癒しの羽

癒しの羽

第一章 第一話「魂のない少女」



第一話「魂のない少女」

 天使の少年コール・フェルク。彼は天使の中でも優秀な名門「フェルク家」の一人。フェルク家は高い魔力があると知れられている。悪魔達は皆、恐れている存在。
 しかし、コールには他の天使とはあまり関わっていない為か、感情表現があまり出来ないのである。出来ないと言うより解らないと言ったほうがいいだろ。
 そんな彼が唯一楽しいと思っている事は人間界へ行き、生物の魂の輝きや美しさを感じる事だった。人間界へ行く事は天使達の居る世界…天界の掟ではやってがいけないのだが、コールは楽しいと思ってやっている事なので、天界の住民は快く受け入れてくれたのである。それをいい事に、コールは毎日の様に人間界へ行く様になってしまった。
 そんなある日、コールはいつも行っている「リネルの国」ではなく「ガゼルの国」と言う所へ行ってみた。
 ガゼルの国は、穏やかとは言いがたい所だった。人も一人も居ない。
「……誰も居ないのか…」
 コールは小さな声で呟いて、この国から出ようとした。
「……あっ!」
 コールは思わず声を上げた。誰も居ないはずなのに…一人の少女が居たのだ。青色のボサボサの髪にボロボロの服を着て、目はうっすらと白かった。年は十代半ばぐらいだろう。 
 コールは不思議そうに少女を見た。
(魂の気配なんて…なかったのに…)
 コールは思った。
「あな…たは…?」
 今にも倒れそうな声で言った。ようく見ると背には結構重そうな剣を背負っていた。
「私の名前?コールだ。君は?」
「…スペル。…コールさ…ん…フィーナ様はどこに…居るので…すか?」
 スペルという少女がそう言った。
「フィーナ?知らない名だ」
 コールは素直にそう言った。
「知らない…のですか?」
 コールは頷いた。少女は悲しげな瞳をしていた。
「その人を探しているの?」
「はい…そうです」
 するとコールはスペルの手を掴んだ。
「…?」
「身体が冷たい…体温が低い…。お前大丈夫か?」
 コールが問いかけてもスペルは答えはしなかった。
「わたしは…変…なのですか?」
 スペルは悲しげな目でコールを見つめてきた。
「変…だ。人間の体温は普通こんなに冷たくない」
「大丈夫です…わたしにはフィーナ様が…」
「!!」
 コールは何かを感じ取っていた。
「…。スペル…誰か近くに居るぞ…」
 コールが指した方向には人影が見えてくる。その影の持ち主がコールたちの前に姿を現した。その持ち主はスペルと同じくらいの年と身長で、髪は薄い緑色をしていた。背中には弓と弓矢を背負っていた少年だった。
「スペルっ!ここにいたのか…。探したよ~…って貴方は誰ですかぁ?」
 少年はコールに尋ねた。
「私はコール・フェルクだ。スペルの知り合いか?」
「コールさんですね、スペルの知り合いですよ~。ボクは小さい頃からスペルを知ってますしね!ボクの名前はロアって言います。どうぞヨロシク」
 ロアは、人懐っこいタイプだった。コールはまだ警戒してるのか、ロアから目を離していなかった。
「うぅ、この感じは…コールさんは天使さんですか?」
「あ、ああ。そうだが…お前は…人間ではないな?」
 ロアが問いかけ、コールも問いかけた。
「あぁ、ボクですか?分からないのも無理ないと思います。だってボクは苦人でありながら、悪魔なんですから…」
「!?」
 コールはその言葉に耳を疑った。苦人は、人間の汚れた(けがれた)魂を元に戻す力を持っていて、人間の手助けなどを好む生物だ。悪魔は、人間を利用したり、魂を喰らったり。人間や他の生物に被害を加えるのを好む生物だからだった。
「ボクは苦人ですから大丈夫です。貴方やスペルに被害を加える事はありえませんから。安心してください…」
 ロアは笑顔で言ったが、どこかその瞳は淋しげだった…。
「それよりも…スペル!もうそろそろ限界だよ…一緒に逃げようよ!」
 ロアは急に言い始める。しかし、スペルは無表情のまま首を横に振った。
「フィーナ様はわたしを導いてくださるお方です。逃げるのならロアさん一人でお逃げください」
 スペルはロアを見てそういった。
「おい…スペル…そのフィーナ様とやらが見えてきたぞ…」
【続きはまた今度!第一話はまだまだ続くデスw】

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: