いつか見た青い空

いつか見た青い空

時が告げる十字架  前世の扉



所、内容は少し変えてあります。

私の主義、主張を押し付けるものではありません。

それでは、お楽しみください。

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愛知県豊橋市駅前のロータリーで待ち合わせをしている女性がいる。

彼女の名は 岡村美帆24歳、家事手伝いである。見た目は何処にでもいる、ごく

普通の女性である。

よく白石美帆に似ていると言われて喜んでいる。

AM10:00に大学時代の親友である,伊藤江美と待ち合わせていた。

約束より10分ほど遅れて合流し、近くの喫茶店に入った。

「遅れてごめん。やっぱり、遅刻したみたい」

開き直っている江美に

「いつもの事,気にしないよ」

美帆は笑いながらそう答えた。しばらく、雑談をした後,

「美帆の彼氏の事、信頼していいの」

江美はいきなり話を切り出した。今日,二人が待ち合わせたのは美帆の彼氏である

沖津直樹に霊視をしてもらうことだった。沖津直樹28歳、170センチ,68キロ,少し筋肉質である。

趣味で少林寺拳法を習っている。来年の春には二段の昇段試験を受けるつもりでいる。

沖津直樹と岡村美帆との出会いは、合コンで美帆が見せた女同士の旅行で撮れた心霊写真の

霊視がきっかけになった。間違いなく、その場所にはいなかったのに、人数は何人だったか、

どんなホテルに泊まったか等、言い当ててしまった。そして、美帆がもっとも驚いたのは,この一言だった。

「この写真に映っている右から2番目の女性って・・・今,生きてる?」

この一言に鳥肌が立った。この旅行の3週間後に自殺していた。原因は不明であ

る。美帆はなぜ、判ったのかを聞いてみた。

「俺にも判らない、子供の頃からの常識だったからね」

それが直樹の答えだった。

そんな、どこか不思議な直樹に興味を持った美帆は、いつのまにか好きになっていた。

彼は 力 と言うものを特別に思っていない。

彼にとって,死んだ者の気を感じる,見える,聞こえると言うのは、呼吸みたいな

もので、ごく普通なのである。子供の頃,悪戯をしすぎて夜,玄関から家を出され

た時,ガシャ,ガシャ,と音を立てて歩いてくる骨だけの人間を見たのが最初の

記憶らしい。彼は最初,怖い夢を記憶、と勘違いしていると思っていたらしいが,

両親が彼が子供の頃,外で大泣きして、驚いた父親がバットを手に持って表に飛び

出した,と言う話を聞いて真実の記憶だと確信したらしい。

その後,約10年ほど,霊体験はなかったのだが,中学2年生の時,霊感を高める

カードの練習をした。色々な図形をカードの裏から透視して言い当てるというもの

だった。この時は全く当たらなかったのだが,その日に住んでいる団地の階段にボ

ールを当てて遊んでいた。しばらく遊んでいるとあることに気づいた。

必ず2階の同じ場所でボールが止まってしまうのである。

「おかしな事もあるんだなぁ~」

と思いながらボール遊びをしていた。また、2階の同じ場所でボールが止まってし

まったので取りにいってボールを手につかんだ時,右側の壁から男性の顔が飛び出

てきた。驚いた彼は転んでしまった。急いで階段を降りていったその時,また,壁

から男性の顔が飛び出してきた。

この経験をきっかけに霊感がよみがえってきた。そして、二度と霊感が消えること

はなかった。

「江美が直樹に聞きたい事を教えて,私から話しておくから」

美帆は今夜,直樹に会って話をすると言う。しかし、江美は直接会って話したいと

言った。江美自身,霊の事に興味があり,色々と聞きたいことがあるという。

「直樹も用件が判らないと遭ってくれないよ。」

確かにその通りである。逢いたいと言う人のほとんどの人が

「私に何か霊がついてる?」

と聞いてくる。こんな質問には答えたくないのである。本当に理解できない現象に

悩まされている

人にのみ、この力を使いたいと思っている。江美はしぶしぶ話し始めた。

「私・・・毎日が楽しくなくてさ・・・希望がないんだ・・・」

「ん~ん、頼んではみるけど,会ってもらえるかどうか、わからないよ。霊がどう
こうじゃなくて,心の問題だと思うよ」

「私もそう思うんだけど,少し前に読んだ雑誌に前世の事が書いてあったんだ。私
にも何か前世の影響があってこうなったのかなぁと思ってるんだ」

本音を言うと美帆は困っていた。普通の知り合いなら断るのだが,親友の江美の事

なので、どうにかしてあげたいとは思うが,果たして直樹がこの程度の事を霊視し

てくれるかどうか自信がなかったのである。

「うん、わかった。今日の夜,直樹に遭うから、遭ってもらえるように頼んでみる
ね」

この後、食事をしながら,話を聞いて別れた。

この話がキリスト教会の力を借りなければならないなどと二人とも思っていなかっ

た。

季節は春,まだ寒い日が続く3月の出来事である。

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