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いなかの猫の天邪鬼部屋
第21話
OnAir~シーズン3・第21話~
#7月初、ギョンミンとヨンウンのアパート、寝室
(ヨンウン、ベッドに座っている。ヘギョン、鏡台椅子に座っている。)
ヘギョン : (寝かした赤ん坊を見て) 大きくなったわね。目に見えて分かる。違うわ。
ヨンウン : 当たり前よ。新生児の時に見てから初めて見たでしょう?このくらいの時期は、一日ごとに変わって行くものよ。
ヘギョン : (見る) 楽しそうね。
ヨンウン : (そっと笑う) 楽しくないわけがないでしょ?可愛い赤ちゃんに...休暇に....
ヘギョン : 頼もしい新郎に。
ヨンウン : (笑う) たしかに。
ヘギョン : (ため息) いまだにあなたを見ているとため息が出るわ。どこに行っても熱い夫婦だと言われていて...
ヨンウン : (口をつぐんで笑い流す) 羨ましかったらオンニも早く結婚して。
ヘギョン : 勝手な事言って。人生において結婚は、死ぬまでの事だから簡単に出来るものじゃないわ。
ヨンウン : (口を尖らせる).... 死ぬという言葉を簡単に言うのね。その年齢では軽々しく言えない言葉だと思うけど。
ヘギョン : (睨む) 黙りなさい。痛いところを突くんだから。....そう。私の年齢では言えないわね。死ぬという言葉を聞くと胸がヒヤリとするわ。これでいい?
ヨンウン : (すまない) ...オンニが死ぬという言葉を使うからそう言ったのよ...わざとじゃないわ。
ヘギョン : (ため息をつき、淡々と) でも本当にそんなふうに考えるのよ。死ぬ時は上手に死なないとならない。.... 後悔せずに死なないとならない...そのためにも、今一生懸命生きなくてはならない...
ヨンウン : (見る) オンニ...本当に違う人みたい。違う人に見えるわ。
ヘギョン : (苦笑) 違わなければばらないと思うわ。年だけ取ったら虚しいわよ。
ヨンウン : (やや苦い微笑み)....
ヘギョン : (見る) .....この前のあれ、良かったわよ。イ監督に任せたいんだけど。
ヨンウン : (目がきらめく) そう?良かった。
ヘギョン : 原作者ほどその作品をよく知っている人がいる?まずイ監督に話して、それから放送局に話しては、と思うの。
ヨンウン : そうね....(微笑む)....本当に特別な人でしょ...?
ヘギョン : (笑う) わっ、言ってくれるわね。何にしてもあなたの目には特別な人に見えるのだろうけど...
(ヨンウン、いたずらっぽく笑う)
#翌日、ドリームハウス代表室
(ヘギョン、机に座って電話する。)
ヘギョン : ドリームハウスです。
ギョンミン : こんにちは。ああ、昨日いらっしゃったんですよね。
ヘギョン : ヨンウンが話したんですか?それでは、どうして電話したのかもお分かりですね?
ギョンミン : ....どうして電話したんですか?
ヘギョン : ...それは話していないのか...昼食の時にお会いしましょうか?御相談したい事があるんです。
ギョンミン : はい...
#放送局構内食堂
(ギョンミンとヘギョン、向かい合って食事する。)
ギョンミン : (箸を持ったまま考える).... お話には感謝しますが、今はしている事があるんです...
ヘギョン : (失望して) 重要な事ですから。これを逃すとイ監督は後悔なさると思いますよ。
ギョンミン : (淡々と) そうですね....
ヘギョン : 今なさっている事はいつ終わりますか?
ギョンミン : 7月末までに終わると思います。8月初放送だから。新人作家の作品ですから、今になって出来ないとは言えないですよ。
ヘギョン : (考える) ....それでは私が待ちます。
ギョンミン : (見る).....
ヘギョン : 今まで待って、あと一ヶ月待てない事がありますか?イ監督でなく他の人に任せたら、私はいつまででも未練が残るでしょう。
ギョンミン : (ありがたい) ...ありがとうございます。
#サンウの部屋
(サンウ、タンスを開いてネクタイを選ぶ。)
#(インターカット) デパートの中、背広売場
(セア、ネクタイを見る。サンウ、懐に手を入れたままセアを見る。)
セア : (二つのネクタイ選んだ後、迷う) 私はいつも最後の最後に決められないの。(サンウを見て笑う) どっちがいい?
サンウ : ...そうだな...
セア : (サンウのシャツにあてて見る) うーん...これは明るいけどちょっと軽く見えるわね。(ためらう) あなたには濃い色がよく似合うのよね。暗い色が合っているから...
サンウ : (見る)....
セア : (サンウの顔を見て) それでなくても真面目な顔なのに...(決心したように) これにしましょう。明るい色も、使っていれば馴染んで来るわ。
サンウ : ...(口元に淡い微笑み) 好きにしろ。
#サンウの部屋
(サンウ、セアが買ってくれたネクタイを選ぶ。鏡を見て苦笑する。)
#放送局ロビー
(ギョンミンとサンウ、一緒に歩いて行く。)
ギョンミン : (見る) 今日はいつもとちょっと違って見えますね。(首を傾げる) 何でだろう?
サンウ : .... どこがですか?
ギョンミン : ちょっと...明るいような....ああ、ネクタイ!
サンウ : (顔をしかめる) そんなに浮いていますか?
ギョンミン : いえ、浮いているというのじゃなく...ちょっと違うんですよ...(見る)
サンウ : (そっと笑う) ......
#休憩室
ギョンミン : .......(黙ってサンウを見る)
サンウ : (ギョンミンの視線が負担な).......さっきからどうして見ているんですか?
ギョンミン : ....いい事があったんですか?
サンウ : (上がる口角を堪える) ....どうしてそう思われるんですか?
ギョンミン : (口をつぐんで笑う) 顔に書いてありますよ。
サンウ : (眉毛を上げて唇を噛む) ...そうですか?何と書いてあります?
ギョンミン : (手組をして顎を乗せ、ニコニコする) .....おっしゃってください。いつからですか?
サンウ : (滲む笑い堪える) 何ですか。
ギョンミン : (苦笑) まったく....
サンウ : (笑う目。顔いっぱいに笑い滲む。ギョンミンを見て口を覆って照れ臭そうに笑う)....
#食堂の個室
(サンウ、チェリー、男、座っている。)
男 : (契約書を突き出す) それではここ全部に判を捺して下さい。
サンウ : (受けてよく見る) ....(チェリーに渡す) さあ。
チェリー : (見る) どこに捺すんですか?
サンウ : (指で示す) ここ。それからここ。
(チェリー、判子を取り出して捺す。サンウ、また受けて見た後、男に渡す。)
サンウ : ありがとうございます。1年間よろしくお願いいたします。
男 : よろしくお願いいたします。
(サンウのメール受信音が鳴る。)
サンウ : 少々お待ちください。(メール確認する)
" どこです?忙しいですか?-セア-"
サンウ : ちょっとだけ失礼します。(立ち上がって出て行く)
#個室の外
サンウ : (電話中) ああ...俺だよ。
セア : 昼食は食べた?
サンウ : ああ、今食べてたんだ。
セア : 今日も忙しいの?
サンウ : うーん...昼食の後、2時間は余裕あるけど...
セア : そう?どこ?行ってもいい?
サンウ : 仕事で人と会っているから...それじゃ1時間後に会社に来てくれ。会社の前で待ってるから。
セア : 分かったわ。会社の前に行くわね。
サンウ : ああ。
#SW事務室の向こう側
(道端に駐車したセア、事務室の方を見ている。サンウの車が入って来る。嬉しい。建物の前に駐車する車。サンウ、降りる。職員にキーを渡す。チェリー、降りてサンウの横に行く。)
#事務室前
チェリー : (サンウと腕を組んで浮き立っている) これで私も1億ウォンモデルね?フフ。
サンウ : (無表情に見る) 油断するな。一息ついた瞬間終わるのがこの世界だ。
チェリー : (笑ってサンウを見る) 分かっています。上手くやるわ。
(サンウ、ふと思い出し向う側を見る。セアの車が見える。サンウ、そっと腕を抜く。チェリー、怪しげな目で見る....)
サンウ : お前は帰れ。俺は用事があるから。
チェリー : 何の用事?それじゃどうしてここに来たの?
サンウ : (無表情に見る).....
チェリー : (口を突き出す) 分かりました。それじゃ、私は今日は何をするの?
サンウ : キム室長にスケジュールを話しておいたから確認して。行け。
チェリー : はい...(建物の中に入って行く)
(サンウ、しばらく待って道を渡る。セアの車に近付いて助手席に乗る。)
#セア車中
セア : (やや苦い微笑み) ......
サンウ : (そっと様子をうかがう) ...見たのか?
セア : .....(頷く)
サンウ : ....(片手で自分の頬を撫で、顎を支えて見る) .....ただの習慣だ。何しろ人にしがみつくのが好きな子だから..
セア : (寂しい目で見る) ...私もそうだったらいいのに....
サンウ : (見る)......
セア : どこででも...あなたと腕を組んで歩く事が出来たら...
サンウ : .....(見て手を伸ばしてセアの頬を触る).....したいようにしろ。ただし...責任は取れないぞ。(笑う)
セア : (口を尖らせる) ...するなという事じゃないの...
サンウ : (穏かな目。微笑みを湛えながら見る) .........(近付いて口付ける).... (目を見て) 何をしようか...?
セア : (幸せな目) 何も...しなくていい....
(サンウ、微笑んで唇を重ねる。セア、目を閉じる....)
#ギョンミンとヨンウンの寝室
ギョンミン : (入って来てヨンウンを見て) どうだ?(ベッドに近付いて赤ん坊を見て微笑む) ウンミンはどうだ?
ヨンウン : (赤ん坊を見て) もう耳がよく聞こえるようになっているから、寝ていてもすぐに起きちゃうの。人がいない時はいいんだけど、家族が出入りすると敏感になるのよね。
ギョンミン : そうか。大変だったか?
ヨンウン : うん....昼間は休めないわね。もう休暇も終りだし。
ギョンミン : どうするんだ?(ベッドに座る) まだすっかり大丈夫なわけじゃないだろう?
ヨンウン : 4週は休んだわけだから、まあまあね。問題は、これから苦労するだろうという事...
ギョンミン : 苦労?.....(赤ん坊を見る) 苦労だって?
ヨンウン : (冷淡に睨む) 子供を育てるのが簡単だと思う?時間に関係なく目を覚まして、お腹がすいたと泣くのよ。やかましく泣くのよ。どういう時にどうして泣くのかも分からない事もあるし....
ギョンミン : (赤ん坊を見る) そう...なのか...。泣くのは意思表示をしているんだろう?
ヨンウン : (苦笑) あなたにはそう聞こえるの?本当に...子供を愛しているのね...
ギョンミン : (微笑みを湛えたまま見る) 寂しい?
ヨンウン : (苦笑) こんな状況を寂しいだなんて、それだと幼い娘にヤキモチを焼くとんでもないママになっちゃうじゃない。私は...言えない...
ギョンミン : (ヨンウンを見て穏かに笑う) 娘にまでヤキモチを焼くソ・ヨンウン。
ヨンウン : (見て苦笑する) あなたのせいよ。あなたが私をこんなに甘えん坊にしたんだから。
ギョンミン : (暖かい目) 許せ。この方法しか知らないんだから....
ヨンウン : ...何?何の方法?
ギョンミン : 愛する方法。
ヨンウン : (微笑み滲む) ....私もそれしか受け取れないわ。ごめん....
(ギョンミン、ヨンウンに口付ける。幸せな目で顔を合わせる。突然 " ウエーン" 驚いて見ると、口をもぐもぐしてまた眠ったウンミン。二人、顔を見合わせて笑う...)
(原作出処:
sonkhj1116さんのブログ
)
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