| 佐藤多佳子(さとうたかこ)作品のページ |
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| 現代童話というんでしょうか どの作品も軽快で優しく懐かしいものばかりです 抽象的な表現なんですが、 色あせた子供の頃の夏休みを セピアから色鮮やかなカラーに表現してくれたような ちょっと独特の作風ではありますが、 波長が合うと何度もよみたくなるような作品ばかりです ミステリーなどに慣れてしまった頭をちょっと休めて ゆったりと読んでください 第10回月刊MOE童話大賞、第45回産経児童出版文化賞、第38回日本児童文学者協会賞、第21回路傍の石文学賞 代表作:サマータイム、イグアナくんのおじゃまな毎日、神様がくれた指 など |
| 出版社: 新潮社、新潮文庫(1997/08) |
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| 評価: ☆☆☆☆ |
| 解説:
主人公は今昔亭三つ葉。落語家です。 性格は頑固でめっぽう気が短い。女の気持ちにゃとんと疎い。つまりチャキチャキの江戸っ子って奴。 そんな彼がひょんな事から、テニススクールの先生をしているどもり持ちの従兄弟に話方の相談をされます。 とはいっても、話し方のプロとはいえ先生の経験も無い彼。 仕方なく落語指南を始めますが、あらぬことに他にも生徒が集まってしまいます。 関西から越して来て仲間に馴染めない小学生、強面で毒舌の元プロ野球選手、元劇団員の女性。 一癖も二癖もある彼らとの落語教室が開かれますが・・・ 落語小説ではないです、ただの小説です。(って書くと失礼か) 小説の売り文句は「読み後いいひとになっている率100%」 その言葉に裏打ちされるように、ほのぼのとして懐かしさを感じさせる内容でした 落語の知識等は全く必要ありません 文中に幾つか専門用語が出てきますが、ちゃんと丁寧に説明がありますし、 内容としては今を生きる人間ドラマです 読み終わった後はスッキリとした清涼感が漂います 誰もがなにかしら持っているコンプレックス それを欠陥と感じてしまうのか、個性と感じるのか・・・ どうにかしたくても、どうにもならない なにより一番辛いのは一番わかっている本人 周りの人達は当たり前のように受け止めてあげられるような ちょっとした気遣いは、その人を少しだけ心を楽にしてあげられるのかなと、 それが「やさしさ」ってやつかなと 困っている人を助けるような、目に見える「やさしさ」とは違います その人の気持ちを判ってあげられる、目には見えない「やさしさ」です |
| 出版社: 新潮文庫(2003/07) |
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| 評価: ☆☆☆☆ |
| 解説:
6年前の夏休み。小学校5年生だった伊山進(僕)、一つ上の姉佳奈(カナ)。 そして二つ上の浅尾広一。 彼の大人びた雰囲気、はにかんだ笑顔、片手だけのサマータイム。 僕とカナ、広一君。三人の出会いは友情よりも特別な出会いだった。 佐藤多佳子さんのデビュー作品 児童文学ってやつです。でも大人の僕が普通に読めました こちらあんまり内容は書かず、詳しくは実際読んでからと思います 子供の頃の特別で大切な思い出を 音と色使って鮮やかに表現しています 懐かしいんですが、荒々しくて切なくて、そして優しく透明な作品です 表題含む4つの連作になります 最後まで読んで自分と波長が合った方は、是非また一番初めの作品を読んで下さい 第10回月刊MOE童話大賞作品 |
| 出版社: 新潮社(2002/10) |
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| 評価: ☆☆☆☆☆ |
| 解説:
木島悟と村田みのり。二人の青春グラフティ。 記憶の中の父親、居場所の無い家庭、絵を書く叔父、サッカー、友達、絵、etc それぞれのキーワードを元に二人の成長を描いています 二人の子供の頃の話をプロローグとして 高校で同級生として繋がる連作です 話は彼等二人の視点を交互に進んでいきます 非常に解説しづらいです 単純に恋愛物では無いと感じるんですが、恋愛物なのかな? どこぞのレビューに、「もっと掘り下げて二人の向き合う姿を・・・」とか書いてあるの見ましたが そういう話だったら、僕の評価は低かったでしょう 「好き」なんだけど「嫌い」、「見たい」んだけど『見たくない」、「話したい」んだけど「話したくない」 「期待」と「喪失」、触れたいんだけど怖くて触れることが出来ない、触れてみたら後悔する 皮肉的なのか?コンプレックスとはまた違う気もするんだけど・・・ 一字一句を読み返すように紐解くと毎回印象が変わります 爽快感とか悲壮感とか虚しさとか後に残る感慨は無いですね でも単純に凄く面白いと感じました 今年読んだ本の中では3本の指に入るかも 教師用指導資料に使われているらしいです 凄いですね教師って、こういう作品理解出来ちゃうんですから その割にはロクな教師に出会ったこと無いけど |
| 出版社: 新潮社、新潮文庫(2000/09) |
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| 評価: ☆☆☆☆☆ |
| 解説:
塀の中から出所したばかりの職人堅気の天才スリ"辻牧夫"と ギャンブルで身を破滅した占い師"昼間薫" ひょんなことから二人は出会い、一つ屋根の下で暮らす事に やがて、スリは事件を追い、占い師は影のある少女に出会う そして、占い師がタロットカードで抜き取ったカードは、スリが追う事件と交錯し、 その瞬間から二人は身を引き裂かれるような嵐に巻き込まれていく… エンターテインメントですね、単純にメチャクチャ面白いです、完璧にハマリました 少々作者を侮ってましたけど、こんな作品書けてしまうんですね 長いですけど、全然だれることなく一気に読めます で、実際の作品なんですが、スリってのが主流にあり、 スリを芸術的に容認している部分がある為、 モラルのキツイ方には抵抗感があるかもしれません 僕はチョット実践してみたくなりました(やらないけどね) ちょっと間抜けで憎めない主人公二人のキャラを含めて 登場人物達に味があってなんとも ラストは人によっては物足りない部分があるかもしれませんが、 僕にとって一番しっくりとくるものでした もしかすっと今年一番の作品かも |

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