いなかの猫の天邪鬼部屋

第5話

第5話 愛

三つの愛、三つの話


愛の種類は本当に多様だ。
男女老若、国と国、人種、人間と動植物を超越して愛という感情は全ての所に広がっている。

01.父と息子:ド・マンフィとド・ジェミョン

ジェミョンは幼い頃、父ド・マンフィに手を引かれ、ローマ字も知らず、一人きりでLA行の飛行機に乗った。彼はLAで父の友人の助けで幼い年齢で 弾丸が降り注ぐ環境 で少々(?)乱暴に育ち、弁護士資格を取得し、マフィア達の弁護を担当して暮らしていた。
ジェミョンにとって、父についての記憶は幼い頃に空港で自分を見送っていた瞬間だった。幼い心で、自分を置いて空港を立ち去る父の姿を悔しく最後まで見守っていたが、 要所要所で振り向いて去って行った、そんな父の後ろ姿、それが父についての記憶の最後 だった。
そんなジェミョンだが、父が死んだという事実をムンホから伝え聞いて、再び韓国に戻って来る。
ジェミョンが韓国を離れていた16年間の空白は、血を分けた父の死にも鈍感にさせるものなのか?
葬儀を執り行う始終、ただ無心に席を守っていたジェミョンは、短い最後の挨拶として、 ただ'Bye' という言葉を残すだけだった。父の葬式が終わった後、何でもないように女と一晩を過ごす彼にとって、父の死は、ただ女を誘惑する対話の手段の中の一つだった。
だが、一晩の楽しみも束の間、ジェミョンは翌日の朝、取り落とした財布の中から はみ出した父の写真を見て、何だか分からない空虚感 を感じる。
葬式が終った後、時間は瞬く間に流れて行き、ミューズで仕方なく時間だけ過ごしていたジェミョンは、ウンスから 父の遺品 を受け取る事になる。
彼女が置いて行った父の遺品を一つ一つ見ていようとすると、父の深い愛も、自身が感じていた正体不明の空虚感の理由も、分かるようになる。
表面では素振りを見せなかったが、ジェミョンは警察署にも訪ねて行き、父の死について問い質してみたが、証拠も事件現場も何もなくなっていて知る事は出来ないという答えだけ戻って来た。
この満たされない空虚感をどうすべきか。ジェミョンは決心する。
悔しく死んだ父の REVENGE(復讐) をすると。

02.男と女:キム・シンとソ・ギョンア

'幸せだった過去の結晶体、だが再び取り戻せない。'
ギョンアにとってキム・シンの定義 とは、これではないだろうか。
出所後、兄嫁のミョンソンと姪達の前に現れたシンは、日常の中に溶けていたギョンアとの思い出と、分別なくギョンアはいつ来るのかと聞く姪達を見て、胸を詰まらせる。
シンは自分の借金を返すために花柳界に進出したギョンアを訪ねて行くが、ギョンアはシンを冷たく責め立てる。
ギョンアは、シンだけはこれ以上傷付く事なく、自分とは別に幸せに生きる事を望む。
だがキム・シンはそんなギョンアを理解出来ず、花柳界から抜け出して自分と以前のように幸せに暮らそうと言うが、ギョンアは金がなければ自分とは付き合えないと、冷たく背を向けるだけだった。
シンは、金があれば付き合ってあげるというギョンアの言葉に、ジュンホの助けを受けて、以前自分に金を貸していた私債業者が運営する不法賭博場をかっさらう事にする。
ここで私たちは、一つの疑問に終着する。
このドラマでシンが賭博場をかっさらう行為は犯罪であるにもかかわらず、とてもシンプルに描かれるが、悪事を働いて稼いだ金は、盗みによる金にもなるが?シンにそれほど内的葛藤がなく、むしろ面白くスピーディーに描かれた点は独特だが、一度位は考えるに値する問題だ。(殺人をした者を代償として殺してもいいのかという問題と違わないのでは?)
再び内容に戻り、賭博場から盗んだ金を持って、シンは再びギョンアを訪ねるが、ギョンアはもうゴールデンクロスのジェニーでしかなかった。シンと一緒に昔に戻り、畑の草取りをし、たい焼きの商いをして、一時は幸せに暮らしても、その次にはどうするのかというギョンアの冷たい言葉にシンはすぐに答えられない。
金が無くても幸せだった彼らは、金のために遠ざかり、金のために幸せになれない関係になってしまった。
そして、そんなギョンアのそばにいるチェ・ドウの姿を見て決心する。
自身の状況をこんなふうにしてしまったチェドンに 復讐 しようと。

03.友達と友達:ド・マンフィとパク・ムンホ

二人の人間がいた。一人はある巨大会社社長の影武者、そして一人は稀代の詐欺師だった。彼らがどうやって友達になったかは知る事は出来ない。だが、この二人は真の友達だった。
時間が流れ、ムンホは精巧な詐欺から足を洗って音楽喫茶店を運営していた。そしてマンフィは依然として影武者稼業をしていた。
そして、そんなマンフィに一つの気晴らしがあったが、それはムンホに電話を掛けてブラームスの音楽を聴く事だった。
その日も無事にチェ会長の任務を終え、ムンホが掛けてくれるブラームスの音楽を聴きながら家に戻って行っていた時、ドウの命令によってケイに殺害される。
受話器越しに状況を、おおよそではあるが聞く事になったムンホとギョンテは、マンフィの死に不審な気持ちを隠せず、証拠がないという理由でただ事故死として処理してしまった警察の無責任な捜査に憤怒する。数十年を会社のために子供を見送ってまで影武者として生きて来たド・マンフィの嘘のような死が、こんなふうに虚しく終わってはならないと。
生きていて、自身の死を自分の事のように辛く思う友達を持っている人はどれくらいいるだろうか?そういう意味で、ド・マンフィは虚しい生を生きたのではないだろう。少なくともマンフィには、自身の死を自分の事のように悲しみ、憤怒する友達がいるではないか。
また、 ド・マンフィの死は、各々のあまりにも個性的なシン、ムンホ、ジェミョンを団結出来る始発点を 作ってくれた。
一緒にするにはあまりにも個性が強い 4人の男達だが、内心に抱えた各々の愛という感情がどんな化学作用を起こして 、チェドン父子にどうやって復讐するのか、期待して見る。



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