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石坂千穂つれづれ日記
教育委員の選任に関する質疑と知事答弁
石坂 ちほ
教育委員の選任にあたって何点か知事に質疑を申し上げたいと思います。
第1点目ですが、先ほどから質疑の中でもふれられておりますが、いったん否決になりました前島章良(のりよし)さんを教育委員にという提案に対し、再度のご提案でございます。何故、教育委員に再度、前島さんかその点についてお伺いをしたいと思います。
平成14年1月施行の「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の一部改正では、教育行政に対する住民の関心や要望の多様化を踏まえて、保護者や地域住民の多様な意向をより一層的確に教育行政に反映させるために、「教育委員の年齢、性別、職業等に著しい偏りが生じないように配慮するとともに、委員のうちに保護者である者が含まれるように努めなければならない」という規定が追加をされています。今、全国的にはこの規定に基づきまして、多くの県で保護者は教育委員に就任することが増えているとお聞きをしております。
前島さんは「自分と同じ苦しみを味わう人を世の中からなくしたい」という思いから、ボランティアでいじめによる被害者の救済活動を行なってきている方であり、年齢的にも今までの長野県の教育委員の中ではお若く、子どもたち、そして、保護者の苦しみや悩みをまさに肌で知っている方と私は思います。子どもたちや保護者の痛みを知る前島さんは、保護者の声を生かすという点から見ると、これ以上の方はないと私は考えるわけですが、改めて、あるべき教育委員像について、そしてこのこととの関わりで何故再度、前島章良さんかこの点についての知事のお考えを第1点目にお伺いをしたいと思います。
2点目につきましては、ただ今、高見沢議員の質疑の中でもふれられておりましたし、それに対する知事のご答弁の中でが、報道によりますと、5月14日に議員の有志のみなさんが開催をした「前島章良さんと教育行政を考える学習会」これにともなうアンケート結果をホームページで拝見しますと、県民の多くのみなさんから改めて、新しい長野県の教育委員に前島さんをという知事の提案に対しての共感の声が広がっていることがうかがい知れます。このアンケート結果のみならず、前島さんの教育委員への提案が去る2月県議会で否決された以後、私のもとにも多くの県民のみなさんからさまざまなご要望がよせられております。ご意見が寄せられておりますが、当然これは県当局や知事のもとにも寄せられていると思います。知事は、このような今回の提案、否決、そして再提案に至る過程の中で、県民世論についてどうに受けとめられ、今回の提案にこれをどのように背景として配慮されたのか2点目としては、県民世論の問題についておうかがいをしたいと思います。
3点目につきましては、それぞれの議員から質疑の中で言われておりました、何故女性でない前島さんを登用されるかという点について私も女性でありますので、申し上げたいと思います。私たちのこの長野県では議員の皆様ご承知のとおり、男女共同参画社会づくり条例が、条例としては全国残念ながら39番目でありますけれども、議会と知事部局が共同で作りあげたという点では全国3番目の条例を去る2月県議会で制定することができました。これまでに私たちは、努力をいたしましたのは、何を言ってもまず足元からということで、まず、県の職員の職場において実質男女共同参画が実現するように、幹部職員の登用などでも配慮をしてほしい、目に見えた成果をあげてほしいということを盛り込むことができたことを私は大変嬉しく思っております。この点に基づきまして早速この4月の人事では今までの常識では考えられなかった女性幹部の登用が現実に実現していることも大変嬉しく思っております。このことはもちろん今議論になっております教育委員にも当然適応していただきたいと思っているところですが、しかし、それは今回の前島さんの提案が女性でないからだめということには私は去る2月県会の賛成討論の中でもふれさせていただきましたけれども思っておりません。何故ならば女性委員の積極的な登用は当然のことです。それはこれから任期が切れる教育員の改めての選任や、今後の努力の中で近い将来必ずクリアーできることではないでしょうか。知事はこの点について教育委員会についても、今後の努力の中で必ず女性委員の比率を多くのみなさんの願いに応えて、また、長野県で制定いたしました、知事部局と議会がいっしょになって努力をして作りあげました男女共同参画社会づくり条例の精神に基づいてより近い将来にその姿に近づけていくそのご意志があるかどうかをお伺いし、合わせてそのこととの関連で今回の前島さんの提案は女性でないからと否定をするのにはあまりにも残念な、それをこえるお若い人材であると私は思うものですが、その点いかがでしょうか。それが3点目の質疑のお伺いしたい中身です。
4点目にお伺いしたいことは、法的な問題につきまして、高木議員、高見沢議員それぞれふれられておりました。ただ、2月県議会での否決の主要な中味が法的問題のみだったというふうにわたしは思っておりません。なぜならば賛成討論に私とともに、当時「無の会」の島田議員が立たれましたが、島田議員がじつに見事に法的には裁判係争中であることをもって公的な委員の選任の職に値しないということはまったくないことを見事に討論の中にふれられております。これは憲法に規定をされている事実です。日本国憲法第32条は、何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。さらに第16条では何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規定の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。つまり、裁判係争中の人物だからという理由で公的な職への選任を妨げられるということもないということを憲法が規定をしているわけです。先ほどからのご質疑を聞いておりますと、長野県教育委員という公的な立場に選任をされる、また、その具体的な候補者となっております、前島章良さんについて、人格・識見は素晴らしい人であることは認めるとお二人の方もおっしゃっております。何故そうであるのであれば、前島さんが教育委員になったからといってその教育委員としての公的な立場・職をあたかもかさにきて、それを圧力にかけて須坂市教育委員会に全く個人的な自らの裁判を有利に運ぶように、そのような行動や言動をとる人物だということを最初から決め付けるのでしょうか。人格・識見に優れた人であればこそ、また、先ほどから知事がご答弁をされておりますとおり、教育委員会の公正・中立の立場そして裁判の司法による公正的な処理このことをみなさんがお認めになるのであれば法的な問題はないと私は考えますが、あらためてこの問題についての知事のご認識をお伺いしたいと思います。
最後ですが、なぜこの時期の提案かという点については、多くのみなさんが疑問を呈している点でもあります。通常によりますと、選挙後の初めての臨時議会はスタートにあたっての人事案件、つまり議会の内部の人事的な問題をお互いの話し合いにより相談によって取り決め、スタートを切るということが常識になっております。その点では私自身もこの教育委員のじっくりした議論を、できることならば6月議会で他の案件と一緒に大きな活発な議論の中でよりよい方向を探っていくことができるならと願っておりました。しかし、そのような中でいち早くということでこの臨時県議会にあえてご提案されたその思いについてお伺いをしたいと思います。第1回目の質疑は終わります。
田中知事
まず1番目のご質問からお答え申し上げます。平成14年1月施行の地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正におきましては、教育行政に対する住民の関心や要望の多様化をふまえ保護者や地域住民の多様な意向をより一層的確に教育行政に反映させるためにも委員のうちに保護者であるものが含まれるように努めなければならないという規定が追加をされているわけでございます。これは、前議会においても繰り返しお話をしてきたことでございますが、まさに、子育ての世代まさに多感な時期の子どもとその喜びや悲しみを向き合っている方こうした視点の方が教育行政に関して議論を行なう教育委員会に私は是非とも必要であるとこうした点も前島章良氏を選任させていただきたいという強い私のお願いの一端でございます。その他、前島章良氏が大変に優れた人物であるということは縷縷申し上げてきたとおりでございます。
県民世論というものも先ほど、石坂議員のご質問に先駆けてアンケート調査の結果というものをご説明を申し上げましたが、私のもとにも多くの県民の方から、例えば駅頭等歩いておりますときに、あるいはタクシー等に乗りましたときに、運転手さんやあるいは歩行者の方からも前島章良さんの選任というものに期待すると言う言葉をかけていただいたことが幾度となくございます。
女性の登用という点に関しましても、これは石坂議員のご認識とほぼ私も同様の見解に立っているわけでございます。長野県もある意味では今までの人事のルールというものを良い意味で打ち破るという観点から今回多くの女性をそれぞれの責任ある立場へと登用をしてきております。教育委員に関しましても、この点は教育委員のみならず他の委員に関しましても同様の見解を持っているわけでございまして、これはおそらくは県民の皆様も今後県知事や県議会あるいはその他の公職の方を直接選挙においてお選びになる際にもこうした認識のもとで投票行動をなさるようによりなられると、このように私は期待しているところでございます。いずれにいたしましても、前島章良氏のまさに得がたきその人物という観点から今回ご提案をさせていただいているわけでございます。
裁判との関係という問題ということでございますが、私は繰り返し述べておりますように前島章良氏が長野県の教育のさらなる県民が願う改革のために不可欠な人物だとこのように認識をしての提案でございます。裁判をおこす、あるいは行政に対して不服審査をする、あるいは情報公開を求めるというようなことは決して行政との二項対立ではございません。行政で働く私ども職員も多くの職員に私は支えられ県民のために尽くしているわけでございまして、職員もまた一人のか弱き私家、けれども志高き県民でございます。そうした、県民によって構成される行政というものがよりその行政の職にあらぬ県民にとっての願いと一致していくことが望ましいわけでございます。こうした思いでおそらくは市民団体の方や環境団体の方、あるいは裁判をおこされる方、あるいは市民オンブズマンの方々も願いを持って活動されているわけでございます。こうした活動をそうした活動の行為のみをもって一概に否定をするということは市民によって構成されるべき行政というものに口をはさむということはいかがかという、ある意味では大変に言論封殺、あるいは基本的人権というものをも封じ兼ねない私は流れを感じるわけでございます。
ぜひとも、前島章良さんというその一人の確立した人間というものを直に皆様がお確かめいただいて、その上で私はご議決をいただきたいと切に願うところでございます。行政はまさに市民のためにあるわけでございます。その市民が感じるその必死のおもいでの打ち明けというのもを私たちがこれは教育委員会のみならず、とりわけ私ども知事部局、あるいはさまざまな司法の場も警察の場もそうでございます。市民の願いを耳を澄ませて聞き入れ、ともに憤りともに悲しみそして喜びをもたらすべき努力をすることが、公職にあるものの私は努めであろうと考えております。
さらにこの時期に何故提案かというご質問でございますが、これは先ほど監査委員に関しましては、臨時議会の場で今までの長野県においてもそのつど監査委員が選任されてきているということを申し上げました。良い意味でこれは前例として確立をされていることでございます。そして、教育委員にかんしましては10月の議会、12月の議会でも、10月に関しましては継続審議になり、12月に関しましては、皆様のご審議の状況を鑑みてある意味では私のほうから途中において提案を取り下げさせていただくという形でございました。これもある意味では、この委員の方に直接お目にかかってその人となりをお確かめいただきたいという私の願いが必ずしも叶う方向にはないという中での苦汁の決断でございました。2月の議会におきましてもその人となりを直接お確かめいただくということがないままに、残念ながら記名採決において否決という憂き目にあっております。まさに教育委員というものは合議であると先ほど申し上げました。その私どのも先輩たちが合議を行なう上でふさわしき人員として定めた人数を欠いた形が半年以上にわたって続くということはまさにこれは教育という多感な子どものためにあるものを議論する場として決して望ましき状況ではないわけでございます。
こうした中、監査委員に関しては臨時議会において以前から議決をいただくということがあり、教育委員に関してもこうした観点に鑑み今議会に改めて提案をさせていただいたところであります。どうぞ深いご理解をいただけることを切に願う次第であります。
石坂ちほ議員
ただ今お答えをいただきました件に関して再度三点について確認も含めてお伺いをしたいと思います。
知事の描く教育像、あるべき教育委員の像ということについては改めて認識を深めた思いがいたしますのでそれについては省きまして、今長野県が置かれております、とりわけ子どもを取り巻く状況との関係で女性委員の退任に伴う、その後の選任が女性でないことはおかしいと今なおそういうご意見があることに関連してですけれども、私も先ほど申し上げましたけれども女性でないからとそれだけで否定するのにはあまりにも得がたい人材という点が、ただ今知事にお答えをいただきまして私と知事の認識はほぼ一致しているかなと思われたわけですが、それとの関係で今日も例えば「飯田高校殺人事件」でご自分のお子さんを本当に不幸にも亡くされました小野寺仁君のお父さんをはじめ、長野市を中心、須坂市地域を中心といたします。不登校児の親の会の皆さんなど多くのみなさんが先ほど私も触れましたし、知事にもお答えいただきました新しく改正された地方教育行政の施行及び運営に関する法律の一部改正で、より子どもたちや親の思いが反映できるような教育委員会の人選、できることならば保護者の代表をという国の法律改正に伴ったその精神、それを汲んでいく上でも前島さんをという知事のご提案ですが、長野県は残念ながらさまざまな教育関係者や現場のみなさん、そして県民や保護者のみなさんの熱い思いや努力にもかかわらず不登校児は全国トップレベルでございます。そのように広がっていく深刻な状況の中でやはり教育委員会が一日でも早く正常な形でメンバーを揃え県民の思いに応える現場主義を貫く仕事をやっていただきたいと私は心から願っているわけでその点で女性でないからと否定するにはあまりにも得がたい人材、前島さんをさまざまな政治的思惑を離れて何よりも子どもたちの幸せのために一刻も早く選任をしていただきたいと思います。
お聞きしたいことは、何故この時期に提案をして、確認ですが欠員が続く不正常な教育委員会のこのような状態が一日も早く解決されることこそこのような子どもたちのおかれている現状や県民の思いに応えることだとその思いでこの臨時議会に提案をされたと受け取っていいのでしょうか、その点についてのご確認を、私の前の議員のみなさんもだいぶ長時間ご質問されましたので、私だけそれが阻まれることはないと思いますので、是非ご容赦をお願いしたいと思いますが、私は一点だけ確認をお願いさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。議長におかれましては、よろしく公平にお取り計らいをお願いいたします。
田中知事
先ほども申し上げましたように、教育委員の欠員が長きにわたって続くということはまさに県民にとっても、また多感な児童生徒にとっても、また教育関係者にとっても望ましいことではないと、なぜならばそれらの多くの識見を有する方々によって構成される教育委員会の活発な合議によって長野県の新しい教育の改革が進められるからでございます。
そして只今手元に資料がございますが、全国47都道府県にそれぞれ教育員会というものが設けられておりますが、そのうちで41名の方がまさに子育て世代の保護者の代表として都道府県教育委員会において活発な議論の場に参加をされております。私は、早期にその欠員という事態を解消するというような、言葉ではなくまさに子育て世代の気持ちというものを反映できる方に教育委員に加わっていただきたいと、そしてそのことはまさに極めて人生において困難というものと向き合い、困難というものを心に刻みながら他の同様の思いに悩む方々にも自分が尽くそうという大変に素晴らしいそうした慈悲の気持ちというものを自身の筆舌に尽くしがたい人生の困難、突如をしてあらわれたその困難を向き合ってきた方々こそは、その他の困難に関しても想像をし、またそのことに関してより的確な前を見通した助言及び活動ができると私は先ほど引用させていただきました新聞の記事とある意味では同じ思いで今回前島章良氏を選任させていただきたいとお願いを申し上げているわけでございます。
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