運動会の屈辱



ふだんの授業でも拷問に近かったが、運動会はさらにつらかった。なんといっても観客が多すぎる。私が入学した当時、一学級45人で、一学年は十学級あった。全校生徒が何人いたかは覚えていないのだが、かなりの人数だったことは間違いない。学校の運動場に入りきれず、よそのグラウンドで運動会をしたこともあった。

児童だけでも2000有余人、保護者を加えたら何人になるのか見当もつかない。この衆人監視の中、よたよた走るのは、けっこうつらかった。

学校には特殊学級があり、特殊学級の子どもも運動会に出る。体に障害のない子は該当する学年に混じって参加していた。中に一人、左右に大きく体を振りながら歩いている子がいた。多分脳性マヒだったのではないかと思う。

私はその子と一緒に走ることになった。いくら私がのろくても、脳性マヒの子に比べたら早い。私がゴールしてもその子は先生に手を引かれながら、体中の力をふりしぼって前へ進もうとしていた。

周囲から拍手が起こった。その子の努力をたたえる拍手だ。私は拍手をする気にはなれなかったし、拍手を受ける立場でもなかった。会場全体が一体になったようなその拍手を聞きながら、私の中には言いようのない怒りがこみあげてきた。私は普通の子どもたちとは一緒に走れなかった。それが配慮なのかタイム順なのか、生年月日順だったのかわからないが、(私は年度末の生まれで身長が学年で一番低かった)自分がみんなと同じには扱ってもらえないということははっきりわかった。しかも「人と違う・人より劣る」と判断された子どもたちのようなサポートも私には与えられないのだ。

会場の中で、私だけがたったひとりなのだ、とその時感じた。この直感が正しいことを、その後の生活でイヤというほど思い知らされることになるとは、その時は思いもしなかった。

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