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記憶の彼方



今まで人生の中で一番古い記憶ってどんな記憶?

子供の頃、覚えていた記憶は、いつの間にか消えて行く。

僕の記憶は1歳から2歳の時に叔父さんのお葬式の時の記憶

母にその話をしたら、その通りだった。

印象に残っているのは、高台のお墓に秋の空の青さと雲が

美しかった事。鎌倉霊園のすり鉢状の墓地を見るとその時の

記憶が蘇る。

断片的だが、その当時の自分が住んでいた家の間取りとか、

記憶している。

面白い物で、小学校や中学校の記憶の無い人もいる。

友達が「あの時、あんたこんな事言っていたよねー!」

本人:「そうだったけー?」ごめん、覚えていないとか。


僕は子供の頃、哲学者の様にあれこれ考えていた子供で、

老人の様に理屈っぽいタイプだったと思う。

歳を取るにつれて、忘れっぽくなったような気がする。


デジャブ!!「この港、昔にも来ている。」

「この坂道の上は確かこうなっている。」やっぱりそうだ。

このシーンは夢で見た事がある。とか、最近ではゾッとする

様な事が結構ある。

僕の考えには、輪廻と云うのはあると思う。

誰かが、生まれ変わる時には、昔の記憶をけしてしまうのだろう。

記憶の彼方に、きっと太古の昔からの記憶を封印しているのだろう。

君の記憶の彼方、デジャブ!!

ぜひ、あなたの体験を教えてください。

                    続く。




タクシードライバー




景気はどうかね?

横浜の伊勢佐木町で拾った客はバックシートで酔い潰れた体をシートに預けている。

「そうですね、旦那、いつもなら、朝から走って、30回ぐらいだけれど、60回は拾えますよ。まあ、今年は暑いですからね。」

客はそうか、そうかと繰り返していた。

客は、関内のマイウェイのママが俺を指名してくれたのだった。

「将ちゃん元気?」順子ママは貫禄が出たのか?

昔の横浜じゃ、順子ママの取り合いで、死人が出る騒ぎも今じゃ、只の飲み屋のママなのだ。

そんな当時、会社の金回して遊んでいた俺に、彼女はやさしかった。

もちろん、そんな彼女をアフターで頂いた夜もあったっけ(笑)

最近不景気のせいで、若い奴らも増えてきた。

「タクシードライバー急募!!月給50万!」

こんな甘い求人誌のキャッチコピーにつられてやってくる

所が、そんなに甘い世界じゃない!!

この世界でも、いつも稼ぎのいい奴は何故か毎月変わらない

運がいいんだなこれが!!

若い奴はムリするんだけれど、運が無い奴は辞めて行くよ。

タクシードライバーってやつは、リズムなんだな。

儲かる時はロング(長距離)やってお終い!とついていやがる。

様は、この世界個人経営者といっしょなんだなー。

「将さん!この仕事で運の無い奴はどうなるのかね?」

将さんの事思い出し僕は関内の順子ママの店の新人の若い

チャンネイからかいながら、ママにタクシーを頼む!!

ママは携帯から将さんのタクシーを呼ぶ。

将さんはこう答えた!!

「旦那!!この仕事賢く無いと生き残れないよ!!運の無い奴は何処いっても、使えませんよ!!」

「旦那!!私でさえ、縁起担ぎますから!!運なんて、自分で見つけるものですよ!!」

賞賛はバックミラー越しに話してくれた。

「将さん、釣りはいらないよ!!」

将さんは、「旦那、いつもありがとうございます。又呼んで下さいな。」

そう言うと自動ドアを閉めた。

粋な横浜の夜だった。
                  つづく。

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