梨畑稲造日乗

梨畑稲造日乗

観察


すると、これまで黙々と仕事をしていた人たちが一息入れて話を始めました。
これが潤いというほどのものでないことはわかっています。
しかし、一枚のおせんべいが少しだけ、場にコミュニケーションを生んだこと、効率だけ求めていては得られないものが現われる様子を目撃したわけです。

大げさでしょうか。
そこで何が話されるかはどうでもよく、いまひとり一台業務用のパソコンがあって、内勤ならばそれに向かう時間が一日の業務時間とほぼ等しい状況から見ると、かつてパソコンがなかった時代に、どんなコミュニケーションが図られていたのか、逆にいま何が失われしまっているのか、そういうことを考えるきっかけになります。

この会社は人数が多くなって、業務連絡で人と話をすることはあっても、何かを生み出すため、あるいは職制のルールだけでは解決できない問題をあえて俎上にあげ、派生する諸問題を解決するために話をすることはほとんどありません。あるのは愚痴か本当の無駄話です。
現場において、自分たちで考えること、これが失われたとき、組織はただの集団に堕する、ということに気づいていない・・・

それゆえ、ルーチンワークだけさせてビジョンを示さない次長、課長にはコミュニケーションのための、あるいはそれをつなぎとめるためのおせんべいは配られなかったのです。


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