いなかの猫の天邪鬼部屋

第3話

OnAir~シーズン3・第3話~


#ランチングショーの日、明洞

(セア、友達の前の座席に座っている。)

セア : こんな所に誰が来るの?

友達 : ..主に衣類業界の人たちね。芸能人もたくさん来るし..

セア : すぐ始まると思ったのに、まだみたいね。退屈だわ。

友達 : もうすぐ始まると思うわ。

(照明が消えてオープニング曲が流れる。モデルたちが順番どおり出る。)

(モデルを目で追うセア。視界に入った方になじみの顔を発見。サンウ、セアの向こう側の座席に入って来て座る。)

セア : (はっと!) ....(視線を回す)...

(サンウは気付かない。)

(ランチングショーが終わって、舞台下に降りるデザイナー。セアの方に近付く。)

デザイナー : こんにちは。先に挨拶させていただかないとならなかったのに、ショーにかかりきりになってしまって...

セア : (目礼する) いいえ。お招き頂きありがとうございます。面白いですね。

デザイナー : 私たちのブランドはまだ新しいので、どうしても認知度が低いんです。...気に入ったものはありましたか?よかったら差し上げたいのですが...

セア : いいです。見物させていただいただけで。

デザイナー : (うつむいて)..はい。

セア : (周りをそっと見渡して) ...それでは、もう行きます。お疲れ様です。

デザイナー : 少し食事を召し上がって行かれては...

セア : (かすかに微笑む) 大丈夫です。ありがとうございます。

友達 : オンニ、私ももう行きます。忙しそうですし。

デザイナー : そう...? (セアの様子をうかがう) それでは...


#行事場所の外に出るセアと友達

友達 : 夕飯でも食べよう。どこに行く?

セア : (考え込んでいる) うん?何?

友達 : 何を考えていたの?

セア : いいえ、別に...

友達 : (セアを見て) 夕飯を食べようよ。

セア : ええ......(行事場所を振り返る)


#舞台後、スタッフ専用口

(サンウ、入口を見ている。モデルたちが出る。サンウ、注意深く見る。)


#ブロードキャスティング終映前日、川端撮影場

(モニターを確認するギョンミン、深刻な顔で振り返る。)

ギョンミン : 音響監督!

音響監督 : (頭を上げてギョンミンを見る。来る) どうしました?何か問題が?

ギョンミン : (口ををつぐみ、モニター確認させる).....

音響監督 : え....?これがどうしてこんな..?

ギョンミン : この前修理したんじゃないんですか?(振り返る)....

音響監督 : しましたが...ちょっと待ってください...(立ち上がって音響チームに行く)

(ギョンミン、ため息をつく....)


#最終回の日、放送局録音室

(チェリー、ブースにいる。画面を見て歌を口ずさむ。泣く声....)

(外で見守るギョンミン。)


#ヨンウンの病室、夜

(ブロードキャスティング最終回を見るヨンウンとギョンミン)

(川端の場面。チェミンが歌を口ずさむ。口ずさんで泣く..)

ヨンウン : (見て).... ダビング...?

ギョンミン : (横目で見る) ああ....

ヨンウン : (振り向いて) 分かってたの?

ギョンミン : 俺が撮ったんだ...

ヨンウン : (黙って見る)....

ギョンミン : (ため息をつく) 昨日撮ったんだけど...オーディオ装備がトラブルを起こして..

ヨンウン : また?この前もオーディオがトラブったんでしょ?

ギョンミン : ああ.... それで結局...遠い場所で撮影していたから、装備の空輸が難しくて...

ヨンウン : (ため息) .... シナリオが遅れたせいだから...私は何も言えないわ....

ギョンミン : (見る) ごめん.... きちんと作りたかったんだけど...

ヨンウン : (見る) いいえ...どうしようもなかったのは分かるから....


#市内某スタジオ

(チェリー、衣類広告撮影をする。サンウ、後ろから見守る。監督、モニターを確認する。チェリー、雰囲気が全く違う。)

チェリーのコーディネーター : (サンウに) チェリーは随分変わりました。見てくださいよ。1年前とあまりにも違わないですか?

(サンウ、黙って見守る。)


#去年9月、サンウの事務室

(サンウ、机に座っている。チェリー。ソファ-に座って雑誌を見る。)

サンウ : (チェリーをじっと見てため息をつく) そんなものを見て勉強になるか?

チェリー : (どういう意味かと思って) え?勉強?私、勉強しなくちゃダメ?

サンウ : (情けない) お前はソ・ヨンウンに何と言った?死ぬ気でやると言っただろう?

チェリー : (舌を出して)うん...

サンウ : そんなものを見ていてオ・スンアのようになると思うか?お前の目には、オ・スンアは着飾っていて顔とスタイルだけが良い女に見えたのか?

チェリー : (口を尖らせる) .....

サンウ : 頭に色々なものが入っていてこそ、オ・スンアにもチェミンにもなり得るんじゃないか?プロポーションだけでいつまで続くと思うんだ?

チェリー : (プライドを傷つけられ、涙を溜める)....

サンウ : これを受け取れ(紙を突き出す)。

チェリー : (立ち上がって受ける)...これ、何ですか?

サンウ : (見る) 一ヶ月間でお前が読まなければならない本だ。

チェリー : (唖然として) こんなにたくさん?私...本を読むのは苦手なのに...

サンウ : (見る)....知ってるさ。まずはその中に二冊だけでも読め。残った時間には映画を観るとか....

チェリー : 二冊でも自信ないけど...(声がだんだん無くなる)

サンウ : やってみもしないでそんな事を言うのか?それは死ぬ気でやるというのでなく、死のうとしていると言うんだ!

チェリー : (頭を下げる) 分かりました..読みます....(口を突き出す)

サンウ : (見てため息をつく).....


#スタジオ現場

(サンウ、淡々とチェリーを見守る。)


#ブロードキャスティングが終わった4日後、ヨンウンの病室

(チェリーとサンウ、ヨンウンの横に立っている。)

ヨンウン : 御苦労様。よくやってくれてありがとう。

チェリー : (微笑滲む) 私、大丈夫でしたか?

ヨンウン : そうね、初めに憂慮したよりはね。

チェリー : (にっこりと) それって...満足したというふうには聞こえないですね。

ヨンウン : (笑う) ごめんね。私、褒め言葉にけち臭い人間だから。

サンウ : いつまで病院にいらっしゃらないとならないんですか?

ヨンウン : 私も早く出たいんだけど...あと何日かはダメみたい。こんなところにいたら、お尻に根が生えちゃいそうだわ。

チェリー : (笑う) ソ先生~。

ヨンウン : ん?(舌を出す)....老けたみたい...本当...

(サンウ、黙って笑う。)

(病室ノック音。)

ヨンウン : (見て) どうぞ。誰?

(チェリーとサンウ、振り返る。セアが入って来る。セア、サンウを横目で見る。)

セア : お客さんがいらっしゃいましたね...

ヨンウン : (見る。嬉しそうに) どうぞ、いらっしゃい。早く退院しなくちゃ。私、多くの人に面倒を掛けてるわ。

セア : (サンウを知らないふりをしながらヨンウンに近付いて) 放送が終わったので挨拶がてらです。(にっこりと) そのわりにはすっかり遅くなりましたが...

ヨンウン : ありがとう。....御存知でしょう?チン・サンウ代表とチェリー。)

セア : はい..(サンウをそっと見て目礼する)

チェリー : こんにちは。チェリーです。(セアの頭からツマ先までチラリと見る)

セア : こんにちは。ドラマを見ました。素敵でした。

チェリー : ありがとうございます。

サンウ : お元気でしたか?ドラマを見ました。

セア : (ひそかに緊張する) はい...ありがとうございます。

サンウ : ......(ヨンウンに) イ監督は最近も遅いんですか?今は、なさっている作品はないのに..

(セア、ドキッとする。)

ヨンウン : (セアをそっと見る) ....忙しいんでしょうか?...ドラマは終わったのに、早い時間には来ないですね。たまにくたびれて入って来るみたいだし...

サンウ : なぜです?くたびれるような事があるんですか?

ヨンウン : 分かりません.... (気抜けして)入って来るとすぐに眠ってしまうんです...

サンウ : (考える)...そうですか...

ヨンウン : (やや苦く笑う)...はい。

サンウ : ....(考える。ヨンウンを見て) 我々はもう失礼します。ブロードキャスティングのおかげでチェリーの株がちょっと上がりましてね。今からまた行かないとならない所があるんです。

ヨンウン : (見て微笑む) 良かったですね。(チェリーを見て) 頑張って。そのうち御馳走してくれる?

チェリー : (笑う) はい。他の人にはともかく、ソ先生には必ず御馳走します。

(ヨンウン、笑ってチェリーを見る。サンウとチェリー、出る。)

セア : (出る二人を見てから).... チン代表と親しいように思いますが。(言ってから口をつぐむ)

ヨンウン : (見る)...(考えてにっこりと) ちょっと妙な縁なんです。.... 初めはどうと言う事はなかったのだけど....。 世の中に完璧な悪人はいない...と思うんです、チン代表を見ると。

セア : (訝しげに)...え?

ヨンウン : (慌てて) あの、それは..誤解しないで。チン代表が悪い人という意味ではなく...(見ながら諦めたように) そうですね...悪い人ではない、とは言えませんね、チン代表は.....でも許せないわけでもない.... 痛みがある人だから...

セア : (ヨンウンを見て考え込む).....






(原作出処: sonkhj1116さんのブログ


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