いなかの猫の天邪鬼部屋

第1話

OnAir~シーズン3・第1話~


シーズン3のスタート点はシーズン2の真っ盛りの時です。まだ3月初です...


#If...最終回放送、サンウ事務室

(TVで If...を見ているサンウ)

"もしも..もしも..もしもを数万回叫んでも.......これは私の祈りだから..."

(エンディングクレジットが上がる場面を見るサンウ目元に涙を浮かべる......)

(立ち上がって机の方に行く。引き出しを開けてビデオテープを出して見る。テープを持った手を下ろし、うつろな目...)

サンウ : (頭を下げる。涙が流れる) 君には..数万回のもしもを叫んでも、どうしようもないんだな...このバカ...(口を閉じたまますすり泣く)


#If...終映パーティー現場、カルビ屋

(回される酒杯、ざわめく室内。一つのテーブルに座ったコーディネーター、ボンシク、オソク、ギョンミン。)

コーディネーター : 昨日の放送を見た私の友達が、最後の台詞でジーンとしたと言っていましたよ。何でか分からないけど、希望なのか絶望なのか分からない妙な感じがしたと。

ボンシク : 何?希望なのか絶望なのか?どういう事なんだ?

コーディネーター : (笑う) 私もどういう事は分かりませんが...。だけど的を得た言葉だと思いませんか?

オソク : 僕にもその台詞は本当に難しいけれど...監督は?

ギョンミン : それは...台詞を書いた作家に聞いてみれば正解は出るけど...ソ・ヨンウンの分析では...たぶん成す事が出来なかった願い、切実な願いという意味じゃないか...そう言っていた。

ボンシク : それなら...成す事が出来なかったのだから...絶望だろうな...

コーディネーター : しかし...祈りだとも言ってるじゃないですか。それだと少し希望的なのではないですか?

ボンシク : 祈りで全てが成り立つのか?人生はそう甘くないぞ。まだまだ青いな。

コーディネーター : (口を突き出す) .....

オソク : (ギョンミンを見て) ところで作家は来ないんですか?

ギョンミン : そうだな...何も言ってなかったけど...

コーディネーター : あ..?(入って来るセアを発見) あそこに。

オソク : (振り返る) ユン作家!ここです。(自分の席を譲ろうとするは、思い直してコーディネーターに) そこ、ちょっと空けてあげて。

コーディネーター : (きょとんとして見る) はい?....はい。(席を移る)

セア : (一座に目礼する) 申し訳ありません。駐車するのに戸惑ってしまったので...

ギョンミン : いらっしゃい。お待ちしていました。

セア : (控え目なほほ笑み) 申し訳ありません。(席に座る)..

(時間流れて..)

ギョンミン : (立っている) 今回も気難しい監督によく耐えて下さった皆さんに感謝致します。毎回苦労させてすみません。また..個人的な事情で何度も撮影が延びた事も...。それでも信じて付いて来て下さった皆さん...I Love You~ です。(一座笑う) 新年が始まって、もう3月ですね。2010年は皆さんの If...が全て成り立つように祈ります。

(ギョンミン、お辞儀をして座る。一座拍手。オソク、立ち上がる。)

オソク : 次は、私たちのドラマの作家であるユン・セア作家のお話を聞いてみましょう。

(一座拍手)

セア : (ためらって立ち上がる) ...ちょっと緊張しています...。最後までやりこなしたというのが信じられません。次はもっと上手くやらないとと思っているだけです。一生懸命に作って下さった監督、そして皆さん、ありがとうございます。(目礼して座る)

オソク : さあ...それでは..今度は私も...

(セアのテーブルにフォーカス)

コーディネーター : (おずおずと)あの..作家様..

セア : (見る) え?

コーディネーター : 知りたい事があるんです..

セア : ???

コーディネーター : 最後の台詞です。あれはどういう意味ですか?私たちの中では、絶望だ、希望だ、と意見がまちまちだったんです。

セア : (微かなほほ笑み).....絶望も希望でもありません。...ただ...夢です。...そして夢しか見られない人々の最善です。

コーディネーター : 夢....?そして.. 何ですって?最善?

セア : (微笑む) これはたぶん、自分が経験してみないと理解しにくい話だと思います。説明してどれだけ分かってもらえるか...

コーディネーター : (俯く) だけど...主人公の立場になれば少しは分かるんじゃないですか?

セア : そうですね...(視線を下げて) 主人公の立場になれば...いずれにしろ主人公の台詞だから...

コーディネーション : (セアの服を見て) ところで..その服もニューヨークで買ったんですか?

セア : (視線を上げて) はい...? ...あ、どうだったかしら?どこで買ったのか...イタリアに行った時だったかしら..?

コーディネーター : (口の端をそっと上げて) ...そうですか....

ギョンミン : (二人の対話を聞いている)....


#翌日、コーヒーショップ

(セアとカン局長、対座している。)

カン局長 : 御苦労さん...心配したが...最終回の視聴率は16%だったから悪くないな。

セア : 心配かけて申し訳ありません。

カン局長 : (セアを見る)...... もう大丈夫なのか..?

セア : (カン局長を見てにっこりと笑う) ...大丈夫です。ご心配なく。今になってどうしますか?(窓の外を見る) 勉強した事にします。お金を払っても出来ない勉強じゃありませんか。

カン局長 : ......そうだな。本当に賢い人間はどんな痛みによってでも成長するものだから...。お前がまるきりの子供でなくて本当に良かった...。(にっこりと笑う) まかり間違えばお前が母親になるところを見られないところだった。私が...

セア : (声を出さずに笑う)....

カン局長 : 一人でここにいて大丈夫か?何なら家にいてもいいし...

セア : 何をおっしゃるんですか?私を何歳だと?...アメリカでは19歳になれば無条件に独立です。ここの親たちはどうしてそんなに不安がるのか分かりません。大きくなった大人を...

カン局長 : 大きくなった大人だと?親の目には還暦を迎えた息子にも心配はあるものだ。そして...お前は大きくなってその大騷ぎだろう?

セア : (口を尖らせて) 叔父様...それが大きくなった事と何の関係があるんですか?それで私が何か間違いでもしましたか?

カン局長 : 表面に出ることだけが間違いか?仕事と感情の区別も出来ずに何が大人だ。.... 人をはらはらさせて...まったく。

セア : (恥ずかしい、悔しい、複雑な)....


#二日後夕方、ヨンウンの病室

(ヨンウン、ベッドに座ってノートPCを叩く。ギョンミン、ソファ-に横になっている。)

ヨンウン : (首を上げてギョンミンを見る)....(またノートPC作業)

(看護婦入って来る。)

看護婦 : ソ・ヨンウンさん。そんなふうに長く座っていらっしゃってはいけないんですが。

ヨンウン : (ノートPC閉めて) そんなにやってないけど...

看護婦 : 私が来る度に働いていらっしゃいました。偶然ですって?

ヨンウン : (舌を出す) ..大目に見てください。遅れるわけにいかないものですから。

看護婦 : ところで...結末はどうなるんですか?シン・ウミンはキム・ウニョンと結ばれるんですか?

ヨンウン : (にっこりと笑う) 全てを知ってしまったら、何が楽しくてドラマを見るんですか?ただ見てください。

看護婦 : (点滴を調節する) ただちょっと教えて下さるだけでも...。私たち、ちょっと賭けをしているんですよ。だから...一体カン・キボムが好きな女性は誰なんです?あー、全然判断出来ないわ。

ヨンウン : 私がそれを全部言ってしまったら、放送を見ます?視聴率が落ちるような話を私がどうしてします?

看護婦 : ツレないですね (笑う)。それもそうか。ところで20話で終りというのは本当ですか?延長するという記事もありましたが...

ヨンウン : 私がこんな状態で延長が出来ますか?その記事はガセですね。

看護婦 : (見て) 仕方ないことは分かりますけど...一日に 7時間以上作業するのはまだ無理です。(ギョンミンの方を振り向いて) 監督と顔を合わせる私たちもきまり悪いんです。

ヨンウン : (すまなそうな微笑み) ごめんなさい...(ギョンミンを横目で見て) 困る事でも?

看護婦 : (にっこりと笑う) ソ・ヨンウンさんの血圧が下がったと聞いたたけでも気を使って...(見て) とにかく羨ましいです。御存知ですか?

ヨンウン : 何がですか?

看護婦 : 監督の人気は最高です。あんなに献身的な御主人が世の中にいたとは...(目をしかめて見せて)私たち病院看護婦たちの理想を高くしてしまって。

ヨンウン : 何だか... 褒め言葉みたいで気持ちはいいけど...何も出ませんよ。

看護婦 : (笑う) 監督みたいな男性を看護してみたいですよ。もう行きますね。お喋りをし過ぎたわ...(出て) ソ・ヨンウンさんも、もうお休みください。

ヨンウン :(閉まるドアを見てノートPCをつける)

" まだやるのか?"

ヨンウン : (ドキッ!ギョンミンを見て) あ...起きてたの?寝るてと思ったのに..

ギョンミン : (体を起してあくびする)起こされたんだよ。

ヨンウン : え?いつ...?

ギョンミン : 喋ってるから起こされたんだ。

ヨンウン : (にっこりと笑う) うるさかった?

ギョンミン : うるさいどころじゃないさ...(見て) 今しないとならないのか?

ヨンウン : (すまない) うん.... あと2話残ってるから...

ギョンミン : (淡々と見る) .... いつまでに終わらせないとならないんだ?

ヨンウン : 細切れ台本にならないようにするには一週間の内に.... 実はもう細切れ台本が何回か出てるんだけど...

ギョンミン : (ため息) 俺が代わりに書いてやれたらいいんだけど...

ヨンウン : (笑う) 言葉だけでもありがたいわ。

ギョンミン : 1時間だけにしろ、それなら。細切れ台本を出しても...君の方が大事だ。

ヨンウン : (諦める) 分かったわ...

(1時間後)

ギョンミン : (時計を見て) 時間だ。そこまでにしろ。

ヨンウン : (眉間をしかめる) うん...今順調に書けてるところなんだけど...

ギョングミン : (目をキッと開いて見る).....

ヨンウン : (ひるむ) 分かったわよ....(口を突き出してノートPCを閉める).....

ギョンミン : (立ち上がってノートPCを片付ける) もう12時だ。新しい国の子供は早く寝て早く起きます。

ヨンウン : (呆れて)え?え?新しい国の子供って何?

ギョンミン : (シーツを見て) 別に..。青少年の皆さんは今夜遅かったのです。十分な睡眠は皆さんの成長と情緒に必ず必要です。

ヨンウン : あのね...

ギョンミン : (ヨンウンに顔を近付ける) 物心がつくのを拒否するソ・ヨンウンちゃん。もうそろそろ寝ましょうね。

ヨンウン : また私を冷やかすの?私、精神修養したから、もう癇癪を起したり腹を立てたりもしないんだから。

ギョンミン : (ヨンウンを見ながら笑う) 今、腹を立ててるように見えるけど。

ヨンウン : (そっとふてくされて口をつぐんで別の所を見る) ....

ギョンミン : (ヨンウンを眺めて首を回して) エイッ!....

ヨンウン : (怪しげな) どうしたの?

ギョンミン : (脹れて) 君を見ていると抱きたくなるから...外で寝る。(ソファ-に横になって布団を被る)

(ヨンウン、ギョンミンの姿に笑う...)







(原作出処: sonkhj1116さんのブログ


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