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2005.08.05
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カテゴリ: 帝国
どうも寝くぢひたらしいなめくぢ。胴体の肋骨のあたりがからだをよじるごとすこし痛む。深夜に起きて仕事のつづきをするつもりが、どーっと寝てしまった。前後不覚、うーむ不覚。花火を見に行っていたらどうなっていたことか。いまごろはブラックバスの餌になって湖上に浮かんでいたかも知れない。まだ死ぬのははやい、もうすこし時間が欲しい。それで珈琲を点ててこれから全身を立て直す。爽やかな朝だが、やや湿っぽい。クーラーを入れる。高原の風が高原の谷間の渓流のうえのあばらやの一角にながれる。青い空がうすい白いすじ雲を溶かしている。カーツ大佐の闇の中の目を思い起こしながら、日本では2002年2月2日から劇場公開された映画『地獄の黙示録』特別完全版のラストの長い台詞を思い起こす。どこかに当時のメモがあったはずだ。話はそこからしかはじまらない(カンヌ映画祭で公開されたのは2001年5月。N.Y.9.11事件の直前になる)。

それは完全版であらたに追加されたシーンからはじまる。幽閉されたウィラード大尉のまえで、1967年9月22日号・第90巻12号の週刊誌TIME(タイム)の記事「戦争の見通し」をM・ブランド演じるカーツ大佐が読み上げる。メモにしたがい再現してみよう。

「…“米国民はベトナム戦争のゆくえに悲観的である” “しかしかつてない規模で行われた状況調査の結果によると、2年前の兵力増強いらい現地での米軍の優位は目に明らかである。ホワイトハウスの見解は以下の通り” “敵はいずれ戦闘不能の状況におちいるだろう”…」「大嘘だ」「“ジョンソン大統領は米国民がこの楽観的見通しを拒否することを懸念、報告書の公表を思案中” “しかし大統領はこの結論に気をよくし、報告書作成者たちにその内容を折に触れ話題にせよと指示した” “タイム誌 日付不明” “ロバート・トンプソン卿” “マラヤ連邦の共産ゲリラ掃討” “現RAND社コンサルタント” “ニクソン大統領の依頼でベトナムの現状を調査分析、先週の卿の報告によると状況は好転の兆し。光が見えてきた、と”」「きみに光が見えるか?」(ウィラードに問いかける)。

つづくシーン。檻から解放されたウィラードの前で詩の一節を読み上げるカーツ。

虚ろな人間たち(we are the hollow men)
互いにもたれあってる藁人形(we are the stuffed men)
頭の中は藁が詰まってる(leaning together at peace filed with straw.)

ひからびた囁き声はひくく
すべて無意味

破れたガラスのしたを走る
ネズミのあし音…

(「超越してる」とデニス・ホッパー演じるカメラマンがウィラードにささやく)

輪郭のない形
色のない影
麻痺したちから
動きのない身振り…

(「何を言ってるかわかるか?」とカメラマン。「ごく基本的な弁証法だよ。整数だけで分数なんか関係ない。宇宙旅行に分数が要るか? 宇宙着陸に4分の1とか8分の3とか言うか? 金星にゆくときは弁証法物理学が役に立つ、弁証法理論には“愛”か“憎しみ”しかない」)

「ノラ犬め! 貴様はのら犬だ!!」とカメラマンにむかい叫ぶカーツ。「これがくそったれなこの世の終わり方だよ、バーンとじゃあなくメソメソと…オレもおさらばするよジャック」とカメラマン。

ウィラードの独白「…彼に会えばすぐ任務を果たせると思ってた、だがだめだった、数日が過ぎた。監視もされず自由だった、おれは逃げなかった。彼はおれのこころを見通していた。将軍たちがおれの見たものを見たら、彼を殺すだろうか、もちろん殺すだろう。彼の家族がいまの彼を見たらどうするだろう、彼は家族を捨て自分をも捨てた。彼ほど苦悩に引き裂かれた男をおれは知らない…」 

こうして、この告白にかぶるように、カーツの最後の、やや長い台詞がはじまるわけである。



おおくのひとはカネで自由が買えると信じる。嗚呼カネさえあれば!…と。もちろんそのようなことは妄想だ。カネがもたらすものは「不自由の反作用としての自由の幻影」にすぎない。しかしひとはつづけておもう。ああカネがあれば無理も利く、好きな人とも自由に会える、家族をしあわせにも出来る、ふんだんに好きな時間を生きることも出来る、そうじゃないのか? もちろんそうじゃあない。カネは自由を保障しない、カネのちからはそう見せかけるが、それらは欺瞞でしかない。しかし人びとは信じない。資本主義経済こそが自由をもたらす、共産主義は死んだ。イデオロギーがこの惑星のうえを真っ二つに割って冷戦を演じさせた。演じた人間たちはそれぞれに何を信じたのだろう?演じさせた側はいったいなにを期待したのだろう。20世紀の最後の10年間にはじまったふしぎな戦争。湾岸戦争と中東危機とアフリカとユーゴとボスニアにおける凄惨と無惨。隠された悲惨。陰謀だらけの世界秩序。骨抜きになった国連、え?!さいしょからだって??そうかも知れない。死者の数で悲惨の度合いを測ろうとする歴史家たち。『地獄の黙示録』がはじめてカンヌ映画祭に登場したのは1979年5月19日。ロスとニューヨークの劇場でロードショー公開されたのは1979年8月15日。日本で公開されたのは翌1980年2月16日だった。そのときM・ブランド56歳。そのすこし前、1972年には『ゴッドファーザー』でマフィアの大ボス、ドン・コルレオーネを演じ二度目のアカデミー主演男優賞を受けるが、ブランドは受賞を辞退、ネイティヴアメリカンの虐待を非難する声明を出している。we are the hollow men we are the stuffed menか。なるほど、と映画の中のカーツの読み上げる詩を勝手にわたしは読んでしまう。hollow men stuffed menすなわちHolly-wood menかアと。そんなことは断じてある、フランシス・フォード・コッポラとブランドなら。そう思う。

ふた仕事を終えてまだ食事前。黒猫コテツが膝に乗ってみゃあみゃあとじつにやかましい。咽をさするとゴロゴロと咽を鳴らしてよろこぶ。おまえも野生を忘れたらアカンぞ、楽天な阿呆になったらアカンぞ、と言い聞かす。みゃあ!! わははは。さてそれで、マーロン・ブランドのつづき。彼の出演作では『ゴッドファーザー』パート1から3までも好きだ。『ラストタンゴ・イン・パリ』(1972)もなつかしい。そして『波止場』(1954)、『片目のジャック』(1960)と『蛇皮の服を着た男』(1960)だったか。とくに後者はなぜだかつよく印象に残っている。

さて。M・ブランドのカーツ大佐にもエンディングがちかづいた。

我々は若者に殺人を教える、だが彼らの上官は戦闘機の機体に“ファック”と書くことを許さない。“ワイセツだ”と …地獄だ、地獄の恐怖だ」ウィラードに雄牛のように山刀で屠殺される大佐の、最後のことばが、これであった。そうしてこれらすべては、なぜだろう、映画冒頭の、ドアーズの唄う「ジ・エンド」の歌詞とみごとに響きあっているのであった。以下はその日本語訳だ。


美しい友よ
これで終わりだ
ただひとりの友よ

築きあげた理想は
もろくも崩れ
立っていたものは
すべて倒れた

安らぎは失われ
驚きは去って
もう二度と君の瞳を
見ることはないだろう

こころに描けるだろうか
限りなく自由なものを
あえぎながら
見知らぬ人の助けを求め
絶望の大地をさまよう

果てしない苦悩の荒野に
すすむべき道を失い
すべての子どもたちは
狂気にはしる

すべての子どもたちは
狂気にはしる
夏の雨をまちわびて…。

(2005.08.06の日記へつづく)





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Last updated  2005.08.06 01:09:42
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