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2005年11月01日
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カテゴリ: 食文化

 実は、紅茶も含めた茶は、スパイスと並んで、世界を激動の渦に巻き込んだ農産物だったのです。まず、紅茶といえばイギリスというイメージですが、ご存知のとおりイギリスが原産ではありません。茶葉の原産地は中国で、大航海時代の1510年ころにポルトガルによってヨーロッパに持ち込まれました。不思議なことにシルクロードによる陸路では茶葉は運ばれていなかったようです。しかし最初に茶葉が運び込まれたポルトガルでは、たいして話題になることもなく忘れられました。やがて、ポルトガルを戦争で破ったオランダが、海洋貿易の利権を握り、1600年代に入ると中国の茶葉がオランダ本国に持ち帰られ、王侯貴族にエキゾチックな健康飲料として愛飲されたようです。そのオランダもイギリスに戦争で敗れ、イギリスが海洋貿易の主役となり、東インド会社が設立され、多いに貿易が振興されました。イギリスでもお茶は人気を博し、中国からどんどん輸入されましたが、中国は茶葉の代金として大量の銀を要求したため、イギリスは銀の国外流出に苦しむことになりました。そこで銀に変わるものとして、植民地のインドで生産したアヘンを茶葉の代金としたのです。結果、中国はアヘン中毒者であふれ大変なことになり、中国とイギリスは戦争になりました。これがアヘン戦争です。この戦争はイギリスの勝利に終わりました。その後イギリスは、インドのアッサム地方に野生の茶の木が自生しているのを発見し、大量生産に成功します。もちろん、この影には植民地支配とか奴隷制度なども隠されています。さて、実はここまでは緑茶の話です。では、紅茶はというと、茶葉を船で運ぶ時に、赤道付近の高温高湿な海域を通過する際、自然に発酵し、紅茶になったという説がありますが、これは誤りです。茶
葉は、もともと発酵酵素を内部にもっており、緑茶にするためには摘んですぐ加熱し、発酵酵素を破壊しなければなりません。また、加熱しないでほったらかしで発酵させたのでは美味しい紅茶にはなりません。茶葉は産地で摘んだ直後の処理で非発酵茶(緑茶)と発酵茶(烏龍茶、紅茶)に分かれてしまうのです。紅茶は、中国の福建省で作られていた半発酵茶である烏龍茶の製法が、全発酵に進化した物と言われています。烏龍茶もイギリスに輸入されていて、肉料理の油を流して口をさっぱりさせてくれるので需要はあったようですが、あまり質の良くない物も多く、主流にはなりませんでした。紅茶用には良質の茶葉が使われていたことや、色、香りがイギリス人の好みにあったのでしょう、すぐにイギリス国民に受け入れられ、世界初の喫茶店が生まれるなど、紅茶文化の花が開きます。19世紀に入ると、茶葉を運ぶのにもスピードが要求されるようになり、アメリカが高速帆船「ティークリッパー」を開発し、貿易において力をつけていきました。ちなみに、アメリカは、もともとはイギリスの植民地だったのですが、独立戦争のきっかけとなったのも、イギリスが高い値段の紅茶をアメリカに押し付けた事らしいです。一本の茶の木から、こんな人類の歴史を大きく動かす、ワールドワイドな物語が展開したのですね。





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最終更新日  2005年11月01日 19時37分26秒
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