適当な日常

適当な日常

1、暁 【あかつき】


「アカツキノソラ」

 「艦長、3時の方向に敵影です。数不明、全勢力と見て間違いはないでしょう」
「とうとう来たか……。総員、Lv5戦闘配置につけ! これが最後の戦いだ!」
 号令と共にブリッジ内は慌しくなる。こちらの戦力はこの艦一隻と搭載している戦闘用機体【ライズ】のみ。対して敵、【夜の使者】の部隊は数え切れない程。不利なのは一目瞭然である。
 だが、この戦いは負けることが出来ない。ここにある巨大な洞穴、通称【虚空の洞穴】。この内部にあるセントラル・コアを破壊されると、夜が明けることは二度となくなってしまう。太陽光がなければ植物は死滅し、人類が住める環境ではなくなってしまう。
 だからこそ負けられない。この世界の未来は、彼らが握っているのだから。

 格納庫に佇む者が3人。それぞれが巨大な機体に向き合い、ただ立っている。
 黒い機体の前の男が沈黙を破る。
「俺達が戦う理由。何なんだろうな」
 問いは突然だった。その問いに対し、青い機体の前の女性が答える。
「 総夜 そうや 、難しく考えないこと。この子達を操れるのは私達しかいない。偶然であれ必然であれ、それは事実。そして私達がこれに乗らなければ、失われるもの、その数は計り知れないわ」
「……すまない 冬子 とうこ 、もう少しわかりやすく言ってくれないか」
「要は俺達がやらなきゃ人類の居場所がなくなる、だから俺達が戦う。そういうことだ」
 赤い機体の前の男が言い放つ。その言葉は軽く、Lv5戦闘配置にもかかわらず、緊張の色は見えない。
「なるほど、 紅司 こうじ の説明は単純明確でわかりやすい」
 直後、格納庫に放送が響き渡った。
「霧島少佐、相沢大尉、柳中尉、諸君等の今までの協力に感謝する。私達に出来ることは少ないが、全力で君達をサポートする。これが最後の戦いだ、がんばってくれ」
 放送が途切れると、静寂が格納庫を支配した。
「便利に使われている気がしないでもないが……」
「俺達がやらねば誰がやる、ってか」
「この戦いが終われば……、皆闇に恐れることなく生きていける」
「「「ならば行こう、朝日の昇る明日のために」」」
 三機のライズの胸ハッチが同時に開いた。そこに吸い込まれるようにパイロット達は機体の中へと消えていった。

 「艦長、同期は正常に終了した。いつでも出れる」
ライズに乗り込んだ総夜に実態はない。今総夜はライズの一部と化している。
「……よし、これより最終作戦を開始! 目的は夜の使者の全撃破及び虚空の洞穴の死守! ライズの発進を承認する!」
「ダークライズ、出るっ!」
 カタパルトに押し出され、黒き流星の如く敵陣に向かう。
「レッドライズも行くぜ!」
「ブルーライズも出ます!」
 続き、赤と青のライズも射出される。その光景を、ブリッジのクルーは見守ることしか出来なかった。
「頼んだぞ……、選ばれし者達……」

 敵の数は想像を遥かに凌駕するものだった。見渡す限り敵、敵、敵。
 今まで見たこともないタイプの機体まで混ざっている。
「それほど向こうも必死ということか」
「総夜、俺は虚空の洞穴を守る。冬子と二人で敵部隊を殲滅してくれ」
「わかった、行くぞ冬子」
「了解」
 レッドライズは進行方向を変え、虚空の洞穴へと向かった。
「先手必勝」
統夜は背負っていた長い筒を手に取り、先端を敵が密集している場所に向けた。
 刹那、響くのは轟音。筒は煙を吹き、光弾を射出した。そしてその筒、バズーカを背中に戻し、拳を握った瞬間、光弾が空中爆破した。
「撃破数約3000。まだ足りない」
「総夜、グラビトンランチャー、撃つわ」
 ブルーライズは脇に長いライフルのようなものを抱えていた。その先端には、黒い塊が集中し、大きさを増している。
「目標、敵密集地帯」
 凄まじい重低音と同時に闇の弾が発射された。それが地面に直撃すると、膨張し、暗雲が辺りを覆いつくした。
 暗雲が晴れると、その一帯は全てが押しつぶされていた。
「どんどん行くぞ、今のうちに数を減らしていかなければ」
「了解」
 二つの機体は新しい獲物を取り出し、更に先へと進んでいった。

 「早いな……もう第一波がきたか」
 虚空の洞穴付近で待ち構えていた紅司。早速敵が接近していた。
「ターゲット、ロック。……ここは通さねぇ!」
 レッドライズの両脇のビームランチャー、両手のビームライフル、両肩についていたビーム砲から連続的にビームが発射された。それらは軌道を変え、一直線に敵へと向かっていった。爆発音が断続的に響く。
「お前らに俺達の朝日を奪わせはしない!」
 ライズとの同期で強化された感覚が叫びをあげる。背後。
「ちぃ!」
 咄嗟に振り向き、右のビームライフルを撃った。だがそれは弾かれ、敵はこちらへ突進してくる。
 ライフルを盾に防御をするが、自分の勘が間に合わないと告げていた。
「油断しすぎたか……」
 金属音が響いた。だが紅司に痛みはない。
「紅司、諦めるのが早すぎだ」
「新型に気をつけて。ビームが効かないやつらがいるわ」
 前を見ると、一本の刀が先ほどの敵機を両断している。
「助けられたな……。しかしこんなに付近にいていいのか?」
「いや、敵の侵攻が早すぎる。俺達も洞穴の死守に回らないといけないかもしれない」
「そうか、とりあえずこれは返すぜ!」
地面に突き刺さっている刀を投げた。刀はダークライズの背後に潜んでいた敵機を両断し、ダークライズは何事もなかったかのように刀を片手で受け取った。
「さあ、ここからが本番だ」



 夜が明けるまで後数分の世界。夜の使者は殲滅され、そこに立っていたのはたった一つの黒き機体だった。
「……、こちら霧島。夜の使者の殲滅に成功した」
 黒き機体の目の前には数多の黒い残骸と、その中に混じった、形を残している青と赤の機体。

 冬子は、前方の敵に気を取られていた俺を背後の敵から庇い、墜ちた。
 紅司は、冬子の撃墜に怒り狂い、自滅していった。
 そして俺は、ただ一人この世界に立っている。
「こちらデイブレイク、霧島少佐、現状を報告してくれ」
「……生き残ったのは俺だけだ」
 ただそう言い残して、聴覚機能をカットした。
「人類を護るため、か……。お前達のいない世界など、俺は要らないのだがな……」
 ―――そして夜が明けた。
 あたり一面が紅く、 朱 あか く染められる。
 そして、ダークライズも、朱く染まった。突き刺さっていた刀をその胸に突き刺し。
 暁の空に佇む者は、もういない。



あとがき
とりあえず100のお題の1作目ということで気合入れていきたかったんだが、やっぱりロボ物は難しい……。機体の形状の説明が上手く出来ないし、戦闘描写も出来ないからな……。途中端折っちゃったし。まぁ、リハビリ代わりなんで勘弁してください;

おまけの設定みたいなの
虚空の洞穴内部にあるセントラルコアは地球の自転と公転を操るもので、これが破壊されると太陽から離れて行き、二度と日が拝めなくなる。
これを破壊して闇の世界を作ろうとしているのが夜の使者。そんなことをして誰が得するんだーっていうツッコミはなし。大抵こういう敵ってとりあえず人類を滅ぼしたくて仕方がないんですよ(ぇ
で、虚空の洞穴を護るために結成されたのが戦艦「デイブレイク」。しかし夜の使者は並の武装では撃破できないという。そこで開発されたのが「ライズ」シリーズ。
ライズシリーズは搭乗者が機体と同期するため、環境に適応できる人間しか操縦ができない。そしてそれにたまたま適応したのが今作の3人。某ロボットアニメみたいに民間人だったものが成り行きでパイロットになった。
ライズシリーズの開発者は不明。原理もよくわかっていない。
他に不明な点とかあったらBBSとかコメント欄で聞いてみて;
短編は設定が複雑になるからねー

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: