いなかの猫の天邪鬼部屋

第17話

OnAir~シーズン2・第17話~


#試写会後、ビヤホール

(ギョンミン、ヨンウン、チェリー、サンウ、円になって座っている。)

サンウ : キム代表は?

(ギョンミン、聞こえないふり。ヨンウン、ギョンミンをそっと見る。)

ヨンウン : 帰られたみたいです。こんな席は落ち着かないんでしょう..

ギョンミン : (独り言で無表情に) 落ち着くか落ち着かないか、どうして他人が分かるんだ?

ヨンウン : (ギョンミンを睨む) 親しい人同士でないこういう席は落ち着かないものでしょ。

ギョンミン : (視線を下ろして行きながら皮肉っぽく) そうか?親しい人もいると思うけど?

ヨンウン : (だんだん腹が立って来て、一緒に皮肉っぽく) 親しい人。誰かしら?監督かしら?

(渦中のサンウとチェリー、二人の様子をうかがう。)

ギョンミン : へぇ~、俺とも親しかったんだ。さっきまですぐそばの席で映画を見たからな。それなら彼は、親しい人が二人もいるのにどうして帰ったんだ?

ヨンウン : (目を剥いて口をつぐんだまま、こいつは...という表情で睨む)...

サンウ : (目を細く開いて、なんだかんだと言う二人を見守る。にっこり笑って) お二人とも、いつまでも私に面倒を掛けるんですね。

ヨンウン : (脹れてサンウの方を振り向いて) 何ですって?チン代表に面倒を掛けた事はないわよ。

サンウ : (情けないというように) 今掛けているじゃないですか、面倒を。食べる事も忘れて、人前でそんなふうにして、恥ずかしくありませんか?

ヨンウン: 人前って?誰が見ていると言うんですか?

サンウ : 今誰と話をしていたんですか?私は幽霊ですか?

ヨンウン : (恥ずかしい。唇をすぼめて下を向く) ...

チェリー : (情けないというように) 私も見苦しくて...。お二人ともちょっと...ふるまいが軽々しいと思います。

ヨンウン : 何ですって?

ギョンミン : (心の中で笑うが、色をなしてヨンウンに) やめろよ。いい事ないぞ。

ヨンウン : (悔しそうに) ちょっと。先に始めたのは誰かさんなのに、私だけ嘆かわしい人扱い?

ギョンミン : (冷やかす)からかっただけなのに、君が突っ掛かって来たんだ。これはますます怪しいな。

ヨンウン : (ギョンミンを睨む) あのね...

ギョンミン : (面白がる) これだからますますからかいたくなるんだよな。やめときゃいいのに...

チェリー : 監督。

ギョンミン : (チェリーを見る) うん?

チェリー : (咎めるように) 監督の方が、もうやめた方がいいですよ。無事に帰りたければ。

(サンウ、面白そうに二人を見て笑う,ギョンミン、ばつが悪そうに口をつぐんで笑いをこらえる。ヨンウン、相変らずつんとして、ギョンミンを横目で見る。)


#ビアホールの中、時間が少し流れて

サンウ : それで?キジュンが来るって?

ヨンウン : まだ確実ではないけど、来るようですよ。一週間位滞在するって..

チェリー : 今日のスンア先輩、ちょっと変じゃなかったですか?整形したのかしら?

ヨンウン : (情けない) あんたは...化粧なのか手術なのか、見分けがつかないの?

チェリー : ...化粧のせいにしろ、痩せたせいにしろ、こういう事は、いずれにしろ結局は全てが明かされるんですよね...

ヨンウン : そうよ。結局は全てが明かされるんだから、無駄な事を言わないの。

ギョンミン : あちらでは東洋的なイメージというのが、まだ固定的なようですね。神秘的と言うのか...

サンウ : 監督もそれを感じましたか。私もです。スンアはあんなイメージより澄んだ雰囲気の方がいいのに..

ヨンウン : まだ自分だけの領域を確保する前だからですよ...。そんな点から考えると、シリーズ物とか楽な姿のドラマとかに出演する方が、自分をちゃんと見せるには效果的だと思うんですけど。聞いた話では、今ドラマの話が一つ出ているって..

チェリー : ドラマ?アメリカのドラマ?プリズンブレイク?ロスト何とか...そういうの?

サンウ : (チェリーを見て) 早まるな。まだ確かな事じゃないんだ。どこででもむやみに騷ぐな。

チェリー : (きまり悪そうに) そんな事しないわよ,...

ヨンウン : (笑う) 期待したんだけど、出番が短くて虚しかった..

ギョンミン : それでも7分位出ていたと思うよ。最初の作品でそれ位出られたら、悪くはない。

ヨンウン : ホントに...ここでは最高のスターだったのに...。オ・スンア、どんな気持ちかしら.....?


#アメリカ LA 道端のカフェー午後

(キジュンとスンア、対座している。)

キジュン : 来週水曜に出発する。ここでは水曜だが、到着したら金曜だ。

スンア : (ムカッとするが、平気なふりをしながら) 私を..待っている人がいるかしら?故国だけど..私を懐かしがる人が...いるかしら...

キジュン : ...いるよ。お前はオ・スンアだから。

スンア : (にっこりと笑って) そのオ・スンアという言葉...自然人のオ・スンアを待っている人は...あそこには誰もいないわ...

キジュン : (じいんと熱くなる。暖かく笑って) 誰もいないと思うか?

スンア : (冷笑して) いると思う?韓国そのものも別に懐かしくないわ。

キジュン : 他の人がどうだかは知らないが、チェリーは確実にお前に会いたがっているはずだ。

スンア : 分かってるわよ。私が一番好きな子はあの子よ。知らなかったの?

キジュン : それは....知ってるけど...(笑う)


# 翌週火曜日、安眠島撮影現場

オソク : 監督、宿泊場所の割当てに問題がちょっとあるんです。

ギョンミン : どんな問題だ?

オソク : ペンションを一棟借りたんですが。ちょっと足りないんです。俳優の事を考えると遠い場所を借りる事も出来ませんから。

ギョンミン : ペンションをもっと借りる事は出来ないのか?

オソク : 少しの間は大丈夫ですが、週末は空けておかないとなりません。

ギョンミン : じゃあ、それでもいいから一応確保しておいて、ダメならテントでも準備しろ。

オソク : はい。

ギョンミン : (色をなして) クォン・オソク。

オソク : はい、監督。

ギョンミン : お前、こんな事までいちいち俺に聞いてどうするんだ?自分でどうにか出来ないのか?

オソク : (頭を下げて) 申し訳ありません。

ギョンミン : 結婚すれば大人になるというのは的外れな話なんだな...

オソク : (頭掻く)...タジョンさんは僕を子供だと言うんですよ...

ギョンミン : (にっこりと笑って) 家では赤ちゃんになってもパパになっても構わないが、ここではお前は助監督だぞ。

オソク : はい....

(ギョンミン、立ち上がって電話を取り出して電話する。奥まった所に移る。)

ヨンウン : はい。

ギョンミン : 食事したか?

(画面分割)

ヨンウン : (気乗りしないように) してない。

ギョンミン : (なぬ?) どうして食べないんだ?

ヨンウン : 何となく。

ギョンミン : (癪に障る) ...

ヨンウン : 食事したかしないか、見張ろうとして電話したの?

ギョンミン : (ため息) どうしてそうやって茶化すんだ?怒らせてばかりだと、撮影が進まなくて帰れないぞ。

ヨンウン : 知らないわ。私のドラマじゃないもの。

ギョンミン : (堪えよう..) ...君と言う人は...。大人のふるまいをしろ。...いつまでふてくされてるんだ?

ヨンウン : 私、大人じゃないもの。ヘギョンオンニが私を子供だって。

ギョンミン : (そうだった!...やれやれ..) 分かったよ。俺が悪かったから。食事はしろ。

ヨンウン : (声を出さずに笑う) 私が食事をしないでいたら...今日にでも帰って来る?

ギョンミン : ここがどこだか分かってるのか?帰って来るかって?明日の朝にはまたここに来なけりゃならないのに、俺を寝かせないつもりか?

ヨンウン : (脹れて) ...必ず帰って来てと言った?ただ聞いてみただけじゃないの...

ギョンミン : (深刻に) 心配させないでくれ。仕事が出来ない。

ヨンウン : (嬉しそうに) ホント?心配で仕事にならない?

ギョンミン : それがそんなに嬉しいか?一体何歳だ?俺を心配させて嬉しいのか?

ヨンウン : ええと、私、何歳だったっけ? まだ子供なんだけど..

ギョンミン : まったくもう。結婚しても内助は最初から期待しないようにしないと。チュニより君の方が子供みたいだよ。

ヨンウン : うん、チュニが大人だから大丈夫。家には子供が一人はいなくちゃ。そう思わない?

ギョンミン : 口ではどうやっても敵わないな、ソ・ヨンウンには。

ヨンウン : ヘヘ。

ギョンミン : 食事を作って食べて、ちゃんと寝て。分かった?今週は週末にでも帰れそうだから。

ヨンウン : (名残惜しい) うん...。(目細く開いて) ところで... ユン作家も現場に一緒にいるの?

ギョンミン : ひとまず午後に来るよ。やっぱり現場に一緒にいると仕事がし易いから..

ヨンウン : (悩み苦しんで) どうしてドラマ作家は皆女性なの?せめてもうちょっと若くない作家と組めば良かったのに。

ギョンミン : 俺は、どうして企画社の社長たちが男性なのかが分からないよ。しかも、どうしてソ・ヨンウンに関心を持つのかも..

ヨンウン : どうしてそこまで話が飛ぶの?状況が違うわよ。あなたは作家と一緒に暮らす事もあるじゃないの。

ギョンミン : 何日も会えなくて不安だからって、ほじくり返すなよ。本当に、全て終わる前に一度帰るから。

ヨンウン : (舌を出して)そうだと私は嬉しいわ...

ギョンミン : もう戻るよ。仕事しないと。

ヨンウン : うん...電話くれるでしょ?

ギョンミン : (暖かい) うん...遠いな...

ヨンウン : 私が行ったら...邪魔かしら?

ギョンミン : (にっこりと笑って) そっちのドラマは作家がいなくもいいのか?ここに来るか?

ヨンウン : (やや苦い笑い) 私、やっぱりプロじゃないんだわ。自分たちのドラマより自分の事の方が気になるんだもの。

ギョンミン : 8年次作家の言う事じゃないだろ?秘密にするから、どこででもそういう事は言うなよ。

ヨンウン : (笑う) 恥ずかしいわ、本当に。

ギョンミン : 本気みたいだな。

ヨンウン : (可愛く) うん。

ギョンミン : (幸せな笑い) 仕事するよ。また電話する。

ヨンウン : はい。お疲れ様~。

ギョンミン : ああ...

(電話切って後ろを向く。後ろにセアが立っている。妙な表情。)

ギョンミン : ん?いついらしたんですか?

セア : 少し前です。ずっと立っていたんですが、電話のために分からなかったのでは?

ギョンミン : (尻こそばゆいほほ笑み) そうですね...食事は?

セア : まだです。

ギョンミン : 行きましょう。準備されているはずです。

セア : はい。

(二人、スタッフたちの方へ歩いて行く。)






(原作出処: sonkhj1116さんのブログ


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