Dog photography and Essay

Dog photography and Essay

心が落ち着いてきた頃


「頂戴!」

「ワンダーフォトライフ」では、
愛犬との散歩の途中で撮影した写真を公開しています。

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今日は風が強かったが、
私にとっては過ごし易い気温だった。

朝食の準備の為、ステンレス製の包丁を手に取り、
まずバケットを1.5センチ幅に7切れを切り、
オーブンで焼くためトレイに並べて行った。

包丁の切れ味が悪い為、
ステンレス包丁研ぎ器で研ごうと思った。

しかし、それには構わず大根を5ミリ幅に切り、
丸い大根を半月に切り鍋に放り込んだ。

次に人参を切ろうとしてまな板の上に置いてから、
先に長いまま半月に切った方が効率的かもと
包丁を人参の腹に立てた。

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丸い人参と切れ難い包丁のため、
思いっきり力を入れ切ろうとしたまではよかった。

しかし、丸い人参がくるっと回転をして、包丁の腹は容赦なく、
私の左手薬指の第一関節と爪の間に落ちた。

「痛い!」と思い、この何とも言えない痛い感触は、
何十年も忘れていた痛みであった。

右手で左手薬指の止血をするように、
しっかりと摘まんだ。

力を入れ過ぎ薬指の先は白っぽくなり、
皮膚が切れているのが見て取れた。

「な~んだ、血が出ないじゃないか」と思い右手に力を抜いた。

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その瞬間、一気に血が出て来た。
あふれ出ると言う感じではなかった。

だが、慌ててティッシュで指を覆い、止血をした。
体の何処を切っても痛いが、力を入れて人参を縦に
切ろうとしたので、途中で寸止め出来るタイミングではなく、
包丁の腹が容赦なく指を叩く形になった。

もし包丁を研いでいれば、人参は縦方向に切れたと思う。
包丁の切れ味が悪かったため、人参に刺さらず滑ってしまったと、
痛みが治まるまでの暫くの間考えていた。

塗り薬が見つからないので口内炎の薬を塗った。

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薬は傷口に沁みるようだが、
バンドエイドで薬指を巻き付けた。

まだ血が滲んでいたが、思い直して
人参を5ミリ間隔で切り、半月に切った。

セロリも切り、ホウレンソウも切って鍋に放り込み、
焼き豆腐や2センチ角のあげ豆腐も放り込み、
またごった煮を作った。

圧力鍋なので、鍋の底が分厚く、沸騰し出すと
一気に出来上がった。

妻の田舎の麹味噌を、「あみじゃくし」で解いた。
沸騰すると味が落ちると妻から教わっていたので
火力を弱くし解いて行った。

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ホープには、別にフライパンを使い、豚ばら肉を炒めて、
少し冷ましてから、噛み砕いてホープの器に入れた。

更に調理バサミでその肉を切って行った。
もうその頃には、ホープは尻尾を振り、顔を上げて私を見ている。

ビオフェルミンを一錠噛み砕いて、
その豚バラ肉の中に入れ掻き混ぜる。

更に13歳以上が食べるドライドッグフードを器に入れ、
満遍なく掻き混ぜたのちホープの食べる所へ置く。

昔なら、「お座り、待て、頂戴頂戴、よし!」と食べるのだが、
事故以来、お座りも中々上手く出来ない。

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頂戴頂戴!の動作も出来るのだが、
左右後足の開き具合が違う為、
直ぐにバランスを崩して倒れてしまう。

余りにも可哀そうなので、事故後、歩けるようになってからも、
お座りや頂戴もさせてはおらず、私がホープの食事を掻き混ぜ、
箸を器の縁へ叩くように音を鳴らすと、
ゆっくりとやって来るのが習慣になってしまった。

しかし、肉などの特別メニューになると、
ホープはその匂いがしただけで、急ぎやって来て、
早くと言わんばかりに尻尾を振っている。

そして、器を置くと、喉を鳴らすかのような音を立てて食べている。
実に可愛い私の娘的存在になってしまっている。

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「値千金」

「ワンダーフォトライフ」では、
愛犬との散歩の途中で撮影した写真を公開しています。

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今日はIHクッキングヒーターの掃除から始まり、
電子レンジや流し台シンクや排水溝の掃除をして
新しいメッシュ袋も取り変えた。

1ヶ月前私の手術入院でホープの面倒を見てもらうため
長女が孫3人連れて来てくれた。

その時に流し台も掃除をして行ってくれた。
私が掃除する時は、休み休み行うので中々はかどらない。
長女は主婦なので掃除も手早い。

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冬場のキッチン流し台の掃除は、寒がりの私には辛い。
まな板の上で包丁を使って細かく切ったりするにも、
手袋をしたまま包丁を使っていた。

それは、グレープフルーツなどの果物を切る時も同じように
手袋をして切っていた。

その日も寒く、手袋をしたまま、包丁を使っていたが、
左手手袋人差し指先を少し切ってしまった。

手袋は2重になっており、
外側の毛糸部分の糸を切ってしまったようだった。

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その手袋が気にいっていたので、余計に残念と思ったが、
糸が切れたまま手袋を使っていた。

使って行くうちに、外側の毛糸で編んだ部分が、
段々と解け、内側のソフトな手袋が顔を覗かせ、
日を追う毎に覗く部分が多くなって行った。

他にも手袋が有るのだが、その人差し指部分が1センチほど
覗いていたが他の手袋とは違い、手袋の感触が良く、
指先が覗いて来ても使い続けていた。

その手袋は100円ショップで、
昨年手袋の出始めに購入していた。

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100円ショップへ行き、二重になった手袋を
買って使用してもシックリ指に馴染まず、同じ手袋が
手に入らないか3軒ほどの100円ショップを探して回った。

何処を探しても同じ手袋は無く、仕方なく家に帰り、
妻の裁縫箱から針と糸を取り出し、人差し指が1センチほど
飛び出した周りの毛糸を少しずつ引っ張り紡いでいった。

一針紡いでは、糸を締め、また一針紡いでは糸を締めて、
全体を指で摘まんでは上に持ち上げ、糸で紡いでいった。

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50針ほど紡いで、糸が無くなり、次の一本の糸を取り出すが、
上手く取り出せず、団子状態になり、その糸を老眼鏡を掛け、
糸をたぐり解いて、やっと長い一本の糸が取れ、針に通した。

そして、手袋を同じように、毛糸を手繰り寄せて縫い
繋ぎ合わせて行き、やっとどうにか外側の毛糸の穴が塞がった。

左手に手袋をしてみると、人差し指が緊く感じたが、
何度もしているうちに、指に馴染んで来た。

私は、寝る時も手袋をして布団を被らないと
体の調子を崩してしまうので手袋をして寝ていた。

手袋を洗う時は、台所洗剤を濡らした手袋につけ、
手を洗うように手袋を洗って、温水で濯いで一晩干していた。

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手術入院の時も手袋の準備だけは忘れる事は無かった。
手術中も医師に訳を話して手袋をしたまま腹を切った。

病室に運ばれてからも、手袋を外す事は無かった。
その気に入っていた手袋を、家の中で、それも左手のみ、
何処かへ置き忘れ失くしてしまった。

まだ長女が家に居る時だったが、
あちらこちらを探して見ても見つからない。

他の部屋や押し入れの中まで探したが見つからない。
ホープとの散歩から帰宅しても、必ず探し、
妻の病院から帰宅した時も、既に探した同じ
所を探しても当然のように見つからなかった。

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その1ヶ月ほど見つからなかった手袋が、
今日の掃除のおかげで、寝室部屋の片隅のハンガー掛けの
上に乗っているのを見つけた。

既に気温も25度以上で、一重の手袋をしていたが、
ソフトにフィットする手袋が見つかった事に
嬉しさが込み上げるほどだった。

人から見れば、100円ショップで買った手袋である。
たかが100円と思うかもしれないが、
私にはその100円の手袋が、値千金に感じた。

たかが100円、されど100円。
100円の物でも思い入れで幸福感が得られた。

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「変化」

「ワンダーフォトライフ」では、
愛犬との散歩の途中で撮影した写真を公開しています。


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「中国写真ライフ」から
「ワンダーフォトライフ」へタイトル変更する。

2013年5月5日
妻の介護にも慣れ、心に幾ばくかの余裕が出て来た。
「ヘッドタイトルを変更」
この頃の風景画像は、まだまだ固い表情をしている。

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2013年5月13日
気持ちを取り直してブログページ更新。
「また一から頑張ろう」
心に余裕がないのか、まだ固い写真の色だ。

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2014年5月12日
妻は車で1時間離れた療養病棟へ。
「あれから1年」
この頃の写真も、色が暗く固い。

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2015年1月5日
妻の回復の見込みがないと医師から告げられる。
「李香蘭が歌う」
この頃の写真から徐々に私の写真に変化が見れ出す。

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2015年2月10日
心が落ち着いてきた頃。
「犬の本能に感心」
この頃の写真もまだ今の形は出来上がっていない。

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2015年2月23日
心が落ち着いてきた頃。
「忠犬」
この頃の写真から今の写真の原型が出来上がって来た。

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写真は心を映し出すとプロカメラマンが言っていた。
中国にいた頃も、品質納期に追われ心に余裕がなかった。

しかし、将来への不安が払拭出来たと言えば嘘になる。
誰でもが、不安を抱えて必死に生きているのだろう。

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「手招き」

「ワンダーフォトライフ」では、
愛犬との散歩の途中で撮影した写真を公開しています。

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「切ったらそのまま鍋に移すことが出来る」との
キャッチフレーズの 曲がるまな板。

妻が2ヶ月ほど使っていたまな板で、まな板の上で
切ったものを包丁と手で挟んで鍋に移す事をしなくともよく、
取っ手の付いたまな板を持ち上げればよい。

更に自然に中心側に折れ曲がり、こぼす事もなく
鍋に入れる事が出来るまな板であった。

昨日は包丁で指を切る不覚をとってしまった。
一昨日の出来事で、その曲がるまな板が、
取っ手の切り目からバキッと折れてしまった。

30センチ幅ほどのまな板の10センチほど残し
無残に取れてしまった。

昨日は久しぶりに使ったプラスティックまな板なので、
余計に滑ったのかも知れない。

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今朝、妻が使っていたまな板をネットで検索してみた。
全く同じまな板がヒットした。価格は2500円。

2500円もするのか~と思いながら、左手薬指の
バンドエイドから滲んだ血が黒っぽくなっているのを
見ながらパソコンの電源をシャットダウンさせた。

私の干したばかりのベッドの上の布団で幸せそうに、
いびきをかいているホープに「散歩行こうか?」と言っても、
背伸びをするだけで、ベッドから飛び降りて来る気配は無い。

私は、ティッシュを6つ折りにして、更に目薬を
たっぷりつけ、私の目を拭った。

それを見ていたホープは、ベッドから飛び降り、
私の前に頭を持って来て目を向ける。

私の拭いた所を裏返して、
目薬を少し足してホープの目を拭った。

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携帯ラジオの入ったA4バッグを左肩から斜めに提げ、
中に入っている携帯ラジオのスイッチを入れたのち、
部屋のラジオのスイッチを切った。

ホープは勢いよく廊下を走って
玄関のバンダナが置いてある所で待っていた。

バンダナにカラビナを通しリードを私のカラビナに繋ぎ、
更に一眼レフカメラを首から提げ、散歩に出掛けた。

散歩している最中も、まな板の事が気になり、
下を向き加減に歩いていたので、庭で草引きをしている奥さんから
「どうしたの?下を向いて」そして「若いんだから、
前を向いて歩いて」と言った。

その後「奥さんの調子が悪なったのですか?」と言うものだから
「女房ではなく、まな板なんです」と意味不明な事を
言うものだから「まな板?なんですかそれ」と苦笑い。

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昼からホームセンターへ行った。
ホームセンターの中は広いので、自分でまな板の置いてある所を
探すのは時間の無駄と思い、入ってすぐに
「まな板は何番売り場ですか」と聞いた。

ポケットから店内の地図を出し、
「36番辺りですよ。案内しましょうか?」と言うので
「大丈夫です」と言い、カートの上に乗せたホープの
リードを強く握りしめ36番へ向かった。

だが妻の使っていたようなまな板は陳列されていなく、
白いプラスティックのまな板が大半を占めていた。

その中に、耐熱抗菌手で持ってらくらくお鍋へと
書かれたプラスティックまな板が目にとまった。
価格も998円である。

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ネットで、2500円のまな板を買わなくてよかったと思いながら、
特大4.1キロの洗剤トップと単3乾電池を買って
レジに行きレシート頂き外へ出た。

これだけ買っても3000円ほどで、何となく得をした
感じを受けながら、帰りに河川敷の方へ向け車を走らせた。

河川敷ではあちらこちらでバーベキューをするグループの
輪が出来ていた。

車を停めドアーを開けるが早いか、
ホープは外に飛び出し走って行った。

ホープも解放感が心地良いのだろうと思った。
バーベキューをしている3つのグループは皆、
ブラジル辺り特有のポルトガル訛りで話していた。

ホープを手招きしていたと思ったら、肉を食べさせようとしているので、
「Please don't make them eat.」と叫んでしまったが、
「Yes, I'm sorry.」と立ち上がった人は
190センチはあるほど体が大きかった。

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「サラサラ」

「ワンダーフォトライフ」では、
愛犬との散歩の途中で撮影した写真を公開しています。

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今日も良い天気である。
4月にあれほど雨の降る日が続いて
気が滅入っていた事が嘘のようである。

人とはわずらわしい事などは忘れ去ってしまう所があり
実に都合がよく出来ている。

そう思うのは私だけではないようであった。

ホープと散歩をしていると、畑で水をまいている人に会った。
その人は「いい所に来てくれた。こちらへ来て
春菊の花を撮ってくれないか」と言うので、

私は「春菊の花は見た事ありませんね」と言いながら、
あとをついて行くと、高さが1メートルほどに
伸びた春菊の上に黄色や白の花が咲いていた。

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私は「太陽の陽射しが強く、白い花は
白トビしてしまうかも知れない」とカメラの設定をし直した。

露出補正をして白トビを出来るだけ抑えようとするためである。
露出補正をマイナス側にすると全体が暗くなってしまい、
プラス側へ持って来ると明る過ぎ、白トビの確率が増して来る。

自動で撮影すると、全体を露出計測してしまうので、
折角F値1.4のレンズの特性が生かせなくなってしまう。

私はカメラ設定をAVにし、絞り数値はF1.4の設定で撮影するので、
風でピントが少しズレてもきれいには撮れない。

注意をしている事は手持ち撮影なので、前後にずれる事が
ピンボケの最大の原因を作ってしまう。

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いくらレンズに17万円ほど費やしても、
その原理を理解していないと、思いの外期待を
外してしまい、がっかりする事がある。

自分のカメラを熟知せず、撮影して来ても、
写真データを見て、がっかりするだけである。

自分の撮影技量不足により、良い写真が撮れていないと
言う事を忘れてしまい、レンズが悪いのではと、
次から次へとレンズを買い替えている人がいる。

それは私も同類である。
しかし、最近ではズームレンズは殆どと言って良いほど、
使わなくなった。

殆ど単レンズである。
それも大口径レンズと言われるF値2以下のレンズばかりである。

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次から次へと良い撮影を目指してレンズを買いあさる。
これをレンズ沼に落ちてしまうと表現している。

私も7年ほど前は、自分の思うような写真が撮れずに、
それをレンズの所為にしていた。

今思えば、如何にレンズに失礼なことをしていたと思う。
カメラに慣れる事が一番大切なことであり、色々な機能を把握し、
被写体に応じて設定を変えて行くのも大切なことである。

また色々な写真を鑑賞する事も大切で、その気に入った
写真の撮影データを確認することも大事である。

ISO値や絞り優先なのかシャッター速度優先か、
絞り値はどれだけかなど確認して行くと、自分の経験と
知識が相まって、いざという時にすぐ行動できる。

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散歩から帰宅してより、ホープを抱いて風呂場に入れ、
ホープのシャンプーをした。

もう季節は5月に入り、毛の生え換わり時期に入った。
まず私の左手薬指に、キズテープを3重に巻き、
指サックをして準備をした。

シャワーのお湯温度を確認して、
ホープの背中にゆっくりとお湯を掛けて行った。

ホープはシャンプーをしても大人しくしており、
暴れる事は無かった。

人が使うシャンプーは強過ぎるかもと思い、
ボディソープを薄めながら使った。

満遍なく体にお湯を掛けた。
洗面器にお湯を少し入れ、ボディソープを入れてから
掻き混ぜると気持ち良いほどに泡が立った。

その泡を両手ですくいホープの背中に
塗るような感じで置いて行った。

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ホープは黙って大人しくしている。
ホープの顔はあとでタオルで拭けば良いと思い、
無理に洗う事はしなかった。

15分ほどの時間を掛けて背中から腹側、
お尻まで何度も洗った。

両手の指にはホープの毛がへばり付いて来ていた。
それをシャワーで洗い流すと、風呂の排水溝の蓋が
ホープの毛で塞がり、お湯の流れが直ぐに停まった。

蓋に溜まったホープの毛を摘み、浴槽の縁に置いて行くと、
見る見る山盛りになるほどだった。

有る程度シャワーでボディソープを流すと、
また洗面器にお湯を入れ、更にリンスを入れて掻き混ぜた。

そのリンスを何度もホープに掛けて行った。
リンスを洗い流すとサラサラの手触りになり心地良かった。

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バスタオルは廊下に干してあり、
手の届く距離に置いてあるタオルを取り、
ホープの顔から拭き始めた。

ホープは早く解放してほしいと言わんばかりに、
何度も力強く外へ出ようとしていた。

犬のシャンプーは疲れると言う簡単な言葉では表現できない。
ジーパンの太腿から裾までずぶ濡れである。

ホープは何度も体をブルブルと震わせて、体の水分を外へ
振り出すので、その度にジーパンが濡れて行った。

腰もかなり痛くなる。草を引く時の痛み以上に感じるほどである。
タオルは2枚目を使っていた。

タオルを体に当てて、毛に着いた水を絞り取るように拭いて行った。
足もきれいに拭き、やっと風呂の扉を開けると、
ホープは家中の廊下を走り回っていた。

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「カラスの勝手」

「ワンダーフォトライフ」では、
愛犬との散歩の途中で撮影した写真を公開しています。

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↑遅れました春菊の花ですよ。

今朝お隣の奥さんがA4のファスナーの袋に入った
如何にも年季の入ったノートを持ってみえた。

「木曜日に当番が終わって、すぐに持って来ないで
ご免なさい」と手渡されたノートは、
燃えるゴミの当番ノートだった。

燃えるゴミの当番は、月曜日と木曜日の
週2回あり、1ヶ月間8回行う事になっていた。

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本来ならば、私が4月に当番をするようになっていた。

3月26日の手術入院をする前に、お隣さんへ訳を話し、
1ヶ月間先にお願いしていたものだった。

午前中ホープと河川敷へ行き、晴れ渡った日差しの中で、
沢山のグループがバーベキューに興じており、
あちらこちらから賑やかな声が聞こえた来ていた。

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ホープが勝手に走り回らないように、
100円ショップの短いリードを輪にし私の首から提げ、
その先に付けてあるカラビナにホープのリードをつないだ。

私は携帯ラジオを入れるために長男からプレゼントされた
A4バッグを左肩から斜めに提げていた。

時折、カメラのストラップとホープのリードと
バッグバッグのストラップが交錯し、
私の首を絞めつけていた。

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車に乗せ、帰りにスーパーにより87円のオレンジ5個と
380円の豚バラ肉を買ってきた。

豚バラ肉はホープの食事のために買ってきた。
私はその、おこぼれに与ろうと考えながら、
車を車庫に入れていた。

その時に、お隣の奥様が燃えるゴミの当番ノートを
持って立っていたという訳である。

燃えるゴミの当番と言っても特別なことをする訳でもない。

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猫が残飯を食い荒らさないように網ネットを用意し、
他の地区から燃えるゴミ以外の物を置いて行かないかを
チェックし、燃えるゴミ回収車が回収してより、
網ネットを折り畳んで箱の中に入れるだけである。

しかし、網ネットは所々、猫が食い千切って
穴を空けてしまっており、ビニールテープで
その空いた穴を縛るのもゴミ当番の役目でもある。

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自治会の私の所属する組には18所帯あり、
1年半に一度燃えるゴミ当番が回って来る事になる。

当番ノートを見ていると、皆さんは
「きれいでした」しか書いてはいないが、
平成24年6月の私の個所には、びっしり書かれていた。

毎週何かを書かなければ気持ちが収まらないかのように書いている。

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例えば、袋が食い千切られ、煙草の吸殻、
キュウリ、ナスなどが散乱していたなどと。

またこれはカラスが突っついたように思える。
網ネットの破れ38個所を修理したなど。

この頃は軽いうつ病を発症していたからかもと
読みながら分析していた。

妻が3回目の脳出血で、全身麻痺になってから
間もなくの当番だったからかも知れない。

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「性格」

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愛犬との散歩の途中で撮影した写真を公開しています。

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昨夜からの雨は、今朝5時半過ぎには止んでいた。
今月5月の1ヶ月は燃えるゴミの当番になっている。

私の性格なのだろうか、やはり寝付けなかった。
3時間ほど眠っただけで起きてしまった。

ホープも私のいつもと違う行動に落ち着かない様子だ。
カーテンの隙間から雨の様子を確認していると、
するとホープも同じように外を見ている。

7時半にはゴミ置き場へ行っていなければと思った。

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昨日5月3日の午後からのホープとの散歩は、
午後3時と7時と2回行った。

いつもは午後3時から4時ごろ出発するのだが、
5月4日から燃えるゴミ当番になったので、
もし朝早くに起きれなかったらと考えるだけで
眠れなくなると思い、昨夕7時に、
幅1.5メートル長さ3メートルの網ネットを敷きに行った。

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網ネットを敷いている時に、
燃えるゴミ置き場の前の奥さんが出て来た。

「今月の当番はお宅なのですか?」と言いながら来た。
そして「前の晩から出しておくと朝が楽だね」と、
文句を言われるのかと心配していたが、
私の行動を理解してくれる発言にホッとしていた。

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だが、「最近、遠くからここへ捨てに来る人が居るから、
朝から立って監視した方がいいですよ」と
プレッシャーを掛けられた。

そこへ自転車に乗ったご婦人が通りかかり、
自転車のブレーキ特有のギーッと言う音をさせて止まった。

「奥さんの具合はどうですか?」と聞くので
「相変わらずです」だけ話した。

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向かいの奥さんも「でもよく頑張って見えるから、
皆でいつも感心していますよ」と言う。

そして自転車に乗ったご婦人は「今日はカメラを
提げていないの?」と聞くので、

「もう暗いですから、カメラは家に置いてあります」と言うと、
「あなたの事は、犬を連れてカメラを下げた人」って
言うと殆どの人は分かると話した。

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「大変だけど、頑張りなさいよ!」とだけ言い、
手を振りながら去って行った。

向かいの奥さんに「今の人は何処の人です?」と聞くと
「だれか知らずに話していたの?」って
少し驚いた様子だが、

私は「向こうから話すので、私を知っている人だと
思いましたよ」と言うと「ま~」とあきれ顔である。

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「あなたの亡くなったお母さんは保育園の
先生をしていたので、色々な人が知っていますよ」と

言うものだから、「こちらへ帰って来てまだ4年ですよ。
その間の殆ど妻が倒れ、地域の人との交流が無いですから
分からないですよ」と言うと、

「さっきの人も言っていたでしょう、
犬とカメラであなたが分かるほど
知られているっていう事よ」と甲高い笑い声を上げた。

もうゴミの監視に行かなければ、、。

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「市指定」

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5月4日。
5月ゴミ当番の初日は何とか無事終了した。

5月のゴールデンウィークを利用して各家庭の
子供達が帰郷したのか、ゴミの山だった。

朝7時半過ぎからホープとゴミの番をしていた。
だがそれまでに市指定のゴミ袋が置かれていた。

網ネットをめくって見ると相当水滴が付いており、
昨晩から置いてあったものと容易に推測できた。

午前11時50分ごろ市のごみ回収車が来た。

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「ご苦労さん」と声を掛け「今日は遅れていますね」と
言うと、「今日は流石にゴミの量が多いですよ」などと
話しているうちにもゴミ回収車の後ろ側では、
機械が忙しなくゴミを押しつぶしている音が聞こえた。

職員の作業服を着たゴミ回収車の二人は軽く一礼して
慌ただしくアクセルをふかし次の回収ポイントへと
車を走らせ、ディーゼルエンジン特有のエンジン音が、
遠くからでも聞こえていた。

買い出しの冷凍荷物を冷蔵庫へ保管した。
今から妻の療養する病院へ1時間掛けて走る。

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「女手」

「ワンダーフォトライフ」では、
愛犬との散歩の途中で撮影した写真を公開しています。

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今日午前10時から胆のうガンのため余命2カ月を宣告され
亡くなった叔母の49日の法要があった。

やはり昨夜から緊張してか中々寝付けれない。
やっと寝付いたのが夜中2時半頃のこと。

そして、ホープが死にかけているという夢か幻をみて、
慌てて飛び起きた私は、ホープを抱き上げて、
廊下を小走りに玄関の方へ急いだ。

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その途中で、寝とぼけている事に気づきホープを見ると、
ホープも怪訝そうな表情で私を見つめている。

私は緊張のあまり、寝とぼけてしまったようである。
夜中に飛び起きる事は多々ある。

これは妻が倒れてからの介護で、うつ病を
発症したからではなく、小さい頃から起こっていた。

多分、産みの母の自殺と言う悲劇を、
目の当たりに見た事が起因していると感じる。

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「三つ子の魂百まで」などという諺がある。
幼い頃の性格は歳を重ねても変わらないという
意味合いで出来たものであろうが、私の場合、

それは性格と呼ぶ性質のものではなく、恐怖と絶望感が
心の奥底に渦巻いているように思える。

その事で、小さい頃の私は、人を笑わせる事により
幸せな気持ちになったものである。

自分の気持ちを明るく見せる事で
打ち消していたように思う。

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叔母の家までは2キロほどの距離である。
礼服を着て通りを歩くには、余りにも目に付き過ぎる。

ホープも連れて行かなければならない。
車で行けばよいのだが、礼服のズボンのお尻から
上着の背中にホープの毛がつく事を嫌った。

だが、仕方なく、車にホープを乗せ家を出た。
私が、ジーパン姿から礼服に着替えている最中、
ホープは目を見開いて私を見ていた。

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今から何処へ行くのだろうとか、
自分だけ置いて行かれるのではないだろうかなどという
不安な眼で私を見つめている。

ホープの前でネクタイを締める事は少ない。
だから、いつもと違う異様さに敏感に
反応しているのではと思った。

時間が迫って来たので、ホープを抱き上げて、
車の後部座席に乗せた。

私の胸の辺りは思ったよりホープの毛は付いていなかった。

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叔父の家は、車で5分も掛からない所にあるが、
今日は5月5日の子供の日なのか車が混み合い、
15分ほど掛かってしまった。

叔父の家近くの理容店が私の中学時代の友人の店で、
駐車できる所を聞いた。

保育園の職員駐車場が祭日なので停めても
問題ないと停めさせて頂いた。

そこから叔父の家まで歩いて1分足らずである。

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身内だけの法事であり質素であるが充実していた。
叔母が生前の頃は、拭き掃除も行き届き、
応接台の上でも奇麗にしてあった。

叔母が亡くなってから初めて訪問した私は、
私の家と同じく、女手がないとここまで、
埃が積もってしまうのかと思いながら見ていた。

ホープを見ると、皆から撫ぜられ嬉しそうである。
「ワン」と一回も吠えず場所柄を弁えていた。

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「のど越し」

「ワンダーフォトライフ」では、
愛犬との散歩の途中で撮影した写真を公開しています。

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今日は木曜日だったのではと思いながら、
今朝もベッドから飛び起きてしまった。

カレンダーの掛けてある隣の部屋へ行き、
確認したが水曜日だったのでホッとした。

冷蔵庫から有機豆乳とコーヒーを出し、
500ミリペットボトルの口に赤い小さな「じょうご」をあてがい、
まず有機豆乳をペットボトルの底から2センチほど流し込んだ。

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そののち、一度に大きなヤカンで作った3.8リットルの
コーヒーを2リットル入りペットボトルで冷やしてあるコーヒーを
「じょうご」に勢いよく流し込んだ。

ペットボトルの中は、見る見る泡立った。
「じょうご」を水で洗い流し、コップの上に置いたのち、
先ほどのペットボトルの中で泡立った豆乳コーヒーを一気に飲む。

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のど越しもいいが、ゲップが出る時が一番幸せに感じる。
この朝のような出発模様が始まってから既に2年が過ぎていた。

コーヒーをヤカンで沸かすようにしたのは
西部劇の野宿で沸かしたコーヒーをケトルから
カップに注ぎ込んでいるシーンを見てからだった。

今までも何度も西部劇を見ていたが、
単にその野宿のシーンを漠然と見ていただけであった。

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初めは小さなお茶パック3枚にコーヒー粉をを入れ、
ヤカンで沸かしていた。

小さなお茶パックに入れる手間が煩わしく、
次に実行したのがドリップの上に乗せるフィルターである。

フィルターの中にコーヒー粉を入れ、
3方向を折り曲げてより、輪ゴムで粉が飛び出さないよう
にきつく縛りヤカンに入れ沸かした。

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だが3方向を輪ゴムで縛っただけでは、
ヤカンの中で踊るように動くフィルターの隙間から
コーヒー粉が少しずつ飛び出し、その粉が口の中に入ると
何となく不味ささえ感じた。

現在では11センチ四角のダシとりパックの中に
コーヒー粉を入れ、口を塞ぎ、更に3本の輪ゴムで
縛ると中のコーヒー粉は飛び出さなくなった。

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コーヒーの濃さは、ドリップで入れる濃さの半分ほどである。
頻繁に飲むので、健康面で多少の害を及ぼすのではと
アメリカン以上に薄くしてある。

しかし、冷蔵庫で冷やした後は、思ったより美味しく感じられた。
そのようにして3.8リットルのコーヒーは3日ほどで無くなる。

車やバッグにはウーロン茶が入れてあり1日1リットルは飲んだ。

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ウーロン茶も4年ほど前から、ヤカンにウーロン茶、
プーアル茶、玄米茶、麦茶などをお茶パックに入れ、
3リットルほど沸かしてから、1リットルの水を足して
冷ましてから、冷蔵庫で冷やしていた。

最近では2リットルウーロン茶ペットボトルが、
思いの外安くなっているので、それを購入し、
空いたペットボトルは沸かしたコーヒーを入れていた。

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時折、飲み干したペットボトルを車の助手席に置いていたりすると、
ホープが何度も踏みつけ、ペットボトルがつぶれている。

私が車の中へ入り、つぶれたペットボトルを手に
「空のペットボトルが欲しいから買ったのに」とホープを見る。

ホープは、その雰囲気を読んでか、前足で顔を隠して、
吠えるともなく申し訳ないような声を上げている。

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