ストレンジャー(放浪者)

青より蒼くにて・・・



片思いの女の子にプレゼントを買う為に・・・

ペイ・ディ

給料袋を握り締めた少年は、

閉店間際の百貨店の宝石売り場に駆け込んだ

少年が選んだのは「トパーズのネックレス」

プレゼント用のラッピングを注文する時は、恥かしくて
うれしかった。

少年は、公衆電話で片思いの彼女を呼び出して、
プレゼントとをわたした。

少年は、ラッピングを開けて歓ぶ彼女の笑顔を創造した

ラッピングを開けて「トパーズのチェーン」を見た彼女は
(ナーニこれ、ダイヤじゃ無いの?いらないこんなの!)

少年は、途方に暮れてバイクを飛ばして、海に行った。

少年は、握り締めた手からトパーズを海に沈めた・・・

トパーズの青は、一層蒼く光ったように思えた。

蒼く光る海・・・

少年がトパーズのチェーンを選んだ理由は、青く輝いていたからだった。

本当は、片思いの彼女とバイクで海に行きたかった、しかし少年は、夏休み中は建設現場のバイトに夢中だった、それは自分へのいい訳だと分かっていた、彼女を誘い出す勇気が無かったからだ。

だから、少年の気持ちは自然に青く輝くトパーズを選んだ。

何処かで見た絵葉書かポスターか忘れたが、白い砂浜に透き通ったコバルトブルーの海、パームツリーが二本在り、その間にハンモックが架けてある。

少年は、その写真を思い出して選んだ。

トパーズを、海に返してしばらく経ち、彼女から突然連絡がきた(やっぱり彼方が好きみたい)と・・・

少年はうれしかった。

だが、口から出た言葉は(ゴメン今、付き合っている大事な人が居るんだ)
少年は、初めて嘘を吐いた。

それから少年は、ふたたびバイクを飛ばしてトパーズを返した海に出かけた。

その海は、何時もより清々しく蒼く輝いて見えた。



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