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Innerview-インナービュー 内側から見た世界
ポジティブとネガティブ
(質問)ときどき、あなたとともに座っているのはまったくの喜びです。全身がうっとりするような不思議な感覚に満たされます。それは絶頂も底もないサイレント・オーガズムのようです。けれどたいていの場合は、うずきや痛み、思考があまりに忙しく感じられて、ここにいられないほどです。自分自身にくつろぐことも、そのままにしておくこともできそうにありません。それから私は無意識に抵抗しているのではないかと本当に心配になってしまいます。私が闘っているのか、それとも何なのか言っていただけませんか。もし闘っているのなら、何のためなのでしょう。
(OSHO)ヨガ・スッダ。「ときどき」起こっていることは、ますます起こってくるだろう。あなたの力点、あなたの注意力は起こっていることに向けるべきであって、起こっていないことに向けられるべきではない。あなたは根本的な法則を理解しなければならない。それは注目は栄養だということだ。
あなたの質問は「ときどき、あなたとともに座っているのはまったくの喜びです。」なぜ、ときどきなのか?―私と座る喜びがたった一度だけだったとしても、あなたをそんなふうに喜ばせ、安らがせ、くつろがせる、その出来事にすべての注目を注ぎなさい。たまにはマインドが「うずきや痛み、思考があまりに忙しく感じて、ここにいられないほど」ということもあるだろう。それは自然なことだ。それは古い習慣。おなじみのことだ。ゆっくりと落としなさい。こうしたうずきや痛み、そして思考はあなたの古い習慣だ。
ときどき、あなたが昔ながらの構造から大空へと抜け出たことのほうが奇跡なのだ。ただこうした瞬間にもっと注目しなさい。滋養を与えなさい。味わいなさい。そしてそれが起こらなくても、心配するのはよしなさい。ただそれは昔からの習慣だということを覚えておけばいい。―けれど、少しも注意を向けてはならない。悩むことはない。それはまったく人間的なことだ。何世紀もの間、数多くの人生で、私たちは惨めさ、痛みや苦しみのほかには何も知らなかった。当然それらは私たちの無意識の奥深くにまで入り込んでしまっている。
あなたの中で起こっていることに闘いなどまったくない。それはただ古い習慣があなたを乗っ取っただけのことだ。覚えておくべきだ。「それはただの習慣であって、私はそれにはかかわったり、悩んだりしない」と。そのままにしておきなさい。すぐにそうした古い習慣は木から枯葉が落ちるように落ちるだろう。
実際、何も問題はないようだ。ただあなたが自分の習慣に、無意識の堆積物に気づいていないというだけのことだ。それらが顔を出したのはよいことだ。というのも、それがそれらを取り除く唯一の道だからだ。抑圧してはならない。でなければそれらは現れつづけることになる。注目してはならない。でなければ飢死させるべきものに滋養を与えることになってしまう。
焦点のすべてを、あなたに起こっている美しい瞬間に、オーガズミックなスペースに向けなければならない。それらにあなたのエネルギーのすべてを満たしなさい。そうしてゆっくりゆっくりと、至福に満ちたものが苦悩に勝ち、エクスタティックなものが苦悶に打ち勝つのは絶対に避けられないことだ。―あなたがもっと苦悶に注目すると決心して、エクスタシーを当然のものと受け取らないかぎりはだ。そうなると困ったことになる。
だから、ひとつだけ覚えておかなければならないのは、あなたにオーガズミックな喜びを与える、そうした瞬間に注意と愛を注ぎ、喜び感謝することだ。他のことについては話すにも及ばない。それらに来させなさい…それらが表面化したのはよいことだ。
ここで三つのことができる。それらを抑圧するか―そうするとあなたはそれを取り除けない。それらはまたやって来る。―あるいはそれらに栄養を与えるかだ。そうするとそれらを強くして、オーガズミックな瞬間はますます短く、少なくなってしまう。
三番目は、それらを抑圧することも、注目もしないでいることだ。ただ受け入れなさい。それはあなたの過去だ。それは死んでいる。それはひとりでになくなるだろう。それと闘いさえしてはならない。なぜなら闘いとは抑圧の別の呼び名だ。それに闘いは注目を与えることになる。
若いスコットランド人、サンディ・マクタヴィッシュが休日にロンドンに出かけた。彼が戻ってくると、友人のハミッシュがどうだったかを尋ねた。「申し分なかったよ。」とサンディは言った。「けど、あっちにはおかしな連中がいるんだ。」
「そりゃ、何者だ?」ハミッシュが尋ねた。
「そりゃぁな」サンディは言った。「ある夜、とても遅くにだ。夜の2時くらいにちがいない。男がやってきてドアをバンバン叩くんだ。それでそいつはえげつない調子で怒鳴ったり、叫んだりしやがるんだ。―朝の2時にだぜ。」
「それでおまえはどうしたんだ?」ハミッシュは尋ねた。
「別に何もしやしないよ。」サンディは言った。「俺はただ静かにバグパイプを吹きつづけたのさ。」
ちょっとした気づきで、すべての問題がとても簡単に解決される!
だがマインドの性向はネガティブだ。―それはスッダ。あなただけではない。それは誰もが覚えておくべきことだ。マインドにはネガティブになる傾向がある。というのもマインドのバランスはネガティブの方が大きいからだ。あなたの苦しみは長く、苦痛は数多く、悩みはひどすぎて、失敗は数え切れない。
喜びの瞬間を数えたら、あなたは驚くだろう。一生のうちに人は1 0回も喜びの瞬間を見つけられないだろう。それは指で数えられるほどだ。だが惨めさの話しを聞くと、とても長い。それが人の人生のすべてだ。―70年にも及ぶ、長い惨めさの物語だ。
そして数多くの過去生を考えてみると…そうした人生でも同じことだ。当然、ネガティブはあまりにも重くのしかかる。それこそ山のような重荷だ。広大な闇夜があなたのまわりを覆っている。そして、あなたの喜びとは何なのか?―深い闇の中にちらほらと光る蛍にすぎない。当然ながら、あなたは知らず知らず、無意識のうちに、ネガティブにより注意を向けがちになる。ポジティブに注意を向けはしない。ポジティブはあまりにもちっぽけなので、これっぽちもあなたに影響を与えなかった。
このネガティブな習慣のために、些細なことがとても大きくなってしまい、エネルギーがポジティブへと流れるのを妨げる。私はあなたに注意のすべてをポジティブへと向けて、ネガティブなものは無視してもらいたい。それがゴータマ・ブッダの勧めていたことだ。
ネガティブを無視することへの仏陀の言葉はウペクシャだ。それはとても美しい言葉だ。無視というのがウペクシャの文字通りの訳だ。だが何か途方もなく価値あるものが失われている。それを説明しなければならない。ウペクシャとは無視することだけではない。何かを無視したとしても、無視することにおいて注意を向けてしまう可能性がある。無視はしていても、あなたは注意を向けてしまう。あなたは誰かを見ないかもしれないが、あなたは見ないようにしている。誰かと話しはしないかも知れないが、あなたは抑えている。話そうと抑えようと同じことだ。
ウペクシャとは、あたかもネガティブは存在せず、あたかもひとりでに消えていく影のように…まったく注意を向けないことだ。あなたは自分の影に注意を向けたりするだろうか?一日中それはついて回っているが、あなたは少しも注目したりはしない。それがウペクシャだ。
イベンザー・マクタヴィッシュは近所でもっとも気難しい農夫として知られていた。ある年、マクタヴィッシュのリンゴの出来が格別によかったので、彼も文句は言うまいと隣人たちは決め込んでいた。
「リンゴの出来には満足しているでしょう。」と隣人は言った。「ほとんどひとつ残らずすべてのリンゴが完璧な出来ですよ。」
「だろうと思うよ。出来はいいさ。」マクタヴィッシュはしぶしぶ答えた。「けど、どうしたらいいんだ?豚に食わせる腐ったリンゴがないじゃねぇか。」
これがネガティブなマインドの性向だ。たとえ楽園にいても、あなたは数多くのあやまちを見つけだすだろう。ネガティブなマインドにかかれば楽園は楽園ではなくなる。それは地獄になる。心理学的に言うと、ネガティブなマインドが地獄で、ポジティブなマインドが天国だ。
…すべてはネガティブにあまりにも注意を向けて、意識がネガティブに向かうのを許すかどうかにかかっている。あなた方の聖者はみなネガティブだ。あらゆるものを非難することが彼らの職業のすべてだ。感受性がなく、絶えずネガティブな何百万もの人々がいる。彼らはどこにも何もよいものを見られない。たまに何かよいものに出会っても、彼らはまったく無関心に通りすぎる。彼らは薔薇を数えない。刺ばかり数えている。ものごとを否定的に見ることに慣れすぎていて、どこにもどんな美を見いだすのはほとんど不可能になっている。すべてがまちがっている。当然ながら、すべてがまちがっていると思う人は、すべてが間違った、苦しみの、惨めさの、痛みの、悩みの世界に生きることになる。
サニヤシン(OSHOの弟子)はゲシュタルト(形態、ものの見方)を変えなければならない。
ポジティブなものを、美しいものを、見つけようとしなさい。そうすればポジティブなものに、美しいものに、幸せなものにあなたは囲まれるだろう。私は世界にまちがったものがないと言っているのではない。薔薇の茂みに刺がないと言っているわけではない。それは力点の問題だ。薔薇を見たなら、あなたは歓喜に包まれて刺のことなど気にしない。だが、あなたが刺ばかりを見ていたら―そして見るだけでなく数えるなら―あなたの指は血まみれになってしまい、その痛みのせいで薔薇のことをまったく忘れてしまうだろう。
生はポジティブとネガティブとの間に完全にバランスが取れている。さぁ、どちらの側にいたいのか―天国か地獄か―はあなたの選択だ。あなたがどちらにいたいとしても、人生のあらゆる瞬間にそれを見出そうとしなさい。そして何かポジティブなものを見いだしたときにはいつでも、あなたのすべての注意と愛をそれに注ぎなさい。そうすることで、それは育まれ、人生の中でますます大切なものとなり、あなたの存在の中にますますスペースを持つようになる。
ネガティブには完全に無関心のままでいなさい。私はそれがないと言っているわけではない。それはそこにある。しかも、それを必要とする人たちがわずかにいる。少数の人たちはネガティブとあまりにも恋に落ちていて、もしネガティブがなければ彼らはまったくの苦悩から死んでしまうだろう。薔薇しかなくて刺がなかったら、どうすればいいんだ?誰もがとても美しく見える。何も醜いものはない。すべてがそんなにも正しくて、何もまちがってはいない…彼らは存在への興味をすべて失ってしまうだろう。彼らの唯一の興味はネガティブだ。
だが、両者がいる。世界にはポジティブ思考者がいる。―特にアメリカには。―彼らは「ポジティブについて考えつづけなさい。というのもネガティブは存在しないのだから。それはいつもポジティブだ。ネガティブはあなたの想像だ。」と言う。
私は彼らに同意しない。ネガティブはあなたの想像ではないし、ポジティブもあなたの想像ではない。それらは両方とも完全なバランスをもってそこにある。選ぶのはあなた次第だ。
…あなたは両方ともがある世界、存在に生きている。それはまったくの必要性から対極のバランスを必要としている。だが、あなたを惨めにするものの心配をする必要はない。
花を選び、刺はほうっておきない。
OSHO:Satyam Shivam Sunderam
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