いなかの猫の天邪鬼部屋

第30話

OnAir~シーズン2・第30話~


#数日後、夕方、カムジャタン店

(ギョンミン立ち寄る。)

ヒャンジャ : (振り返る) おや、いらっしゃい、うちの壻!

ギョンミン : (笑う) お元気でしたか?お母さん。久し振りです。

ヒャンジャ : いや..。か弱い女の面倒を見ているから、イ監督は苦労が多いでしょう?

ギョンミン : (笑いを堪え、ヒャンジャを見て) お忙しいでしょうから仕事をされてください。ちょっとだけいますから、ちょっとだけ俺に構ってください。

ヒャンジャ : (ギョンミンを見る)うん?どういう...?...(戸惑うが) 分かった~。座って。まずは食事をしなとね。

ギョンミン : はい。(忙しく動くヒャンジャを見ながら微笑む)


#ヨンウンのアパート

オキシム : (居間に立って) チュニ~。ママに会いに行くならもう行かないと。早く。急いで。

(部屋からチュニの声が聞こえる。"うん、分かった")

チュニ : (出る) どう?(オキシムの前に立って服を整える)

オキシム : (チュニを見ながら微笑む) とっても素敵。ママが惚れるわ。

チュニ : (にっこりと笑う) それはないよ。ママはもうギョンミンおじさんの虜なんだから。

オキシム : (ハッ!!) 何を...


#入院室

(チュニとオキシム、ベッドのそばに立っている。ヨンウン、ベッドに腰掛けている。)

オキシム : チュニがとても頑張ったのよ。どれほどしっかりした子なのか...(じいんと熱くなる)

ヨンウン : (オキシムを見る。チュニを見る。じいんと熱くなる。) ごめんね...忙しくて面倒を見てあげる事も出来ないし、具合が悪くまでなって...

チュニ : 具合が悪いのはママが悪いからじゃないでしょ。忙しいのも....

ヨンウン : (チュニを見る)....チュニ。

チュニ : 何?

ヨンウン : チュニは本当に ..大きくなった...もうママがお風呂に入れる事も、させてはくれないわね...。

チュニ : (にっこりと笑う) ママ。僕はもう子供じゃ...

ヨンウン : (すっかり大きくなったチュニがこの上なく名残惜しい。チュニを見て、オキシムに) 申し訳ありません、お母さん...

オキシム : (暖かく) 何が。休むついでに少し太りなさい。

ヨンウン : (薄いほほ笑み)....


#翌日昼、入院室前廊下

(ソンミン、病室の前に立っている。入って行こうかどうかためらう。)

(決心したように手を上げ、はっとする。人の気配に顔を上げる。ギョンミンが廊下に立って見ている。顔を見合わせる二人。)


#病院の庭

(ベンチに座っているギョンミンとソンミン。楽な表情のギョンミン。一方苛立たしく見えるソンミン。)

ソンミン : こんなふうに来るのは失礼だとは思うのですが...

ギョンミン : ...ええ.... 気まずくはあります。...彼女も、俺も...

ソンミン : (ギョンミンを見る).... この前、私が来たことを話したようですね...

ギョンミン : はい....

ソンミン : (息をついて) ...どう言えばいいのか...

ギョンミン : (ソンミンを見る).....

ソンミン : イ監督に確認したい事があるんです....

ギョンミン : (目で問う)...?

ソンミン : ....(ためらう。にっこりと笑う)..違いますね。どう考えてもそうじゃない...

ギョンミン : ....?

ソンミン : 本当に...人はこういう事に対しては判断力が鈍るようですね。特に意味もない噂に振り回された事を思えば...

ギョンミン : (考える)....

ソンミン : ただ私は.... ソ・ヨンウンさんとの縁が ...私なりに意味があったんですよ。ソ・ヨンウンさんが覚えていなくても....守ってあげたいと思わされた最初の女性だったんです...(にっこりと笑って) もう機会はなくなってしまったけれど....

ギョンミン : ....

ソンミン : ソ・ヨンウンさんが幸せだったらいいんです。それが全てです...

ギョンミン : (遠くの地面を見る)...

ソンミン : ....

ギョンミン : 彼女は...俺の命です。多分彼女がいなければ俺は不幸になるだろう...。生きていて、どんな事もこれほど切実に願ったことがないんです...

ソンミン :......

ギョンミン : (息をついて) ...プライド一つで堪えて来た日々だったんです。誰の言葉も、非難も、プライドで耐えて来ました。これからは (地面を見る) .....そのプライドも、彼女のために譲歩するつもりです...

ソンミン : .....(ため息)...そうですね...もう私に希望はないのですね....

(ギョンミン、遠くに見える塔に視線を置く。)


#ヨンウン退院の日、入院室

(ヨンウンとオキシム、荷物を整える。)

オキシム : (悩ましげに) 今日みたいな日にギョンミンは撮影があるんだから...

ヨンウン : (笑う) お母さん、彼はそういう人です。御存知じゃないですか。

オキシム : 分かってるけど、それでも ....

ヨンウン : (ありがたい) 私は大丈夫です。入院している間、まともに寝る事もせず一緒にいてくれたのだから.......


#撮影場

(ギョンミン、撮影の合間合間に時間を確認する。気持ちを集中させる。)


#午後遅く、ヨンウンのアパート

ヨンウン : (電話中) 来れる?

ギョンミン : 今終わった。行くよ。

ヨンウン : うん。


#ヨンウンのアパート、夕方

(食卓を囲んで座った四人。ギョンミン、ヨンウン、チュニ、オキシム。チュニ、下を向いて食事する。ギョンミン、ヨンウンをチラチラと見る。チュニをよく見ているオキシム、チュニにおかずをよそってやる。ヨンウン、そんなオキシムとチュニの間でなんとなく寂しい気持ち。)


#ヨンウンのアパートの居間

(ヨンウン、チュニの部屋でミッキーマウスを歌ってやる。外で聞くギョンミン、笑いを堪える。)

オキシム : いたの?私はもう帰ろうと思うんだけど。

ギョンミン : (オキシムの様子をうかがう) そう..する?俺も、それじゃ...

オキシム : あんたはもうちょっといなさい。まだ体も良くなっていない人を一人にせずに。退院する時も来なかったんだから。

ギョンミン : (しょげて見せ、内心笑って) はい...そうでした..

オキシム : 彼女が出て来たら、私はもう帰ったと言いなさい。...あ、出なくていいから。(玄関に向かう)

ギョンミン : (立ち上がって)はい..気を付けて帰ってね、ママ。

オキシム : (情けない) いつまでママなのか...。もうすぐパパになる男が...

ギョンミン : (きまり悪そうに笑う) そうだけど...

オキシム : 行くよ。(ドアを開けて出る)

ギョンミン : はい...

(ギョンミン、ソファ-に座ってヨンウンを待つ。ヨンウン、チュニの部屋のドアを閉めて出る。)

ヨンウン : お母さんは?

ギョンミン : 帰ったよ。たった今。

ヨンウン : そう?何も言わずに...

ギョンミン : 代わりに言ってくれと...(照れくさそうに)..チュニは...?

ヨンウン : 眠ったようよ...(やはり照れくさそうに)...何をするつもり?

ギョンミン : うん...そうだな...君はまだ体の具合も良くないから早く寝ろよ。

ヨンウン : (目をくるりと回して)うん...そうね...寝ましょう。...ところであなたは?

ギョンミン : (きょとんとして) 俺?....俺も寝たら...ダメかな?

ヨンウン : そう..それじゃ....(部屋のドアを開けて入って行く。ドアの後ろから首を突き出してギョンミンを見る)....(入って来ないの?と口の形だけで言う)..

ギョンミン : (チュニの部屋の方を見る)....(ヨンウンに目で笑う...行く-口の形だけで言う)...

(ギョンミン、そっとヨンウンの部屋に入って行く。部屋のドアを閉める。)


#ヨンウンの部屋

(何も言わず見つめ合う二人.. ギョンミン、ヨンウンを見て腰を抱く。)

ギョンミン : (ささやく) 会いたかった...

ヨンウン : (ささやく) 私も...

(ギョンミン幸せな目。ヨンウンときめく目。そっと口付け、離して、ギョンミンがヨンウンを抱き上げる。)

ヨンウン : (驚いて小さな声で) 落ちるっ...

ギョンミン : (顔いっぱいの笑顔、小さな声で) 大丈夫...(ベッドにヨンウンを寝かす)

(ヨンウンの隣に横になるギョンミン、ヨンウンの目、鼻、口に口付け。壊れないようにと慎重な手.... ヨンウン、ギョンミンの顔を包んで引き寄せる。)

ヨンウン : (ささやく) あ・い・し・て・る。

ギョンミン : (ヨンウンの目を見ながらささやく) あ・い・し・て・る....

(キス.....)


#12月下旬、ヨンウンのアパート

ヨンウン : (電話中) うん...私も行かないととは思うんだけど...(笑う) 何をされるのかしら?

ギョンミン : ...何をされる??

ヨンウン : 分からない?...そういう事があるのよ。偉そうにしていると思われても困るから、行って来ようとは思うけど...

ギョンミン : 一緒に行くか?

ヨンウン : うん....そうしてもらえればありがたいわ。

ギョンミン : 何を着れば..?

ヨンウン : (笑う) 正装しなくちゃ。

ギョンミン : 窮屈だよ。

ヨンウン : 分かって。浮くよりはいいでしょ?

ギョンミン : (ため息) 分かったよ...とにかく迎えに行くから。6時半?

ヨンウン : うん...その位に。

ギョンミン : じゃあな。

ヨンウン : は~い。(電話を切って幸せなほほ笑み)


#放送作家協会年末行事場所

(にぎやかな会場。スーツを着たギョンミン、ヨンウンをエスコートしている。ヨンウンはやせた顔、きらめく目...)

(" ソ・ヨンウン作家" 振り返るとサンウが立っている。)

ヨンウン : まあ、チン代表。どうされたんですか?

サンウ : 誰かが招待してくれて来たんですが....私もどうして来たのか分かりません。...まったく(笑う)

ギョンミン : (笑う) お一人ですか?

サンウ : MBS所属作家と一緒に来たんですが...彼女の用が済んだので、こんなふうに独りぼっちでいるというわけです。

ヨンウン : それじゃ私たちと一緒にいましょうよ。

サンウ : (ヨンウンを見て笑う) 大丈夫ですか?私は .....知りませんよ。あなたが被害を受けても私は....(笑う)

ヨンウン : (にらみながら笑う) 何ですか?言いたいことは何ですか?

サンウ : 今日は少し楽にしましょう。

ギョンミン : (笑う) チン代表が楽にしてくれないと。

サンウ : (ギョンミンを見て) まったくもう.... こんなふうに互いに脅迫までしようとするのだから...。可笑しくなって来ましたよ。

ギョンミン : 我々は悪縁に押し堅められた関係だから。(サンウを見ながら笑う)

(サンウ、声を出さずににっこり笑う。ヨンウン、そんなサンウを楽に思う。)

(式が進行されて慌ただしい場内。遠く人々の間にセアが見える。サンウ、しばらく見る.....)





(原作出処: sonkhj1116さんのブログ


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