いとう伸のブログ

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ベンツまでの距離。(想い出)



その後は、誰もが驚く連続の新規契約。どこでも落とせる。落とすまで訪問する。必ず落とす。まさに憑き物状態。

毎回、目の回る忙しさ。脳内にはアドレナリンが大量放出され常に戦闘モード。しかし、若さもあって疲れは感じなかった。

新規店開拓には既存の販売店に対する押し込み販売からの脱却と言う大義もあったが、ほんとのところは営業員の名誉「セールスコンクール」への入賞のための戦術でもあった。

高卒で入社した当時は営業を熱望するも配属は商品管理。聞こえはいいが、窓と空調のない倉庫で1日中伝票もって出荷作業。おまけに工業高校出身という経歴が災いし、当時20数台あった営業車のオイル交換及びメンテナンスをいいつけられ、油まみれ。

毎日、大卒の営業マンの下働きで劣等感は最高潮。そんな1年半を過ごし、ひょんなことからラッキーにも営業に転属。

しかし、最初の担当店はまさに零細個人商店ばかリ。おまけに人がいいことにつけこまれ、不良在庫は半端じゃない。新任の挨拶が腐ったような返品処理と解約の申し入れの嵐。そして前任者のクレーム、クレーム。

その状況でも営業に上がれた喜びと劣等感からくるエネルギーで心は希望で充満状態だった。

さて、そんなことで新規取引はどんどん増え、それからの7年は営業コンクール新規取引部門で常にトップ。既存の販売店の不良在庫の整理も計画どうり進み3年経った頃からは既存店伸張率部門でも連続入賞を続けた。社内誌にたびたび登場し、成功事例のビデオに出演。本社の役員からも常に激励を受け、伝説の男と呼ばれた。

それでも給料は成績最下位の大卒営業マンより低かった・・。

本社の営業のトップ役員に直訴し、1年以内、20代で史上最年少の課長にしてくれと申し入れるが撃沈。

夢と希望は崩れ去った・・。

ベンツまでの距離を感じた27歳。

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