びゆてぃふる・らいふ

びゆてぃふる・らいふ

4・老いる

4.老いる

結婚当初からかれこれ○十年、ずっと姑つまり夫の母と同居している。
夫は遅く産まれた子どもだったので姑はもうかなりの高齢となった。
この姑の言動が最近とみにおかしくなってきた。
話にはよく聞いていた。
つい最近、こういうテーマを扱ったドラマもあり、我がことのように夢中で観てしまった。

ちゃんとご飯を食べたのに、「何も食べさせてくれない」と他人に訴える。
自分で違うところにかたづけてしまったくせに、「嫁に~~を盗られた」と訴える。
こんなことは他人事だと思っていたのに・・
まだここまでは ひどい状態ではないのだけど。
それでも、たまにそれに近い行動が目につくし、しかもそれはすべて嫁であるこの私が悪い、という論法に落ち着いてしまう。
被害妄想的なところが多々あって、私がまるで言ってないこと、していないことをさも本当のことのように 息子である私の夫に切々と訴える。
今までにも夫はたびたびこういう話を聞かされていたらしい。
その都度、適当に受け流してくれて私の耳に入れることはしなかったようだ。
今回は内容があまりに不自然だというので、私に真偽を確かめるべく
「こんなこと言ってるけど ほんまか?」と。

・・・・絶句。
年のせいで、ありもしないことを自分を被害者にしたてあげて同情をひこうとしている哀れな人、そう考えることにしようと自分に言い聞かせながらもそれでもあまりにもなさけなくて、体中の血が逆流するような思いがした。
幸い夫はよくわかってくれて、私の気持ちが落ち着くようにと 私の話を色々と聞いてくれた。
この○十年の間、これまで一度だって夫に対して義母のことを悪く言った覚えはない。自分の親のことを悪く言われて悲しまない人はいないということがわかっていたつもりだから。
心の中でくすぶっていたものはネット上だけの知り合いや、今の生活には接点のない遠く離れた昔の友人たちに聞いてもらって なんとかウサ晴らししてきた。
そんな私が このときはじめて思いきり夫に気持ちをぶつけてしまった。
夫は夫で、我が親ながら問題の多い性格には日頃からうんざりすることが多かったらしい。夫のそういった内面の気持を知るのも初めてだった。今までは、近所からも評判の孝行息子、という側面しか私に対しても見せなかった夫である。
互いに思っていることを残らず言い合って、少なくとも私のほうはかなりすっきりしたかな?
けど夫のほうは、自分の親のせいで私にすまないという気持をこれからもずっと持ちつづけないといけない。それはそれでもっと辛いことなのかもしれない。

それにしても年をとるということは まことに悲しいことである。
絶対にあぁはなりたくない・反面教師にしようと心に誓ってはいるものの、私自身もおなじ道を辿らないという保証はどこにもない。
「赤子笑うな 来た道だもの
 年寄り笑うな 行く道だもの」
そうなんですよねぇ。わかっちゃいるけど 人間的に未熟な私には背負うべきものがあまりに重過ぎて、なんで私がこんなに我慢しなくちゃならないの、と何もかも投げ出したくなってしまうのです。

折悪しくも ちょうどその頃に私の実家で相次いで病人が出た。
ここだけの話、本音をいうと私にとってはやっぱり実母のほうが姑よりもずっと大切な存在である。姑とそれほど年齢も変わらない、老いた母が病人の看護などひとりでできるはずはない。弟は勤めているし、隣町にいる娘である私が頻繁に手伝いに行くことのどこが悪い!とばかりに、私は毎日を必死に過ごしていた。
そのことがまた姑の神経にさわったらしい。
昔は、嫁にきた人間が実家のことにかまけてなんていられないというのが常識だったらしい。
だけど私は「昔の嫁」ではないのだ。
なんと思われようと、私は自分で後悔しない生き方をしたい・・と、なかば意地にさえなっていた。
もう少し賢く立ち振る舞うことができたのではないか、と今は少し反省しているが、このことが姑の精神的な面に悪影響をもたらしたことはもはや疑いようもない。

早いうちに、うまく言い含めて専門の医者に見せるべきなのかもしれない。
これ以上状態が悪くならないためにも・・

2004・6・9




© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: