001:おはようございます
002:天気予報
003:ラヂオ
004:いってきます
005:掃除
006:ワイシャツ
007:授業風景
008:チョーク
009:移動教室
010:あの子のとなり
011:通勤
012:満員電車
ここはスウィートウォーターの中のとある鉄道。

「総帥が乗っているらしいぞ」
「前の車両だそうだ」
 夕時の満員電車にこんなうわさが飛び交う。もちろん右も左も人でいっぱいで、そのうわさの真偽など、まったく分からない状態である。
「ジーク・ジオン!!」
 車両の奥の方から、婦人の声が聞こえた。
 周りの人々も、これにつられるように口々に「ジーク・ジオン」を叫び始めた。
「この花束を我らの総帥に手渡してくれ!」
 花束が人々の間で前の方に手渡されていく。いつしか車内は歓声に埋めつくされていた。
 と、前の車両でより大きな歓声が湧き上がった。おそらくシャアに花束がたどり着いたのであろう。その歓声は、花の残り香と共に、後部車両まで伝わっていった。
 そしてこの騒ぎに刺激されたシャアの熱狂的ファンが、一目顔を見ようと、前方車両に向かって、人の波を押しのけながら進んで行こうとし始めた。もちろん満員電車でそんなことをすると・・・・・・・・・・・。

「ン?後方が騒がしいな」
「何か騒ぎがあったようですが・・・・・・・」
 シャアは、先ほどもらった花束を抱えながら、吊り革につかまっていた。周りではまだ握手を求めてくるものや「ジーク・ジオン」を叫ぶものが絶えない。
 ――――ドドドドドドド・・・・・・・・・・!!
 たくさんの人間が、シャアの後ろから倒れこんできた。
 それは、将棋倒し状態だった。
「キャアアアアアア!!!」
「ヒィィィィィィ!!」
 人間は、シャアの上にまで倒れこんできた。車内は一時騒然となった。

 ――――死者1人、重態2人を出すこの惨事は、すべてシャアの見え透いた人気取りが元凶である・・・・・・・。

013:ラッシュ
014:モーニングコーヒー
015:バス停
016:すずめとでんせん(漢字変換自由)
017:ワイドショー
018:暇
019:白い洗濯もの
020:ドラマ
021:お昼時
022:あおい空
023:きゅうしょく(漢字変換自由)
024:ひばり
025:グランド
026:土煙
027:高い空
028:こんにちは
029:食堂
030:がらんどう(空)
031:空腹
032:窓際の机
 窓際の机から見えるのは、青い空、明るい街、砂の校庭、ピンク色の人・・・え?ピンク色?
 あ・・・あれは・・・・!父さん、母さんだぁぁぁ!!
 ピンク色は、二人を取り巻くピンク色の愛のオーラvだったのだ。それにしてもなぜ、こんな所に・・・?

「デ~ミア~ンvv」
 チップが、こちらを蒼白な顔で見下ろしているデミアンに気づき、大きな声を張り上げながら、手にしているかごをブンブン振り回している。
 クラスの何人かがこの声に気づき、窓の外を見下ろした。数人が、デミアンのほうを見て、同情するような目つきを示した。ヒソヒソ声でこのことは廊下側の席の人まで伝わって行き、何人もの人が笑いをこらえているのが分かった。
 デミアンは窓の外に向かって、口パクや目で帰るように示した。しかしチップとタケルはそんなことに気づくはずもなく、ラブラブオーラ全快で、こうハモった。
「今からそっち行くからぁ~vvvv」
 ・・・・・・・終わった・・・・・・・・・・・・・
 デミアンは、血の気の引いた顔で、机に突っ伏した。鉛筆が顔に刺さって痛かったが、大して気にならなかった。それほどショックだった・・・・・。

「あら、デミアンどうしたの?」
 ポーチがやっとクラスのこの騒ぎに気づいた。ポーチはデミアンの顔を覗き込んだが、デミアンはまったくの無反応。
「どうしたの、デミアン!」
 背中を軽く叩くと、デミアンはだるそうに顔を上げ、
「父さんが・・・・母さんが来る・・・・・・」
とだけ言って、また机に突っ伏してしまった。
「・・・・デミアン?タケルとチップが来るの??」
 クラスでは、クスクス笑いがいつの間にか大爆笑に変わっていた。
 しかしポーチがギッと一睨みすると、たちまち笑いはやみ、元の静かな教室に戻った。
「デミアンとにかく保健室に・・・」
 ポーチがデミアンを立たせようとした、その時、
「デ~ミ~ア~ン~vvv」
「でたぁぁぁぁ!!!」
「あら、タケル、チップ」
「ポーチ。デミアン、お弁当忘れたでしょ?持って来てあげたのよvv」
 チップはデミアンの前にどん、と持ってきたかごを置くと、ポーチのほうに歩み寄った。
「チップ・・・わざわざタケル連れてこなくても」
「いいのよ。それより、ポーチの新婚生活はどう?」
「ああ、もうよくぞ聞いてくださいましたってかんじだわ。聞いてよ、カンジーのやつ・・・」
 なんと大人二人は世間話を始めてしまったではないか。
 こうなったらもう、恐ろしいポーチ先生の目も光らない中、皆は存分におしゃべりを始めた。
「よーし!体育するかぁー!!」
「タケル先生、外行こうー!」
 タケルはタケルで生徒を引き連れて校庭に出て行ってしまうわで、クラスはもうめちゃくちゃであった。

 休み時間、デミアンのクラスに訪れたフシールは、一言もらした。
「が・・・学級崩壊・・・・かな?」

033:買い物
034:夕暮れの道
035:スーパーマーケット
036:終業
037:一緒に帰ろう
038:ドア
039:黄昏時
040:こんばんは
041:におい(漢字変換自由)
042:ただいま
043:しゅうしょく(漢字変換自由)
044:食器洗い
045:おかえり
046:お風呂
047:ソファベッド
 第1次ネオ・ジオン戦争の終結と同時に、アムロとベルトーチカは、同居を始めた。
 籍は、入れない。結婚という言葉に囚われるのは、二人とも嫌だった。

「ねえ、アムロ。私食器はこのメーカーで統一したいんだけどvv」
「ああ、ベルがしたいようにすればいいさvそれよりこの照明はどうかな?この明かりがいいムード出してると思わないか?」
「う~ん、こっちのほうがいいと思うけど、アムロの好きなようにすればいいわ♪」
 店の中でいちゃつく二人。しっかりと腰に手を回している。周囲の方々の冷え切った視線にもまったく気づかず、完璧な自分たちだけの世界を作り上げていた。
「アムロv見てこれ」
「なんだいベルvv」
 ベルトーチカは、一台のソファベッドに触れた。割と落ち着いた薄緑色のそれを、ベルトーチカはかなり気に入ったようだった。
「アムロ、これほしいんだけどな」
「・・・・・ソファベッド?家にはもうソファーもベッドもあるだろう?」
「だって・・・・・・・アムロの家にあるのは、ベッドもソファーも高級でしょ?生活感がないのよ。あまりにも型にはまりすぎっていうか・・・・・私は、アムロと生活をしたいの。生活感のある、二人だけの生活」
「ベル・・・・・・」
 そのベルトーチカの訴えに、アムロは完璧にノックアウトされてしまった。
 ―――俺とベルの生活・・・上等じゃないか!!
「ベル・・・買おう、俺とベルのためだもんな・・・・・」
「アムロ・・・・・・」
 二人は店の中だということも忘れて、熱い抱擁を行った・・・・・・・。
 周囲の方々は、もうこのバカップルのことなどまったく相手にしていなかった。

048:螺旋階段
049:まくら(漢字変換自由)
050:おやすみなさい
 リ・ガズィから発せられた閃光が私を包み、次の瞬間、私は宇宙に浮いていた。
 とても、落ち着いた気分だった。星は輝き、先ほどまで響いていた爆音も、今ではすっかり静寂に呑み込まれ、聞こえる音といえば私の息遣いだけだった。

 ふと懐かしい感覚がして、私は足元に目をやった。
「・・・・・・・・母さん・・・・・・・・」
 私はくるりと体を反転させて、懐かしい母親に向かって体を流れさせていった。
 母さんは、両手をいっぱいに広げて私を受け止めようとしてくれた。
 私の手が母さんに触れようとしたその時、母さんは、私の頭をクシャクシャに撫で回した。
「母さん?」
 私の目の前にいたのは、クリスチーナだった。私の頭をクシャクシャにするのが、クリスチーナは好きなのだった。
「クェス。人間は変われると思う?このままじゃ、だめだよね。変えてゆくのは、私たちの世代。私たちが、世界を変えるの・・・・・・・」
「クリスチーナ」
 サァッと、クリスチーナが消えていった。
 誰も居なくなった宇宙空間で、私はしばらく漂った。自分がノーマルスーツを着ていないことも、まったく息苦しくないことにも気づいていなかった。ただ、虚しさが私を取り巻いていた。
 私は、ふと頭に浮かんだ言葉を口に出してみた。
「・・・・・・・・ニュータイプ」
 その言葉を発した瞬間、私の体は、すごく熱いものに包まれていた。
 私の体の周りだけじゃなくって、頭の中も、みんな宇宙になっていくような気がして、吐き気が込み上げてきた。
頭を抱えた私のちょうど目の前に、そのすごく熱いものが徐々に形を成していっているということが、目を閉じていても分かった。
 そして、私にはその熱いものがアムロ・レイだということも分かった。
 私は目を開けてアムロ・レイを見ようとしたけど、何かが私のまぶたをしっかりと押さえるように圧力をかけて目が開かないようにしていた。私はその何かに、無性に腹が立った。
「どきなさいよ!」
 私はその何かを突き飛ばす図を頭の中で思い描いた。すると、私にかかっていた圧力がふっと和らいだ。
 圧力からの支配を逃れた私は、アムロ・レイの居る方向へ流れていった。私の進路にアムロは見えなかったのだが、なぜかそこに居るのが分かったのだ。
 私がアムロ・レイに抱いている気持ちは、ただの“好奇心”だ。ただ、興味があるだけ、それだけなのだ。
「クエス」
 アムロに流れていこうとしている私を、誰かが呼んだ。私には、それが誰だかすぐ分かった。ついさっきまで一緒にいたのだから。
「大佐」
 大佐は、私のすぐ目の前にいた。
 “愛情”。それが私が大佐に抱いている気持ちなのだろうか。大佐は好きだ。私の理想の人だ。でも、“愛”ではないような気がする・・・・。
 ふと私はどうでもよいような気になって、大佐に抱きついた。大佐は私の頭を軽く撫でてくれた。
 しかし大佐はすぐ私から体を離すと、
「私はもう出撃する。クエス、私を守ってくれ」
と言い残して消えていってしまった。
「わかった・・・・・」
「クエス、ここは戦場だ。もう大佐のことは考えるな」
 私はいつの間にかMSのコクピットにいた。ギュネイの声が頭に響く。
「あんたには関係ないでしょ!」
 私はヤクト・ドーガの速度を上げて、ギュネイ機を引き離した。
「生きて戻れよ!!」
「クエス!戻るんだ!!」
 ギュネイの声と聞き覚えのある声が重なった。
 私の記憶は、ハサウェイ・ノアという名前をはじき出していた。
「・・・・・・・・ハサウェイ・・・・・・?・・・・・・私・・・・・・・アッ!」
 ひどい頭痛が私を取り巻いた。急ピッチでいろいろなイメージが浮かんでは消えた。頭の中がかき回されている・・・・。
 ―――ハサウェイ・・・・私・・・守りたい・・・・・・・・?
 眼前に、ハサウェイの顔と、リ・ガズィのイメージがリアルに浮かんだ。
「守る・・・・・・・・・・・・・!!!」

「クエス――――――!!!!」
 α・アジールは閃光の中に消えていった。クエスという少女と共に。
 もう届かないハサウェイの叫びが、宇宙に虚しく響き渡っていった。

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