癒しの羽

癒しの羽

第二章『Time flows and starts』



「悪い、ちょっといいか?」
そう、黒髪の剣士に街で呼び止められた。
「ん、何?」
色々面倒そうだったから、ボクは適当に返事をした。
「紅髪の重剣士見たって言うの、オマエだろ?」
「あぁ、そうだけど・・・」
またこの質問か、ボクはうんざりした。
数年前にダメージの与えれない杖のモンスターに消されたってウワサの紅い髪の重剣士。名前とかまで覚えてないけど、BBSでしばらくの間話題になっていた・・・らしい。
なにせボクがまだ『The World』を始める前の話だし、意識不明になったのではなくただ消えただけだったから、世間にもあまり話題にはならなかった。
その頃は「グラフィックが壊れたエリア」とか「女の子の幽霊」とか「突然現れる赤い杖」とか、とにかく妙なウワサ話が多かったため、この話もさっさと忘れ去られてるはずだった。
まぁとにかく、ボクが最近その重剣士に会ったのは本当のコトだけど、なんでそれをこの黒髪の人は知ってるのかなぁ・・・
「ドコで見た?教えてくれ!っていうか、連れて行ってくれ、今スグっ!」
今にも掴みかからん勢いで、そう言われてしまった。
ボクが返答に困っていると
「ぁの・・・まずは自己紹介が先では・・・キョウさん・・・」
黒髪の男の後ろで、蒼ベースの容姿をした呪紋使いが、ぼそぼそっと言った。
「あぁ、そうだったな・・・」
黒髪の方はそう言って、
「オレ様はキョウ、後ろにいるのがほむら。・・・で、オマエは?」
ボクは一瞬躊躇い
「ボクは、パイン・・・」
とりあえず、言ってみた。
「パインか・・・よし、パイン、道案内ヨロシクなっ!」
そう言って肩を叩かれた。
「・・・・・はぁ?」
ボクは呆気にとられた。完璧に。

・・・ボクの名前はパイン。
白と黄色のアーマーに、黒い重斧。
銀の短髪に、金の眼。
最近始めたため、レベルは低め。
これが、騒動にボクが巻き込まれる、最初の出来事になった。

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