いなかの猫の天邪鬼部屋

第26話

OnAir~シーズン3・第26話~


#昼、セアのアパート

(居間に座っているユミ。セア、コーヒーポットを持って来る。)

ユミ : 楽しそうね。

セア : (コーヒーを注ぐ) 大丈夫。

ユミ : (観察する) 大丈夫?何が?

セア : (見て苦笑) 何が知りたいのよ。

ユミ : .....あなたの..その男について。

セア : (見る) ......あなたに言うと危ないから言えないわ。広告を出すのと同じようなものだから。

ユミ : どうしてそうなるの?この前の所帯持ちの男の話、私は誰にも言わなかったのよ。

セア : そう。それはありがたいと思ってるわ。だけど、それでもこれはダメ。

ユミ : どうして?

セア : ......

ユミ : ...分かるとまずい人?

セア : 聞かないで。

ユミ : (見る)........ 気を付けないとならない理由でもあるの?

セア : そんな事ないわ。

ユミ : じゃあどうして?

セア : ...そうなんだわ。気を付けないとならない理由があるんだわ。私、おしゃべりになるのがイヤなの。噂になるのはもっとイヤ。だから言えないんだわ...。

ユミ : .....噂になるって、そんな関係なの?男と女が出会って恋愛するのがそんなに大変な事?相手がシングルなのに?

セア : (ため息) 仕事のために同じ所でよくぶつかるのよ。会う人も似ているし、この近所はおしゃべりな人が多いし。周りがうるさくなったら気まずくなりそうなの。

ユミ : 誰が...?その人が?

セア : ....

ユミ : (目を細く開いて見る)...あなたの方がその人を好きなの?その人の機嫌をうかがうほど。そうなの?

セア : (見る) .........(やや苦い微笑み) 表面的にはそう。

ユミ : 表面的だろうが何だろうが.....ユン・セア。

セア : (見る)?

ユミ : 一体どれだけ凄い男なの?私、気になって狂いそうよ。ユン・セアをこんなふうにさせる男はめったにいないわよ。

セア : (黙って笑う)...悪い男。

ユミ : え?

セア : 人はその人の事をそう言うの。悪い人よ。

ユミ : 本当にそんな人ではないでしょう?あなたが完全に最悪な男に引っ掛かったのは....

セア : (笑う).....(考える目) ....もしかしたら最悪かも...

ユミ : (心配になる目)ちょっと....

セア : 果てしなく待たないとならないかもしれない....

ユミ : (見ていたが、ふとひらめいて)....今こんな質問をするのはちょっと順番が合っていないかしら....

セア : ?

ユミ : もしかしてあなたの片思いなの?

セア : .........(声を出して笑う)

ユミ : (見て呆れる) .....何なの?分かるようにすっきり言ってよ。ちょっと!


#ドラマ局長室

(カン局長電話中)

カン局長 : はい、お兄さん。はい.........私に任せて下さい。はい.....はい...それでは。

(カン局長、受話器を下ろして考える。電話をする)

カン局長 : お、セアか?

セア : はい、どうされたのですか?

カン局長 : ちょっと出て来ないか?仕事のためにも、する話があるんだが...

セア : 今ですか?

カン局長 : 今でもいいし...

セア : 分かりました。1時間後にお伺いします。

カン局長 : 分かった。

(電話を切る。考える....)


#セア車中

(セア、車を始動させ、電話を手にしてメールを入れる。)

" 私、今放送局に行くのだけど..."

(返事)

" 私は今日は放送局には行かない..."

(セア、唇を尖らせる)

" どこにいるの?忙しい?"

(返事)

" どこだか分かったら来るか?"

" 質問も出来ないの?"

" 何を質問するんだ?来るのか?来ないのか?"

" 返事にまるで誠意がない。寂寂。"

" ^^;; "

" "

(セア、出発する..)


#局長室

カン局長 : 11月にミニシリーズを一編やるか?

セア : 11月ですか?

カン局長 : そう。元々計画していた作家が自分の都合で断って来た。良い機会なんだが...

セア : .....急過ぎではありませんか?

カン局長 : この前、作品を随時考えておきなさいと言ったじゃないか。何も考えていないのか?

セア : (見る) 全然考えていないわけではないですが...

カン局長 : そうか?それでは少し具体的に作ってみろ。来週中にシノプシスが出来るか?

セア : (笑う) そんなに急ぐ事ないのでは?

カン局長 : 11月だぞ。3ヶ月もない。仕方ないだろう?

セア : 放送局はいつも仕事をこうしてどんぶり勘定でやるんだから...

カン局長 : こんなふうにやっても、当たる時は当たるんだ。監督がちょっとあれなんだが...

セア : どうしてですか?誰が...

カン局長 : 君に付けてやるには経歴が弱いんだが...若い人同士、心合わせて上手くやってくれ。キム・ジウンと言ってイ・ギョンミンと同期なんだが...間にしばらく休んで去年復職した奴だ。感覚は悪くないが、彼も頑固でな...

セア : (苦笑) そうですか。面白そうですね...

カン局長 : ではやるんだな?

セア : (微笑む) 機会をいただいて嫌がる事が出来ますか?やります。

カン局長 : そうか...。それじゃ、これはいいとして...

セア : (見る) 他の用事があるのですか?

カン局長 : 来週土曜、伯父さんと一緒にある場所に行こう。

セア : どこへですか?

カン局長 : Hグループ創社30周年記念行事に..

セア : そこに私がどうして行くのですか?

カン局長 : お父さんが頼んで来た。君が代わりに行って挨拶をしてくれと。

セア : .....

カン局長 : お父さんの取引先なんだから、知らん振りは出来ないんじゃないか?

セア : (小さくため息をつく) ....

カン局長 : な?伯父さんが責任を持ってお前を連れて行くと言っているんだ。私のためにも一緒に行ってくれ。

セア : (見る)...そんな約束をどうしてしたのですか?私には聞きもしないで...

カン局長 : これは君に聞いて決める事ではないからだ。お父さんを助けると思って行こう?

セア : (視線を落して考える)......


#5階エレベーター前

(セア、考え込んだ顔、エレベーターが開いて、乗る..)


#ギョンミンとヨンウンのアパート

(居間。ヨンウン、掃除機を回している。オキシム、ウンミンを抱いている。)

オキシム : 私がするから。

ヨンウン : 私がします、お母さん。仕事もしないのに家事もしなくて、それが主婦ですか?

オキシム : 代わりに子供を育てるんじゃないの。

ヨンウン : 他の人は、子供を育てて掃除をして、全部やっているんです。この程度の事はさせて下さい。(掃除機を止める) お母さん。

オキシム : うん?

ヨンウン : 私、そんなに何から何までやっていただいたら、どんどん甘えん坊になります。それでそのうち私が綺麗じゃなくなったら、私はどうすれば...

オキシム : (笑う) 何が綺麗じゃなくなったら、ですか。こんなに可愛いウンミンも産んでくれたのに。(ウンミンを見て) ねえ、ウンミン。

ヨンウン : (苦笑して独り言) .....結局私は...ウンミンのママって事か....

オキシム : (聞こえない)..うん?何だって?

ヨンウン : いいえ~


#夜、ギョンミンとヨンウンの寝室

(ヨンウン、ノートPCを叩く。ギョンミン、風呂場から出る。)

ギョンミン : 何してるんだ?

ヨンウン : うん.... ちょっとメモしておくものがあって...

ギョンミン : .... まさかもう次の作品の構想をするのか?

ヨンウン : (見る)......ダメ?

ギョンミン : まだ少し早くないのか?1年後位にすればいいのに。

ヨンウン : 今すぐ始めるわけじゃなくて...忘れる前に所感をちょっと書いておこうと思って...

ギョンミン : 何の所感?

ヨンウン : 一人の子供のママになるというのはどういう意味か...

ギョンミン : (見る).....二人の子供のママじゃなくて?

ヨンウン : (睨む) それって皮肉?

ギョンミン : (苦笑) ...チュニが聞いたら寂しがるぞ。

ヨンウン : (和らぐ)...チュニの時はどうだったのか思い出せないの...。多分その時も何かがあったはずなのに...。本質を見られずに無茶な所で慰労を得ようと思っていたみたい。その時も書く事は好きだったけど...

ギョンミン : ロンドンで書いていた文はどんな内容だったんだ?

ヨンウン : ただの...ロマンス。結婚して一人の子供のママになったら、現実の中ではもう可能性がなさそうな、幻想みたいなロマンスが懐かしかった..。(見る) 私、ロマンスは上手く書くでしょ?

ギョンミン : ああ。...君は非現実的だからな。

ヨンウン : チッ.... 人の事言えるかしら....

ギョンミン : 何が人の事だって?

ヨンウン : あなたほど非現実的な男が他にいると思う?こんな話をしたら自惚れそうだから言いたくないんだけど...

ギョンミン : (苦笑) 俺が非現実的か?

ヨンウン : 知らなかったの?あなたみたいな男はなかなかいないから...(じっと見る) ソ・ヨンウンは幸せだ、という事よ。

ギョンミン : (微笑みを湛えながら見る) ...... 他の男みたいに、好きなだけ着飾らせてやるわけでもないし、贅沢をさせてやるわけでもないのに...それでも幸せだと思うか?

ヨンウン : (苦笑) そんな物に幸せはないと思っているくせに、どうしてそんな事を言うの?

ギョンミン : それが幸せの手段だとは思わないけど...自分の女に何でももっとしてやりたい気持ちは常に同じだから...

ヨンウン : (穏かな目で笑う) あなたは一体どこから来たの?どの星の国で教育を受けて来たの?

ギョンミン : B-612。

ヨンウン : え?

ギョンミン : (黙って笑う) あまりにも老けてしまった王子...

ヨンウン : (考えて笑う)プブ- 老けてしまった幼い王子だって。ククク...

ギョンミン : (そっと笑ってから、がっくりする) ウ~~ 恥ずかしい会話....






(原作出処: sonkhj1116さんのブログ


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