tomorrow

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優しい嘘と、陥れる嘘?



「人間正直過ぎたら、うまく行かない事もある。」

英樹は部屋の蛍光灯の光を見つめながらゆっくりと話始めた。

「人生なんか、幻じゃないかな?」

「えっ?どう言う事?」順一は眉間に皺を寄せた。

「それってどういう意味なの?」

「俺があいつを試すのは、どれ位俺の事を好きなのか知りたいだけなんだ!」

「英樹それはそうだけれど、お前と付き合いたいといっているあの子を使うのは、卑怯じゃないかな!」

英樹は笑った。

「だって、お互い様だろう?俺だって生身の人間なんだから、傷つくのは怖いさ。いけないか?」

「順一、俺はそれも、相手に対しても優しさだと思っているよ。彼女を騙して陥れる嘘はついていないしね。」

「優しさ?英樹の?」

「いや、男の。」

「嘘で、お互いがキズつかないで済むのなら、いいんじゃない?それも、必要だろう?」

「うーん?」順一は、英樹が間違っているとは、思えなくなってきた。

「順一、人間て真実を知らなかった方がいい時ってあると思うんだ。真顔で嘘つける奴って優しいと思うよ。」

「真実を知らない?」

「そう、男はね、多少の事で動揺したり、うろたえたりするもんじゃないんだ。回りの人間まで、不安にさせるから。」

「何だか、つらいね、男も?」

「恋愛においては、相手の気持ちを引き寄せる事は重要なんだよ。」

「ふーん、ずいぶん自分勝手なんだね!!」

英樹は、笑って見せた。

順一は思った。賢く生きる事も生きて行くには必要なんだと思うのだった。 
                  つづく。

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