いなかの猫の天邪鬼部屋

第2話

OnAir~シーズン3・第2話~


#翌日、セアのアパート

(パソコンでホームページを整理するセア。撮影場のギョンミン、安眠島でのギョンミンの姿が写った写真を眺める。)

(ヨンウンの言葉を思い浮かべる。)

"今私が言ってあげられる言葉は ....ただ現実の中で最善を尽くしなさいという言葉です。愛にも仕事にも最善を尽くしてください。...他のもしもが懐かしくないように...."

"削除ボタンにカーソルを合わせる。ためらう。ホームページ閉める....)


#放送局PD室

ノPD : (ギョンミンを見て) ソ作家はいつ退院するんだ?そんなに入院していないとならないのか?

ギョンミン : 働いている間は何か用事が出来るかもしれないから病院に居させるつもりです。昼間は俺がいないから..

ノPD : (ため息) じゃあ退院すれば仕事が早くなるわけじゃないんだな。...お前..こっちのBチームを引き受けろよ。

ギョンミン : ジョンギュがするんじゃないんですか?

ノPD : ああ..今まではそうだったんだけど...お父さんの病気が悪いとかで休みを取ったんだ。(苦笑) 亡くなったわけでもないのに、仕事を休むとは...。まったく、最近の若い奴は理解出来ないよ。

ギョンミン : ...(苦笑) 何歳の差があるんだよ...


#夕方、病院

ヨンウン : (振り向いて) それで?あなたがするの?

ギョンミン : (ソファ-に座っている) ああ。全く関係ないと言える状況でもないし...

ヨンウン : (可笑しそう)......

ギョンミン : 何だよ。

ヨンウン : (にっこりと笑う) あなたがするから緊張するのね。シナリオのチェックを受ける時みたい...

ギョンミン : ただ、言葉どおり、Bチームだよ。分かるだろ?どういう意味か。

ヨンウン : 共同演出と言いながら...

ギョンミン : 土壇場で投入される共同演出に何の力がある?.....(黙ってヨンウンを見てから) たぶん明日から遅くなると思う...

ヨンウン : (見る)...... そうよね...(にっこりと笑う) 自分の仕事が出来るからいいわ。

ギョンミン : 2週間かな...。病院によく話しておくから無理せずに...

ヨンウン : うん...(ギョンミンを見る).... こっちに来て。

ギョンミン : (しばらく眺めてヨンウンの横に行く) ....

ヨンウン : (ベッドを叩く) ここ...

ギョンミン : (笑う目。ベッドに腰かける) 寝ろ..

ヨンウン : (ギョンミンの顔をしげしげ見る) ...変だわ...? あなたがいない時はあなたの顔しか見えないのに...そばにいる時は...どれだけ見ていても忘れちゃいそうで...

ギョンミン : (にっこりと笑う)...中毒だね...

ヨンウン : (笑う) うん..中毒...

ギョンミン : ........ (ヨンウンをしばらく見て口付けて離す) 俺も中毒...

ヨンウン : (すぐに終わるのが名残惜しい) ....


#翌週月曜日、サンウの事務室

サンウ : (電話中) はい。まだ撮影が完全に終わっていないので、スケジュールがどうなるか分かりません。とにかくドラマが終わらない事には.....はい.....とにかく会って話しましょう。はい....はい.... それでは後ほどお会いしましょう。はい。それでは。(切る)

ソンオ : (入って来る) お呼びですか?

サンウ : ああ。新人を探してくれと言ってたろ?どうなった?

ソンオ : うまくないですね。何日か探してみましたが.... どれも同じにように見えて。皆個性がないんですよ..

サンウ : (情けない) どこに行ったんだ?

ソンオ : ..昼間は清淡洞、鴨鴎亭などです。夜は...

サンウ : クラブか?..... 歌手でも探すのか?お前は仕事に行っているのか?それとも遊びに行っているのか?

ソンオ : でも、ああいう場所に行く方が、道端で捜すよりはいいですよ。

サンウ : (ため息) ....この前のモデル大会の候補者名簿を見てみろ。

ソンオ : はい....(目礼して出る)

(サンウ、しばらく座っているが、時間を確認して出る。)


#セアのアパート

セア : (電話) うん...どこで?

女 : ランチングショーだか何だかだって。アクセサリーが主らしくて。そこのデザイナーがあなたを招待出来ないかって。

セア : 私を?どうして?

女 : (にっこりと) あなたのスタイルが噂になったんじゃないかしら。ちょっと顔を出してみない?

セア : .... イヤよ。よく知らない人達の中に入るのは。

女 : 知っている人とだけ会おうとしたら、一年のうち10ケ月は家に閉じ籠っていなくちゃならないわ。そうやって人と会わないでいて、どうやって話を作ると言うの?

セア :(ふとギョンミンの言葉を思い浮かべる)

"言葉には考えが盛られるんです。考えは経験が育てるんです。人を理解したければ人を経験してください。"

女 : どうする?行けないって言っておく?

セア : ..いえ、行くわ。今は暇だし。

女 : そう?賢明な判断だわ。気分転換も兼ねて一緒に行きましょう。

セア : ええ....


#ヨンウンの病室

(ベッドに枕を差して座ってノートPCを叩く。窓の外を見てため息をつく。時計を見て、また作業する。)


#ブロードキャスティング撮影現場

(ギョンミン、撮影に熱中している。 忙しい現場。)


#ヨンウンの病室

昼食を置いたテーブルの前のヨンウン。ぼんやりした目で見る。携帯電話を持つ。)

"とても忙しい....昼食は?"


#撮影現場

(ちょうど午前中の撮影が終わったところ。ギョンミン、メールを確認。微笑む。)

ギョンミン : (電話する) うん...今午前中の仕事が終わったんだ。昼食は?

ヨンウン : 今食べるところ。....あなたは?

ギョンミン : こっちも今。.......一人で食べたくないんだろ?

ヨンウン : (にっこりと) ...うん.... 遠いの?

ギョンミン : (ため息) うん...車で40分掛かる場所だよ。

ヨンウン : そう。...仕方ないわよ。心配しないで。一人でもちゃんと食べるから。

ギョンミン : ......何が食べたい?夕飯に買って持って行くよ。

ヨンウン : (明るくなる) うーん....じゃあトッポッキ。

ギョンミン : え?トッポッキ?

ヨンウン : (にっこりと) うん。屋台で売ってるやつ。かまぼこに、タレに...

ギョンミン : (笑う) 君はそんなものが好きだったっけ?

ヨンウン : 私たちの赤ちゃんが庶民的らしいわ。パパに似たら、そのうちマッコリが飲みたくなったりするのかしら?

ギョンミン : (微笑滲む)良かった。ママだけに似たら大変な事になるところだったけど...

ヨンウン : (脹れて) もう.... また冷やかすつもり?

ギョンミン : (穏かなほほ笑み) .... 退屈かと思ってさ。

ヨンウン : (寂しい) ...退屈よ。作業があるから時間はないはずなのに...退屈なの...

ギョンミン : .... 早く終わらせて行くから。ちょっとだけ我慢しろ。

ヨンウン : うん...

ギョンミン : 切るよ。食事しないとならないだろ?食事が冷えるぞ。

ヨンウン : (笑う) もうすっかり冷えちゃったわ。

ギョンミン : どうする?それでなくてもあまり食べられないのに...取り替えてもらうか?

ヨンウン : いいわよ。ちょっと妙な気配があるし...

ギョングミン : 妙な気配?

ヨンウン : 病院の看護婦たちの存在が気づまりで気づまりで。 (にっこりと) あなたがとても優しい夫なものだから、注目されてるのよ、私が。

ギョンミン : (にっこりと) そうか...なんだか俺が悪い事をしてるみたいだな。

ヨンウン : (肩をぐっと) そうね。..私はよく分からないけど。

ギョンミン : よく分からない?...(ため息) 俺の女は欲が多いな。

ヨンウン : (笑う) あなたがそうさせてるんじゃないの...

(ギョンミン、笑う....)


#コーヒーショップ

(サンウと男、対座している。)

サンウ : 最終回が来週だから...来週金曜には時間が出来ると思います。

男 : それではその後に、まずスケジュールを取ってみます。春商品だから、この広告はそろそろ出さないと...

サンウ : もう少し早く連絡いただけたら良かったんですが。そもそもドラマ撮影は最後が一番忙しいんですよ。2月初に連絡いただけていたら..

男 : それが....(すまない)...元々専属していたモデルと仲違したんですよ。急に撮り直す事になって。幸いチェミンのイメージが後半良くなったので、チェリーが候補に挙がったんです。

サンウ : (笑う)はい...とにかく目を掛けて下さってありがとうございます。それで、契約期間は..

男 : とりあえず6ヶ月にしたらと思うのですが..

サンウ : (しばらく考える)...そうですね。まずは6ヶ月で....いや、単発で終わらせましょう。もっと必要になったら、その時また話しましょう。

男 : (見る) ...1年契約でないのがお気に召しませんか?こちらの立場も理解してくだされば良いのですが。まだチェリーは衣類広告モデルとしては未知数なので...

サンウ : ええ、分かっています。だから単発にしましょう。反応を見てまた話しましょう。

男 : (ため息をつく) そうですね、それでは。

(サンウ、口を閉じる...)


#ギョンミン撮影現場

ギョンミン : (モニター確認する) キム監督、音がやけに途切れるんですが。

音響監督 : (駆けて来て見る) ....(ため息) 少々お待ちください..

ギョンミン : (苛立たしい) .....(音響チーム見る)

音響監督 : 何だって?それじゃ予備を用意して来なかったと言うのか?

音響1 : それが用意してあるとばかり思っていて....

音響監督 : とにかく探せ。直らなかったら放送局まで行って来ないとならないんだから。

ギョンミン : (見ていたが) 何なんですか?

音響監督 : (見る) あ、はい...コードにちょっと問題が起こっていて...

ギョンミン : ダメですか?

音響監督 : 接触不良が起こって音が切れるんですよ。

ギョンミン : それじゃ...どうするつもりですか?

音響監督 : (頭を下げてため息。ギョンミンを見る) 申し訳ありません。これは私の責任です。今日終わらせないとならないですか?

ギョンミン : 分かるでしょう?どれ位掛かりますか?

音響監督 : 2時間は掛かると思いますが...

ギョンミン : (ため息。振り返って) 仕方ないですね。しばらく休憩しましょう.遅くなるのは構いませんが、昼のシーンだから...

音響監督 : ダメならばクィックサービスででもやらせます。放送局に連絡してみます。

ギョンミン : 分かりました。そうしてもらえますか?

音響監督 : はい。(帰る)

ギョンミン : (ADに) 30分だけストップする。一息入れよう。

AD : はい。(大きい声で) 30分だけ休みます!

ギョンミン : .....(電話を取り出す) .....(メールを入れる)

" 遅くなるかもしれない。...装備に問題が起こって...待っていてくれ...."

(ギョンミン、電話を閉める。)


#ヨンウンの病室

(ソファ-にもたれて作業するヨンウン。メール受信音が鳴る。)

ミジュ : (ヨンウンに電話を持って来る) 監督からメールです。

ヨンウン : (受けて) うん...(確認する) .......(残念そう。軽いため息)....


#夜遅く、ヨンウンの病室

(ヨンウン、零はベッドにノートPCを広げたまま眠っている。ギョンミン、ヨンウンを見下ろしてじいんと熱くなる。ノートPCを片付け、ヨンウンを寝かせる。)

(しばらくの間、眠っているヨンウンを眺める...)

ヨンウン : (ゆっくり目覚める)...(ギョンミンを見る)...来てたのね...(微かなほほ笑み)...

ギョンミン : うん....遅くなっただろ?頼まれてた物が買えなくて....

ヨンウン : (眠い) ...いいわよ.... 今度また買って....(目を閉じる)...

ギョンミン : ......(眠ったヨンウンを眺め、額にキス).... (遥かな目で見る) ....中毒...






(原作出処: sonkhj1116さんのブログ


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