いなかの猫の天邪鬼部屋

第16話

OnAir~シーズン3・第16話~


#ヨンウンの仕事部屋、玄関

(セア、どきどきする。唾を飲む。サンウ、視線を置く所がなくて戸惑う。)

セア : (視線を上げられない) ....

サンウ : ...どうして....?

(ギョンミン、中から出る。)

ギョンミン : 誰..?チン代表?どうぞお入り下さい。

ヨンウン : (キッチンにいて不満な目' もう..気の効かない奴..') ...(玄関の方を見て) どうぞ~。


#居間

(ヒョンス、セア、ヨンウン、皿を持って来る。)

ヨンウン : (居間のテーブルに皿を置いて) こんなふうに何人もいっぺんに座った事がないから...ちょっと座りにくいでしょう?

ギョンミン : 俺が床に座るよ。(床に降りて座る)

ソクヒョン : (様子をうかがって一緒に床に座る) 俺たちが床に座ります。円になって座ればそんなに座りにくくはないでしょう?

ヨンウン : (すまない) 招待しておきながら...ごめんなさい。

サンウ : (ギョンミンとソクヒョンを見て) それでは俺も床に降りないとならないのでは?こういう事を言うから嫌がられるんでしょうけど...

ギョンミン : (見て顔をしかめる) 分かっているならやめてください。今日の主人公なんですから。

サンウ : え?どうして私が主人公?

ギョンミン : チン代表に食べさせるために作った料理ですからね。

ヨンウン : (ギョンミンを睨み' 話を締めるのは私よ') いいえ。 作るついでに一緒に食べようと思って呼んだのだから...遠慮しないで下さい。

サンウ : 俺のために作ったのものでも負担には思いません。何かを求められているわけでもないでしょうし、望まれたものを全て差し上げるわけでもありませんから。(ギョンミンを見て笑う)

ギョンミン : それでは床に降りて下さい。何ですか、はっきりしないんだから。

サンウ : (やむを得ず床に座る。腰が辛そう) あ..

ギョンミン : 年はとりたくないですね。

サンウ : (横目でギョンミンを見る) どうして俺に当たるんですか?俺が頼んだ事でもないのに...

ギョンミン : 何ですか?俺が何をどうしたと...

サンウ : ..(情けなさそうに見てヨンウンに) だけど本当に、監督には一度も料理をしなかったんですか?何にしても、これはいただきますが。

ヨンウン : でも昨日はしてあげたんですよ。毒が入っているとでも思ったのか、いらないと言うのを無理矢理食べさせて。そうでもしないと、いつまででもぶつぶつ言っていそうだったから。(ギョンミンの横に座る)

ギョンミン : (唇を突き出して) ...それで作ってくれたのか...それだけの事か...

ヨンウン : (睨む。小さい声で) お客様がいらっしゃってるんだから堂々としててよ。

ギョンミン : (目を丸くして) うん..?"しててよ"...?"しててよ"...?ウワ!....タメ口...

ヨンウン : (見回してすまない笑い。抜け目なく) 私たちはこんなふうに暮らしているんです...本当に、子供を育てるみたいに....

ヒョンス : (二人の姿をしばらく見て) イ監督...いいえ、ギョンミンオッパ。

ギョンミン : (ヒョンスを見る)ん?何だ?

ソクヒョン : (情けなさそうに見る) いくら新婚でもちょっと酷い...食うぞ。ああ腹が立つ。飯を...

ギョンミン : (照れくさそうな笑い)...食え...

セア : (二人の姿とサンウの姿に笑いを堪える)....

(しばらく後)

(女達、座っている。男達、皿を片付ける。)

ヨンウン : 片付けてね。食べさせてあげたんから。公平にしなくちゃね。

ギョンミン : (キッチンに行って振り返って) はいはい。他に何か頼む事はないか?

ヨンウン : ちょっと待って。ちょっと考えるから。

ヒョンス : (首を斜めにしてヨンウンとギョンミンを交互に見る) ...本当に、言う事がないわ...

ヨンウン : (見る) どうしたの?何か変?

ヒョンス : (虚しく笑う) お二人とも、今年で何歳ですか?これはウルトラメガトン級の見せつけですよ。お二人のこんな部分は初めでだわ..

セア : (にっこりと) ....

ヒョンス : (セアを見て) ユン作家もそう思うでしょう?(頭を後ろに傾ける) これはテロです。自分たちは楽しいから分からないでしょうけど...これは偽装攻撃型テロだわ...

セア : (吹き出す)..偽装攻撃....(頭を下げて笑う) クックックックッ...

ヨンウン : (頭を持ち上げる) いくらでも言ってちょうだい。(肩をそびやかして) 構わないわ、私は。死ぬまでこんなふうにして暮らすんだから...。フフフ。

ヒョンス : (呆れて笑う) まったくもう....


#キッチン

(ギョンミン、前掛けを掛けて皿洗いをする。サンウ、ギョンミンが渡してくれる器を磨く。ソクヒョン、食卓の椅子に座っている。)

ギョンミン : (ソクヒョンを振り返る) お前はそこで何をしているんだ?

ソクヒョン : ああ..残った食べ物の整理...(皿に残った食べ物をつまみ食いしている)

ギョンミン : (振り返る) ....(ため息)...お前は ....生ごみ処理器か...?

ソクヒョン : (ため息) .... 俺はどうして生きているんだろう...

ギョンミン : よく言うよ。精神科の医者らしい発言だな。

ソクヒョン : お前たちの様子を見たせいさ。俺たちは何をしたんだろうと思う。新婚もなかったようだったし...悔しくて帰りたくなってそう言ったんだよ。

ギョンミン : 見せつけられてむかつくって?羨ましいか?

ソクヒョン : むかつきもするし、羨ましかったりもするし...ところで。(改まって見る)

ギョンミン : 何だ?

ソクヒョン : 二人仲良く暮すのはいいが...そういうふうにするのは二人でいる時だけじゃダメなのか?年を取ってもそれだと...痛々しいぞ~。悪あがきだぞ~。

サンウ : (聞いていて苦笑する)プブ- クックックックッ...

ギョンミン : (睨む) 俺たちはうまく行っているんだ。悪あがきとは何だ?悪あがきとは...。俺たちは絵のように暮すんだ。

サンウ : (ため息)...絵..

ギョンミン : (見る) 何ですか?そのため息は...

サンウ : いや..絵にも色々あるからから...

ギョンミン : (眺める) 羨ましいでしょう?

サンウ : いいえ。全く。

ギョンミン : 羨ましいくせに..こういう事にはポーカーフェイスは通じないんだから...

サンウ : いくらそう言われても羨ましくありません。少し、かなり、不便なだけで...

ソクヒョン : そうでしょう?チン代表も不便でしょう?(ギョンミンに) おい、やっぱり酷かったんじゃないか?俺たちにはソロで座らせておいて、お前たちは...。思いやりの心がないよ。とにかく..

ギョンミン : 何だと?本当のソロは黙っているのに...

ソクヒョン : お前の目にはあの姿が黙っているように見えるのか?専門医の視点で見ると...あれは怒りを鎮めているんだ。

サンウ : どうしてそんなふうに言うんですか?俺が何をどうしたと?まったくもう.... ああ!今日の飯代は高過ぎる...

(三人笑う...)


#居間

(後ろ向きに座ってカードゲームをする。)

ギョンミン : それじゃ、どうすればいいんだ?殴るのはどうやっても不公平じゃないか。だからと言ってカネを賭けるのも..

ソクヒョン : カネを賭けるのは、すっきりしていていいと思うぞ...

ヒョンス : (見てつぶやく) とにかく..持てる者はますます持ち...

ソクヒョン : 何だ?

ヒョンス : いいえ、別に。

ヨンウン : (二人を見て) それじゃ...願いを聞き入れるというのはどう?

ギョンミン : 願いを聞き入れる?ちょっと無謀じゃないか?

ヨンウン : みんな常識がある人だから...無理な要求なしないでしょ。

ソクヒョン : 誰が常識があるんですか?他の人はともかく、お二人は常識以下です。少なくとも今日の夕方は。

ヨンウン : (睨む) どうしてですか?私たちが何をどうしたって?(ギョンミンを見て) 何よ。

ギョンミン : (笑いが出る)プブ- ....やっぱり度を越してるよな。これ以上は無理だ...。独り者もいるんだから、慎まないと、な?

ヨンウン : (サンウとセアを見る) あ...そうね...私、勘が働かなくて。ホホホ。

サンウ : (苦笑する) さっきから三流映画を見ているみたいで忍耐力が必要ですよ。カネを払って見るには馬鹿らしい映画ですね。

セア : (笑いを噛み殺す) プブ-

サンウ : (そっとセアを見る) ...

ヨンウン : それじゃ無難に殴る事にしましょう。手首叩き。

ギョンミン : (顔をしかめる) 大丈夫なのか?後で泣くなよ。

ヨンウン : その代わり、男は指一本しか使えない。女は拳で殴っても構わない。

ギョンミン : 何????

ソクヒョン : ..恐ろしいルールだ...

サンウ : 思う存分遊んで格闘技まで見るってわけだ...

ヨンウン : (三人の反応が面白い)クックックックックック....

(ヒョンスとセア、面白がる...)


#仕事部屋前駐車場.

(集まって挨拶する)

ソクヒョン : 今日はよく食べて楽しく遊びました。チン代表、次は一杯やりましょう。

サンウ : ええ。今日はお疲れ様。

ギョンミン : じゃあな。また会おう。

ソクヒョン : (顔をしかめる) 次は別々にな。嫁さんと一緒のところは見たくない。

ヨンウン : 何ですって?思う存分食べておいて、仇で返すの?

ソクヒョン : (笑う) お疲れ様でした。楽しかったです、おかげさまで。

ヒョンス : 帰りましょう。ユン作家もお気を付けて。

セア : はい.. 今日は楽しかったです。

(ソクヒョンとヒョンスの車去る)

ギョンミン : チン代表の車は?

サンウ : ああ、あそこです。(左側の何台か離れた所を示す)

ヨンウン : セアさんは?

セア : 私の車はあそこです。(裏側を見る)

ヨンウン : (セアを見る) 一人で遅い時間に大丈夫?

セア : (笑う) そうですね。そんなに遅くはないですけど...

ヨンウン : (サンウを見る) ...チン代表。

サンウ : (見る)はい?

ヨンウン : 出来れば送っていただけると嬉しいのだけど...女を一人で帰らせるというのがちょっと..

サンウ : (戸惑う) ...それは..

セア : (やはり戸惑う) あ、いえ...一人で帰れます。問題ないです。

ギョンミン : (サンウに) 送っていただけませんか?お疲れでしょうけど。

(サンウとセア、互いを見てくすぐったい微笑み...)


#サンウの車中

(サンウ、黙って運転する。セア、緊張して..)

サンウ : 疲れますか?

セア : (見る)...いいえ..

サンウ : 寄り道してもいいですか?

セア : ...どこですか?

サンウ : 風の吹く所です。

セア : ......


#漢江水辺

(微かな街燈の下、サンウとセア、階段に並んで座る。静かな...)

サンウ : (足元の明かりを見る) ...........

セア : ..............(考え込む)

サンウ : ...............(独り言を言うように) 俺たちは縁なのでは...

セア : (ドキッ!!!)...............(瞬き)

サンウ : (頭を回して見る) .....................

セア : (息が出来ない).................

サンウ : (黙って見る).......................

セア : ......................(徐々に頭を回して見る。搖れる目つき)

(サンウ、きらめくセアの瞳を見る.............)

(徐々に近付いて口付ける.............)

(セア、固まる...)






(原作出処: sonkhj1116さんのブログ










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