緋ノ月 -■■衝動-

緋ノ月 -■■衝動-

『■』





「もぅたくさんだ…。

何も考えたくない…。」

夜は決まって絶望を連れてくる。


箱庭で生きてきた私にとって「 」は唯一だった…。

心が壊れていくのが解る。
ハハハ…
瞼が熱い…
血管が膨らんでいる。
■■はいらないから早く捨てなければ。
髪は抜け落ち、皮膚が剥がれていく。

「…痛い…」

聞こえるはずのない裏切りの音は心深く不快に響く。

どうしてこうなってしまったのだろう。
終焉が流れ出したのはいつだったのだろう。
…考えても私にはきっと永遠に解らない。

抜け殻のようになった私の頭では
「 」への気持ちさえ思い出せない。
忘れることは無いはずなのに。
私の心がどこかで「 」の存在を否定する。
寡黙の意味はすなわち…
“アイ”が“哀”だと気付くのが怖かった。
気付きたくなかった。
その記憶も、もうすぐ沈む。
誰も覚えていない…全てが偽りに変わる。



■■■■■■■■■■



あれ?
何で、水鏡に私の姿は映らないの?
何で、こんなに口がカラカラなの?
何で、耳鳴りがやまないの?

底が深い 空は低い
そこに不思議は感じないけれど…

一体何が憎いのか…
何故、笑っているのに悲しいのか…
解らない…
解らない…
解らない…


「目さえ見えなければ

耳さえ聞こえなければ

楽になれるのでしょうか。」


ほらまた、絶望が…。

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