tomorrow

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好きから愛しているに変わる時。





相変わらず順一は、週に一度は私の家に来ていた。

私は、妹のミヨコに彼を取られた様で少し嫉妬していた。

「ねぇ、順一?私とミヨコ、どちらがかわいい?」私はバイトの帰り車の中で順一に聞いた。

「もちろん、ユミコの方がかわいいよ!」ニコニコしながら、順一はおでこにキスをしてくれた。

「ミヨコはお父さん似かなぁ?

誰にも似ていないかな?ユミコと全然似ていないよなぁ!もしかして、DNA違うんじゃない?」順一は笑った。

「でも、君の妹だし、かわいい所あるよな、あいつ。」

順一はやっぱり素敵な人。

私は順一と出会って良かったと思う。

順一は私が思ったとおりの人。

家族もそして友達も素敵な人ねって、口を揃えて言ってくれる。

ただ、順一のお母さんはとても私には、厳しい。

前に順一の家に遊びに行ったら、「あなたがユミコさん?いつも、あなたの家に順一がお邪魔して、ご迷惑じゃない?」

順一のお母さんは、キツイ口調でユミコに言った。

「ほら、家のお父さんは、こんな人だから!」

順一の父は、横目で見ながら又一口、グラスの焼酎を口にして、黙った。

「順一はね、ユミコさん、苦労して大学まで行かせているのよ!お父さんがこんなでしょ!だから、お嫁さんになる人も、大学ぐらい出ていないとね!ユミコさんもまだお若いけれど、順一と間違いの無い様にしてね!」

それを聞いていた順一の顔色が変わったのがわかった。

私の前で見せた事の無い顔だった。

「お父さん!俺ユミちゃん送ってくるよ!」

私は、順一の両親に挨拶をすると、順一の車に乗り込んだ。

暫らく順一は黙っていた。

もうすぐ家に着く頃公園近くの空き地で車を停めた。

いきなり私は抱き締められた。

「嫌な思いさせてごめんな!君の家族と違って僕は恥ずかしいよ!もう絶対、君に嫌な思いをさせない!」

順一は泣いていた。

私は何故か順一を抱き締めた。

「気にしないで!私はずーとあなたといっしょにいるわ!」

私は、そんな順一が切ない程好きだった。

好きと云う気持ちから、愛しているに変わる時はきっとこういう気持ちなんじゃないかなぁと、フロントガラスに落ちて来る雨を順一を抱き締めながら見ていた。

                    つづく。




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