いつか見た青い空

いつか見た青い空

新しい事実


28歳、サラリーマン。趣味は少林寺拳法,ドライブ、強い霊能力を発揮できる。沖津家は隔世遺伝で強い霊能力を持った男子が生まれる。

岡村美帆  
24歳、家事手伝い、沖津直樹の恋人。趣味は料理、物凄いやきもち焼き。直樹の能力を誰よりも理解している。

岡村紀子  55歳。美帆の叔母。岡村家の本家を守っている。霊感が強い。

司 洋子  24歳、岡村紀子の娘であり,美帆のいとこ。霊感はない。

司 光   5歳の女の子、直樹に匹敵する霊能力を持つ。
(ひかる)

岡村 涼  28歳。美帆の兄。

沖津幸吉  75歳、直樹の祖父。直樹の数倍の霊能力の持ち主

七人刀   以前、直樹と戦った女祈祷師の霊。光を守護している.
光は泣き虫のお姉ちゃんと呼んでいる。


直樹の運転する車は美帆のおばあちゃんの家に向かっていた。

「直樹、間に合うかな。変な霊と七人刀が現れたなんて、ひょっとしたら、みんな・・・」

直樹は後ろの席に居る涼に話し掛けた。

「涼さん、すいませんが運転を代わってくれませんか。おばあちゃんの家がどうなっているか遠隔霊視をしてみたいのです。お願いします。」

「判りました。車を止めてください。運転を代わります。」

近くのコンビニの駐車場に入り運転を代わり再び走り始めた。

後ろの席で直樹が精神統一を始めた。直樹の霊視の方法は意識を霊視したい場所に飛ばすのである。

いつものように意識をおばあちゃんの家に飛ばした。紀子と洋子の姿が見えた。

紀子は洋子の携帯で直樹の携帯にかけようとしていた。

そして、その映像の中に金色に輝いている鳥が直樹に向かって飛んできた。

その時である。直樹たちの車の前方で金色の光が弾けた。

「危ない。」

とっさに車を運転していた涼が急ブレーキを踏んだ。

「きゃあ。」

助手席の美帆が叫んだ。なんと、今までそこには居なかった筈の姪の光が美帆の膝の上にいる。

「直樹、光ちゃんがここに居るよ。直樹が引っ張ってきたの。光ちゃん、大丈夫。」

美帆は必死に光の体を揺すった。が、光は気を失っていた。

「直樹、光ちゃん、死んじゃったの。直樹、どうしよう」

涼はとりあえず、ハザードをつけて車を止めた。

「美帆、落ち着くんだ。光ちゃんは気を失っているだけだ。」

直樹は光ちゃんの顔を優しく触った。直樹の携帯が鳴った。直樹は左手で携帯を握った。

「あっ、直樹さん、紀子です。大変なんです。狐の霊と七人刀が戦って、光が何処かに消えてしまったんです。」

「光ちゃんなら私達の所に居ます。今、霊視した時に私の守護霊が岡村家の出来事を教えてくれました。とにかく、今から紀子さんの家に向かいます。」

直樹は話を終えた後、涼にこのまま祖母の紀子の家に向かってもらった。途中のコンビニに

立ち寄った。美帆はずっと、光を抱きしめていた。

「直樹さん、何か買ってきます。」

涼が車から降りてコンビニに入っていった。その後ろ姿を直樹はずっと、見ていた。

「直樹、光ちゃん・・・可愛そうだね。まだ体もこんなに小さいのにいつも危険な目にあってる・・・本当に可愛そう・・・」

美帆の目から涙がこぼれおちた。すると、光の手が動いた。

「あっ、光ちゃん、気がついたの。お姉ちゃんよ。判る?」

「う~ん。どうしてお姉ちゃんはここに居るの。怖いお化けが光を引っ張って泣き虫のお姉ちゃんが手を握って・・・あっ、思い出した。泣き虫のお姉ちゃんが愛しの何とかって言ってたよ。」

「う~ん、何の事か判らないけど、何か買ってきてあげるね。車で直樹と待っててね。直樹はいつものコーヒーでいいよね。光ちゃんは何か食べたいものある?」

「光はアイスクリームが食べたいなあ~」

「判った。待っててね」

美帆は車のドアを開けて光を外に出した後、コンビニに入っていった。光は後ろの座席に乗り込んだ。

「お兄ちゃん、おばあちゃんとママは大丈夫かな~。あの金色の光が守ってくれるといいけど」

「光ちゃん、あの光はね、神様の光なんだよ。いつまでも輝いているわけじゃないんだ。それに、おばあちゃんの家には七人刀と言うより泣き虫のお姉ちゃんが守っているから大丈夫だよ。」

「ふ~ん、そうなんだ。怖いお化けの後ろに居た男の人は誰なの。凄く怒ってたよ。」

「光ちゃんは気にしなくていいよ。お兄ちゃんがやっつけてあげるからね。」

「ねえ、お兄ちゃん、泣き虫のお姉ちゃんがね、お兄ちゃんの事、愛しの人って言ってたよ。愛しの人ってなあに?」

直樹の顔は引きつってしまった。コンビニの中にいる美帆が気づいていない事を無意識に

確認していた。

「光ちゃん、その事を美穂に言っちゃあ駄目だよ。」

「どうしてなの。」

「・・・・・それはね、美帆がお化けより怖くなるからだよ。お兄ちゃんでも勝てないんだ。だから、絶対に美帆には言わないでね。お菓子をたくさん買ってあげるから。約束しようね。」

「うん、わかった。お菓子、たくさん買ってね。約束だよ。」

涼と美帆がコンビニから出てきた。

「おまたせ。はい、直樹いつものコーヒーね。光ちゃんはアイスクリーム買ってきたよ。」

「ありがとう。ねえ、お姉ちゃん、愛しの人ってなあに?」

「えっ、変な事聞くんだね~。幼稚園で好きな男の子でもいるの。」

「違うけど、泣き虫のお姉ちゃんがね、お兄ちゃんの事を愛しの人って言ってたよ。」

明らかに美帆の目は物凄く細くなっている。当然の事ながら直樹は美帆に物凄く細い目で

睨みつけられていた。

「どういう事なの。直樹、説明してよ。」

「おそらく、あまりの恐怖で夢を見たんだよ。きっと、そうだ。」

「だからなんだ。お兄ちゃん、私の目の前に私がいたよ。びっくりした。」

「それはね。あまりにも怖かったから肉体から魂が一時的に出てしまったんだよ。だから、光ちゃんは自分の体を見ていたんだ。だから家で起きていた出来事も全て知っているんだよ。泣き虫のお姉ちゃんが俺の事を愛しの人って言ったこともね、あっ・・・」

「ちょっと、直樹・・・どういう事なの。どうして、七人刀が直樹の事を愛しの人って言うの。生きている人ならともかく、幽霊と浮気するなんて・・・最低!」

「美帆、直樹さんは浮気なんてしていないよ。とにかく、おばあちゃんの家に急ごう。」

「光ちゃん、お姉ちゃんと場所を代わろうよ。前の席の方がよく前が見えるよ」

「うん、そうする。」

美帆は直樹の横に座った。美帆は直樹のほっぺたを思いっきりひねった。

物凄く痛いはずだが直樹は余り抵抗しなかった。というより、出来なかった。

しばらく走って、美帆のおばあちゃんの家に着いた。

何事もなかったかの様に光は家の中に入っていった。美帆も明らかに緊張している直樹の気配に

気づいた。

「明らかに強い霊気がこの場所にあったはず。そして、七人刀の霊気も残っている。とにかく、中に入っておばあちゃんと洋子さんに話を聞こう」

玄関に入ると洋子が光を抱きしめていた。

「直樹さん、来てくれたんですね。ありがとうございます。今回ばかりは駄目かと思いました。洋子も私も・・・」

「大丈夫です。七人刀がこの家を守護すると言っています。」

「七人刀が現れた時には本当にびっくりしました。生きている時は凄い力の持ち主だったと思いますよ。あの悪霊をいとも簡単に祓ってしまったのですから・・・星の力を操れるなんてびっくりしました。」

「えっ、今、何て言いましたか。星の力って・・・言いましたよね」

「お母さんだけではなく、私も聞いたのですが、確か、星の精霊とか、天空乱舞とか言っていたような気がしますが・・・」

直樹は洋子のこの言葉に驚きを隠せなかった。

「なぜだ。どうして七人刀が沖津家に伝わる退魔法を知っているんだ。偶然とは思えないが・・・」

「私が教えてあげようか。ちょっと、洋子、聞いてよ。直樹がね、七人刀と浮気をしてるのよ。きっと、直樹が七人刀に教えたのよ。直樹、私にも教えなさいよ。星の何とかって言うのを」

「美帆ちゃん、私も七人刀が愛しの人って言ったのを聞いたけど、美帆ちゃん、叔母さんはいつでも美帆ちゃんの味方だからね」

「ちょっと、お母さん、いい加減にしなさいよ。確かに前とは違って黒髪が綺麗な美人だったけど・・・」

「ああ~間違いないわ。七人刀が直樹の好みを知っているのはおかしいわ。こら~七人刀、出てきなさいよ。私と勝負しなさいよ」

すると、美帆の後ろに七人刀が現れた。

「お姉ちゃんの後ろにいるよ」

光の声に美帆が振り向くとそこに七人刀が立っていた。

「あっ、綺麗・・・ん、それとこれとは別の話よ。ちょっと、直樹に変なちょっかいださないでよ。私の方がちょっとだけスタイルがいいんだから・・・ルックスは負けたかもしれないけど・・・」

「お姉ちゃん、泣き虫のお姉ちゃんが私は料理が得意だって言ってるよ。」

「私だって、肉じゃが得意よ。ねえ、直樹、私の料理って美味しいよね・・・ちょっと、何か言いなさいよ。叔母さんも洋子も何か言ってよ。私の料理がまずいみたいじゃん」

直樹も光も涼も紀子も洋子も、そして七人刀も笑っている。

「直樹様、美帆様の兄様に気をつけてください。あの男と同じ気配がします。」

七人刀がテレパシーで話しかけてきた。直樹も美帆の兄、涼の事が気になっていた。

普通なら初めて霊を見たらかなり驚くはずだが、明らかに霊現象に慣れている様子だった。

七人刀の霊気は消えた。

「七人刀め、私に勝てないとわかったようね。この次はほっぺたをつねってやるわ」

「美帆のやきもちにはどんな悪霊も勝てっこないみたいね」

「よけいなお世話よ。あ~あ、お腹すいたな~」

美帆は光ちゃんと居間に上がっていった。

みんなも居間に上がっていった。


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