それにしても、女性ならだれもがあこがれるプリンセス！
　だけど物語は続き、白馬の王子と結婚したプリンセスのその後というのは
けっして平坦なものでなく、むしろ苦難に満ちたものであったとは！

　生きることの難しさ
　よりよい人生をだれもが望んでも、その人生の劇的な節目に
　自分が選んだ道がまちがっていたかもしれないと気がつくのは、本当に苦しいもの。

　特に、エリザベートやダイアナ妃の生涯を見ていると、

よけいにそんな思いにふけってしまいます。

　だから有名なプリンセスより、無名の一女性がいいかも（と、ここで話が急転直下）
　なにより気楽だし
　やはり、ひとつの賢い生き方は『無名人』～
　せめて『美貌』でもつけばいいけど、これは、かなムリだし（悲）　　

　というわけで、いろいろあれもしたい、こうだったらなんて、日々思うけど
　とりあえず、こんな気楽な休日でノビノビできるのも、自由でいいし、
　無名な今の暮らしも、けっこう悪くないのかも、とエリザベートの生涯を思い、
　そんな考えにふける、現役無名人のわたしなのです。　　　　　（2007-04-22の日記より）

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